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2025.08.23

いまさら聞けない!? ニューバランス1300は、何が特別なのか? 【ディテール解説完全版】

1985年のデビュー以来、ニューバランスを代表するスニーカーとして愛され続けている1300。1995年から5年に一度復刻してきましたが、今年も最新モデルが発売され即話題に。これまでのディテールの変化を解説しながら、その魅力を紐解きましょう。

BY :

文/南井正弘
CREDIT :

写真/鈴木泰之(Studio Log) 編集/長谷川茂雄

40年以上支持されるフラッグシップモデル

5年に1度再リリースされるニューバランスの1300。今年は5月29日(木)に発売されました。5万9400円/ニューバランス(ニューバランスジャパンお客様相談室)
▲ 1995年から、5年に一度のタームで復刻リリースされてきたニューバランスの1300。今年は5月29日(木)に発売されました。5万9400円/ニューバランス(ニューバランスジャパンお客様相談室)
1985年、ニューバランスから特別なランニングシューズがリリースされました。それが1300です。当時は、比類なきクッショニング性能を確保したモデルとして注目を浴びました。
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ミッドソールの外周をポリウレタン、内部をEVAとしたENCAPと呼ばれる構造を初採用したシューズで、このテクノロジーはクッション性と安定性を両立し、ランナーのみならず、あらゆるユーザーから高い評価を得ることとなります。

ただ、アメリカでは130ドル、日本では39000円という当時としては破格のプライスが付けられたこともあり、誰もが購入できるモデルではありませんでした。

それゆえ、80年代から長らくスニーカーフリーク垂涎の的となったのです。
2025年に発売された最新モデルには、西暦クレジット入りのシューズケースが付属。
▲ 最新モデルには、西暦入りのシューズケースが付属します。
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そして次第に幻のアイテムとして認知されたのですが、発売から10年が経過した1995年から、5年に一度のタイミングで再リリースされるようになりました。

とはいえ、復刻当初は、アウトソールがビブラム社製ではない、シュータンラベルの書体が異なる、ステッチの形状が違うなど、オリジナルのディテール再現度が高くありませんでした。

それゆえ、スニーカー好きの間では100%満足できるものではなかったのですが、復刻されるたびに完成度が高まるため、毎度話題となり、結果、注目度が下がることはありませんでした。
オリジナルにどれだけ忠実に近づけるか? その命題をクリアしたのが最新モデルなのです。
▲ 1300の復刻モデルの評価ポイントは、1985年発売のオリジナルにどれだけ忠実に近づいているか? そこに尽きます。
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そして、7度目の復刻となった今年発売のモデルは、古くからのニューバランスファンも納得の再現度を誇っています。

1985年当時、誰もが興奮した特別なランニングシューズのディテールをできる限り細部まで蘇らせた、まさにこだわりの結晶と言えるでしょう。
1985年、オリジナルがリリースされた当時の雑誌広告。EVAの周囲をポリウレタンで囲うENCAPの構造、厳選されたヌバック、耐久性に優れたアウトソールを採用していることをアピールしていました。また、ウィズサイジング、すなわち足長だけでなく足囲も選べることを強調しています(現在はDウィズのみ)。
▲ 1985年、オリジナルがリリースされた当時の雑誌広告。EVAの周囲をポリウレタンで囲うENCAPの構造、厳選されたヌバック、耐久性に優れたアウトソールを採用していることなどをアピールしていました。また、ウィズサイジング、すなわち足長だけでなく足囲も選べることを強調しています(現在はDウィズのみ)。
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では、これまでどんな変化を経て、1300はオリジナルディテールに近づいてきたのか? その変遷をピックアップして解説しましょう。

ディテール解説その1

時代の変化は、シュータンを見れば一目瞭然!?

