2026.03.30
◾️ 罪なスーツと罪作りなオトコ 【1】
いまイケオジ界隈には、こんな“罪なスーツ”が必要だ!
スーツという鎧に包まれたオトコは、オンナの密かな欲望を呼び覚ます──。男女の情愛に火を灯す“罪なスーツ”を、アナタは持っていますか? いま、イケオジ界隈にこそ必要なスーツの在り方を、恋の手練れ、夏木マリさんと一緒に考えます!
- CREDIT :
写真/人物・片桐史郎 スタイリング/吉野 誠(メンズ)、原田ももこ(レディス) ヘア/Takuya Baba(SEPT) メイク/SHINO ARIIZUMI(TRONmanagement ) 文/清水香里 編集/市村広平、赤松いづみ(ともにLEON)
焦らしであり、攻めでもある“罪なスーツ”
◾️ Sequence 【1】
そのスーツには……

▲ 触れ合いに耐えるハリの美学
重厚なスーツには、ストライプの効いたシャツでヌケ感をプラス。縦のリズムが生まれることで、タイの色気も過剰にならず艶へと昇華。男性●スーツ25万3000円/アクアスキュータム、シャツ2万2000円/トゥモローランド、タイ9350円/麻布テーラー(麻布テーラープレスルーム)、チーフ8800円、ベルト1万6500円/ともにマッキントッシュ ロンドン(SANYOSHOKAI カスタマーサポート) 女性●イヤリング238万9200円、ネックレス165万円、リング180万8400円、バングル147万8400円/すべてカルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)、バッグ27万1700円/クリスチャン ルブタン(クリスチャン ルブタン ジャパン)、そのほかはスタイリスト私物
手に入れたい—— そうオンナに強く思わせるオトコほど罪な存在もそう多くはないでしょう。時にオトコが誰かを欲する想いの何倍も強く、そしてまがまがしい感情をオンナという生き物が秘めていることは、読者諸兄なら身に覚えがあるはず。では、そんな渇望を呼び起こすオトコとは。それすなわち、端正なスーツを“罪作り”に着こなしたオトコなのです。
スーツやタイ。堅実なものから相反して醸し出される緊張と誘惑、その一瞬をいかにあくどく、いえ、あざとく操り、演出できるか—— スーツという鎧を裏切ったが最後、贖罪を背負い本気で愛されるご覚悟を。
◾️ Sequence 【2】
「品格と誘惑」がともなって……

◾️ Sequence 【3】
オトコとオンナの関係に火を灯すのです

▲ イタリア名門デルフィノ社が、開発した、蜜蝋を使って仕上げる“SUPER130’s&SILKファブリック”を使用したラグジュアリースーツ。この生地を使うことによって、ウール本来の上質な質感に、シルクの光沢と柔らかなドレープ性を加え、エレガンスと快適性を兼ね備えた理想の一着に。柔らかでありながらハリのある素材感で、彼女から身を乗り出されてもその美しさはキープされたままなのです。
◾️ 夏木マリさんインタビュー
私が惚れたずるくて罪なオトコたち

