2017.10.20
ほぼ誰も知らないメガネのウンチク【3】0.1ミリの世界で勝負?"プレス加工"のハナシ
メガネフレームの大枠は「プレス加工」によって作られます。強度を高める意味でも、デザイン性の面でも重要な工程なのです。
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写真/林 敏一郎(FOREST)、蜂谷哲実(hachiya studio) 文/瀧川修平
"プレス加工"はこうしてできる
出来不出来の要となる金型をコンピュータ設計・切削のあと、職人が手作業で細やかなラインを合金の塊から削り出します。プレス途中で壊れてしまうことも多々あるのだとか。


細やかな彫金や研磨の作業は、実は顕微鏡を覗きつつ行われます。そのためひとつ作成するのに、長い時間とウン百万の資金を要するのです。
曲面の多いメガネのプレス工程は、一点一点角度が微妙に異なるため、金型製作との密な連携や経験が何よりも重要。ひとつ間違えばメガネも金型もダメにしてしまいます。


プレス加工の雄、トレミーフォーティエイトが誇る最荷重500トン級のプレスマシン。圧力を数値化するトン数が高いほど耐久性や強度が増すのだそう。
幾度もプレスを重ねて完成。例えば下のような細かい彫金模様も、職人の手作業による金型製作、プレス加工があってなせるワザ。もちろんプラスチックも形成可能です。

"プレス加工"で生まれる名品
Press 01 複雑な形状でもロウ付けに比べて強度が増す
厚いチタンを90度近く2度曲げる高いプレス技術もさることながら、ネジ穴ほどあった厚みから圧を加えて薄くしたヨロイにも注目です。


見極めPOINT
彫金模様が施されたブリッジはプレスで形成されています。継ぎ目がないのがその証拠。
Press 02 なめらかで立体的な局面
前にせり出たブリッジはアポロンシリーズの真骨頂。通常5回程度で済ませるところ、30回以上プレスを施すことで強度と美しさを実現。


見極めPOINT
美しいブリッジのラインもプレス加工の賜物です。
Press 03 0.1ミリ単位の細やかな柄と形状


見極めPOINT
フレーム全体にある彫金模様がオトコの顔をさりげなく華やかに演出します。
メガネの基礎知識【1】は「ロウ付け」について
「ロウ付け」は、付け心地も見た目も左右する重要な工程ですから、知って損ナシ! メガネを見る目が変わります。
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