オリジナルのシュータンラベルの“1300”部分は、かなり特徴的な書体ですが、1995年、2000年モデルでは、異なるデザインでした。

2005年の復刻モデルにて、ようやくオリジナル書体が再現され、Nの部分のバー(棒線)の数に関しては、2010年発売モデルから、オリジナルと同じ14本となりました。
1985年のシュータンラベル。“1300”の数字部分は特徴的な書体を採用。原産地は表側には表記されませんでした。
▲ 1985年に発売したオリジナルモデルのシュータンラベル。“1300”の数字部分は特徴的な書体を採用しています。原産地は表側に表記されませんでした。
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左が1995年、右が2000年。”1300”の書体がオリジナルとは異なります。
▲ 左が1995年、右が2000年の復刻モデル。”1300”の書体がオリジナルと異なるのは一目瞭然です。2000年モデルには、MADE IN U.S.A.の表記が入ります。
▲ 左が2005年、右が2010年の復刻モデル。2005年から”1300”の書体がオリジナルと同様に。2010年にNの部分のバー(棒線)がオリジナルと同じ14本となったのも大きなポイントです。
今年発売されたモデルのシュータンラベル。”1300”の書体、N部分の14本のバーはオリジナルと同じですが、登録商標を意味するRが無くなりました。
▲ 今年発売されたモデルのシュータンラベル。”1300”の書体、N部分の14本のバーはオリジナルと同じです。ただ、登録商標を意味するレジスターマークがなくなりました。
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ディテール解説その2

フロントステッチにも、微妙な変化が

アイレットと呼ばれる紐を通すパーツの先端に配されたステッチも、オリジナルと各年度の復刻モデルでは、パターンが微妙に異なっています。ルックスの印象を変えるポイントになっています。
左上が1985年、右上が1995年。下が2005年。2005年モデルから半月方ではなく、オリジナルと同様に2列でステッチングされるようになりました。
▲ 左上が1985年、右上が1995年、下が2005年復刻モデルのステッチ。2005年モデルから半月型ではなく、オリジナルと同様に2列でステッチングされるようになりました。現在も同様です。
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ディテール解説その3

ヒールは、ステッチとソール構造ともに変化し続けてきた

ヒール部分のステッチに関して、オリジナルは2列が並行するダブルステッチでしたが、1995年、2000年モデルはシングルステッチが採用されました。2005年モデルからは、オリジナル同様のダブルステッチを再現しています。

ENCAPと呼ばれるミッドソールの構造は、2000年モデルより耐久性を向上させるため、外周のポリウレタンも内部のEVAも、素材があえて変更されています。
左が1985年、右が1995年。オリジナルがダブルステッチなのに対し、1995年はシングルステッチ。ENCAPと呼ばれるミッドソールの構造は、1985年と1995年は、ほぼ同様の素材です。
▲ 左が1985年、右が1995年版のヒール周辺。オリジナルがダブルステッチなのに対し、1995年はシングルステッチで仕上げています。ENCAPと呼ばれるミッドソールの構造は、1985年と1995年は、ほぼ同様の素材です。
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左が2000年、右が2005年。2005年からダブルステッチが復活しました。ENCAPに関しては、2000年より耐久性を高めるべく、オリジナルとは異なった素材選びをあえてしており、これ以降もアップデートを繰り返しています。
▲ 左が2000年、右が2005年。2005年からダブルステッチが復活しました。ENCAPに関しては、2000年より耐久性を高めるべく、オリジナルとは異なった素材選びをあえてしており、これ以降もアップデイトを繰り返しています。ヒール周りのルックスは2005年以降はあまり変わっていません。

ディテール解説その4

アウトソールのオリジナル仕様は、ビブラム社製

オリジナルのアウトソールは、耐久性とグリップ力に優れるイタリアのビブラム社製でした。

1995年、2000年、2005年バージョンは、ビブラム社製ではありませんでしたが、ソールパターンに関してはオリジナルを再現しているのがわかります。

2010年からはビブラム社製アウトソールを再び採用することとなり、オリジナル同様のグリップ力が味わえるようになりました。
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左が1985年、右が1995年。オリジナルは耐久性とグリップ力に優れるイタリアのビブラム社製。1995年、2000年、2005年は、ビブラム社製ではないもののパターンは再現。
▲ 左が1985年、右が1995年のアウトソール。オリジナルは耐久性とグリップ力に優れるイタリアのビブラム社製というのが大きな特徴でした。1995年、2000年、2005年は、ビブラム社製ではないもののパターンは再現。
2010年からビブラム社製のアウトソールを再び採用。耐久性とグリップ性に優れたコンパウンド(配合)を使用しています。
▲ 2010年からビブラム社製のアウトソールを再び採用するようになったのは、大きな変化でした。耐久性とグリップ性に優れたコンパウンド(配合)を使用しています。
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ディテール解説その5