スーツ姿は女の想像力をかきたてる
実は私の周りにスーツを着る男性って、そんなに多くないんですが、スーツには想像力を刺激されるんですよね。つまり、多くを語らずとも、彼らは私たちに認められている前提でいるの。カジュアルなスタイルと比べて情報量が圧倒的に少ないから、かえって私生活が気になっちゃう。やっぱり一種の正装だと思うから、うっかり触れることもできないしね、あえて心理的な距離を取られているかのような、ある種の歯がゆさを覚えます。だから、たとえば初デートに男性がスーツで来たら、逆に魅力的でしょうね。私生活が見えないオトコってステキじゃない?
いままでスーツ姿でかっこいいなって思ったのは、デヴィッド・ボウイとブライアン・フェリー。ふたりとも英国人のミュージシャンで、着こなしは全然違うんだけど、スーツを自分らしく着こなしているのよね。ボウイはグラムロックを芯にしながらも、自分をアーティフィシャルにつくってみたり、先鋭的にいろいろ挑戦した人でしょ。彼のスーツ姿には、どこか異物感がある。きちんと着ているのに、どこか崩れてて。調和よりも問いを投げる着方で、そこに演技が見えるというか「スーツを着る」という行為そのものを演出にしてしまう感じね。だからこそ一筋縄ではいかない匂いが漂うの。
片やブライアン・フェリーはロキシー・ミュージックの中心人物で、都会的でヨーロッパっぽいムードのなか、貴族的なダンディズムを貫いている。彼の場合はボウイと逆ね。スーツを完成させる人。すべてが調和していて、演技を隠す。こちらに問いを投げるのではなく、「憧れ」を提示するというか。あまりに整っているから、内面が見えない。その静けさが、女心をくすぐるのね。
どちらも同じスーツなのに、片方は壊し、片方は完成させる。内にはそれぞれ情熱や退廃、一種の不良性を秘めているのでしょうが、スーツのおかげでそうは見えないのでしょう。スーツって規律や従順の象徴でもあると思いますが、彼らはスーツを着ていても簡単には「Yes」と言いそうにない感じ、といえばわかりやすいかしら。一筋縄ではいかなそうなアンビバレンスにオンナとしては響くのね(笑)
イケズで罪深いオトコに女は惹かれるの
オトコの罪という言葉から思い出すのは岸恵子さんの小説『わりなき恋』に登場する九鬼兼太というオトコね。これは岸さんの実際の恋愛体験を下敷きにした小説と言われていますけれど、あるオンナとこの九鬼はパリへ飛ぶ飛行機のファーストクラスで隣りあって知り合うのです。当時70代の女性と50代の九鬼が恋に落ちるわけですが、この九鬼がまあ罪深い(笑)。
彼女のことを深く愛しているくせになかなか言語化しない。彼は大企業の重役だから当然スーツを着ているんですが、乱れた心をさらけださずに、自らを制するためにスーツを着ているんだろうなと感じるシーンがいくつもありました。自己主張をせず、相手を支配することもない……ずるいオトコですよね。私も遠い記憶にそんな経験がありますが、やられっぱなしでした。
色気は感情を抑制する態度から生まれる
今思えば、目立たなくて(こちらを)威圧しないオトコが忘れられないんですよね。人は、相手が感情を抑制するさまに、抑えがたい色気を感じるんだと思います。特に女性は。イケズな九鬼にしろ、冒頭にあげたアーティストにしろ、自分をスーツで抑圧して自分が崩れる瞬間を他人に見せない。渡すまいとする態度と言えばいいのかな。まさにスーツ姿のオトコの在り方よね。
スーツが雄弁に語らない分、沈黙がその人を物語るんです。それが結果的に誘惑になって。ま、その誘導に上手に乗ってみて、最終的にはこちらの手のひらで転がす。焦らされるようで、焦らしに行く。そんなもどかしさも楽しむくらいが大人の男女の関係の、粋で罪な在り方、なのかな。(談)
Profile
夏木マリさん
1973年に歌手としてキャリアをスタート。80年代以降は演劇へと表現領域を拡張し、芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。1993年よりコンセプチュアルアートシアター「印象派」を拠点に、身体性を核とした独自の舞台表現を確立し、シビウ、アヴィニョン、エディンバラと世界三大演劇祭を制覇。音楽と花を軸にした社会貢献プロジェクト「One of Love プロジェクト」にも携わる。現在は朗読やラジオDJ、声の表現者としても活動を続けている。今年5月には毎年恒例となっているブルーノート東京でのコンサートを開催予定。
「MARI NATSUKI "MARI de MODE8”」
開催日/2026/5/15(金).16(土).17(日)
場所/ブルーノート東京
2026年4月号より
※掲載商品はすべて税込み価格です
■ お問い合わせ
アクアスキュータム aquascutum-press@renown.co.jp
麻布テーラープレスルーム 03-6273-1840
カルティエ カスタマー サービスセンター 0120-1847-00
クリスチャン ルブタン ジャパン https://jp.christianlouboutin.com/jp_ja/
SANYOSHOKAI カスタマーサポート 0120-340-460
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