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2022.06.26

【第10回】「龍上海」(山形・赤湯)

「ラーメン王国」山形の実力とは? 名物ラーメンを食べ歩いてみた

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博

龍上海 LEON 山本益博
▲ 赤湯「龍上海」のからみそラーメン。
山形・赤湯の「瀧波」という旅館は、私のお気に入りの1軒なのだが、泊まるたびに気になる店が、赤湯駅から宿までの道すがら見えるラーメン専門店「龍上海」である。いつ通っても、店に前の駐車場には車がびっしりと並び、玄関口から長蛇の列ができていた。

山形は全国有数の「ラーメン王国」と言われている。年間のラーメン消費量は日本一だそうだ。山形の夏はフェーン現象で滅法暑く、夏でもラーメンを食べたい客の要求を満たそうと生まれた、丼に冷たい澄んだスープを張った「冷やしラーメン」を食べるからという。

同時に、「そば天国」でもある。私は、「龍上海」で食べたいと思いながら、並ぶことをあきらめる代わりに、そのつど赤湯ばかりか、高畠、米沢のラーメン店へ足を伸ばし、また山形のあちこちのそば屋で、山形名物「鶏そば」の食べ比べをしたりした。
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赤湯 葵 LEON 山本益博
▲ 赤湯「麵屋 葵」の冷やし担々麺。
赤湯では「葵」、隣町の高畠では人づてに聞いた「山喜」「福よし」「志づ美」、米沢では「ひらま」などのラーメン専門店を訪ねた。

「葵」は赤湯の街中から少し離れた場所にあって、駐車場のスペースがたっぷりある県外にも知られた人気店。チケットを自販機で買い、店の中で自分の番がくるのを待つ。「担々麺」が名物で、4つのテイストが楽しめる。夏場には冷たい担々麺まである。辛いがごまの風味が豊かな担々麺で、極辛に強くない私でも美味しくいただいた。
高畠 山喜 LEON 山本益博
▲ 高畠「山喜」のSioラーメン。
「山喜」は住宅街にある1軒で、清潔感はピカ一、清澄なスープが魅力なラーメンで、師匠筋の店は福島にあるとのことだった。

「福よし」「志づ美」はどちらも昔ながらのラーメン専門店で、「志づ美」は田んぼの続く道にぽつんとあるのだが、駐車場のスペースが広く、客は誰もが車でやってくる人気店であることを思わせた。「ひらま」も同じロケーションで地元の評判が高い店らしかった。
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高畠 志づ美 LEON 山本益博
▲ 高畠「志づ美」の 冷たいラーメン。
「志づ美」では冷やしラーメンを食べた。品書きには「冷やし中華」と区別するため「冷たいラーメン」と書かれてあったが、写真で見る限り、刻んだきゅうりがなければ、普通のラーメンと区別がつかない。
米沢 ひらま LEON 山本益博
▲ 米沢「そばの店  ひらま」の中華そば。
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ここまで食べ歩いたのであれば、長時間並ぶことを覚悟してでも「龍上海」へ出かけなければと思ったのが昨年のことである。並ぶこと1時間!  とてもお腹が空いて、席についた。「龍上海」の名物は「からみそラーメン」。味噌ラーメンの丼の中央に、真っ赤なペーストの玉が盛ってある。
龍上海 LEON 山本益博
▲ 「龍上海」の赤湯からみそラーメン(950円・税込)。
ひとくち舐めると、辛さとにんにく味が口の中を覆った。これを味噌ラーメンに溶いて食べる。麺は中細の麺で、スープが良く絡む。食べ進むうちににんにく風味が気にならなくなり、辛さにも慣れてきて、箸が進む。食べ終えて、これは唐辛子とにんにくと味噌がマッチした、若者も年配客も虜にしてしまう味噌ラーメンで、長い行列ができるわけを納得したのだった。
※次回は7月10日予定です。
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龍上海 LEON 山本益博

龍上海赤湯本店

住所/山形県南陽市二色根 6-18
営業時間/11:30~19:00
定休日/水曜
HP/赤湯ラーメン「龍上海」オフィシャルサイト
 

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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