オリジナルのNロゴステッチは、丸みがポイント

ニューバランスを象徴するアッパーサイドのNロゴのステッチは、1995年~2005年の復刻では、オリジナルとは異なり鋭角デザインになっています。

2010年からは、オリジナル同様、丸みを帯びたステッチワークを再現しているのがわかります。
左が1985年、右が1995年。1985年が丸みを帯びているのに対し、1995年のほうは鋭角なステッチワークであることがわかります。
▲ 左が1985年、右が1995年のNロゴ。1985年は丸みを帯びているのに対し、1995年のモデルは鋭角なステッチワークです。
2010年に少し丸みのあるステッチワークに戻り、現在もこのオリジナル同様のディテールは継承されています。
▲ 2010年に少し丸みのあるステッチワークに戻り、現在もこのオリジナル同様のディテールが継承されています。
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ディテール解説その6

実は最も変わっているのが、ラベル裏の取り扱い表記

シュータンラベルの裏側の取り扱い表記のパターンも、これまで様々な変化がありました。スニーカーフリークやニューバランスファンは、こういった部分の変化も見逃すことはありません。
1985年は2種類のラベルが存在します。MADE IN USAの表記が上にあるパターンと下にあるパターンです。
▲ 1985年は、MADE IN U.S.A.の表記が上にあるパターンと下にあるパターンの2種類のラベルが存在しました。
左が1995年、右が2000年。2000年バージョンはバーコードの付いた、モダンなタイプとなりました。
▲ 左が1995年、右が2000年のラベル表記。2000年バージョンは、バーコードの付いたモダンなタイプでした。
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左が2005年、右が2010年。MADE IN USAの表記の位置が、オリジナルにも存在した上と下にある2パターンを採用。文章の内容(洗濯機の使用禁止etc.)は同一です。
▲ 左が2005年、右が2010年。MADE IN U.S.A.の表記の位置が、オリジナルにも存在した上と下にある2パターンを採用。文章の内容(洗濯機の使用禁止etc.)は同一です。
左が2015年、右が2020年。文章の内容は同じですが、文字の大きさや書体が異なります。今年発売のモデルは、2020とほぼ変わっていません。
▲ 左が2015年、右が2020年のラベル表記。文章の内容は同じですが、文字の大きさや書体が異なります。今年発売のモデルは、2020年モデルとほぼ変わっていません。
ざっと1300のディテールを見返してみると、5年周期で多くの変化があることがわかります。40年前に発売されたモデルの魅力をできるだけ再現すべく、紆余曲折、さまざまなトライがなされてきたのです。
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1300の復刻の歴史は、まさにオリジナル再現の飽くなき追求の歴史でもあると言えるのかもしれません。
ニューバランス1300
1300は、タイムレスなデザインを採用した先駆的なモデルでもありました。合わせるウエアやスタイルを限定しない洗練されたルックスは、お洒落靴として世界中のファッショニスタから愛され続けています。

発売から40年が経過しても、ネガティブな古臭さをまったく感じさせない。それが1300 が一目置かれる理由でもあります。
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しかも、履けば履くほど足に馴染む感覚、クッション性と安定性の絶妙なハーモニーは、一度付き合い始めれば、その虜になります。

まだ1300が“未体験”であるなら、今年は5年ぶりの復刻年ですから、最新モデルを通して、その魅力を味わってみてはいかがでしょうか? ただ、入手は極めて困難というのが悩ましいですが……。

1300の歴代発売モデル

ニューバランス1300 左●1980(オリジナル)、右●1995
▲ 左●1985年(オリジナル)、右●1995年
ニューバランス1300 左●2000、右●2005
▲ 左●2000年、右●2005年
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ニューバランス1300 左●2010、右●2015
▲ 左●2010年、右●2015年
ニューバランス1300 左●2020、右●2025
▲ 左●2020年、右●2025年
南井正弘
フリーライター、ランナーズパルス編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。「フイナム」「価格.comマガジン」「モノマガジン」「SHOES MASTER」「Beyond Magazine」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」「人は何歳まで走れるのか?」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。

■ お問い合わせ

ニューバランスジャパンお客様相談室 0120-85-7120

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