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2020.07.10

【独占取材】ベルルッティ初のコレクションコラボは意外なアーティストだった!?

2018年にベルルッティ(Berluti)に参画したクリス・ヴァン・アッシュ。今年1月グローブ・トロッターとのコラボも話題でしたが、洋服をメインとした初のコレクションコラボの噂が・・・・・・。その真意を確認すべく、クリス・ヴァン・アッシュに独占取材を敢行しました。気鋭のアーティストとのコラボ作品は斬新にしてポップ、今の時代にフィットするものでした。

CREDIT :

文/堀川博之(LEON.JP編集部)

新たなコラボレーションでベルルッティが変わる!?

シャツやカットソーにプリントされたポップで斬新な色彩は!? 新しい時代のベルルッティは、気鋭のアーティストとのコラボと共に力強く幕開けします。
ベルルッティは「アンディ」をはじめ、名靴を出自とするブランドです。そんな120年以上の歴史のあるベルルッティに2018年に就任したのがクリス・ヴァン・アッシュ。数々のメゾンを経た実力派デザイナーは、2020年ベルルッティのファッションに新たな一手を投じようとしています。それがブライアン・ロシュフォールとのコラボレーション。彼の作品は釉薬を重ねた立体感と独特の質感、目に鮮やかな色彩が特徴で、今までのセラミックにはないポップさが魅力。ピースも大きいものが多く、迫力もあります。そんな初のコラボレーション作品と、コロナを経て変化した心境を伺いました。

—— ファッションに関してアーティストとの初めてのコラボレーションがブライアン・ロシュフォールというのは、非常に驚きでした。なぜ彼だったのですか?

今回、RTWのメンズでコラボレーションするのが初めてだったので、ベルルッティのブランドのアイデンティティを自分のビジョンで確立する事が大事だと思いました。

私自身はこの10年以上、セラミック(陶器)をコレクションしています。以前は1950年代のフランスのセラミックなどヴィンテージのものが好みでしたが、最近は現代作家に関心があります。

ブライアンは35歳のロス在住のアメリカン人アーティストで、まさに”今”な作品を手掛けています。私は彼のアートに深く共感しています。彼の作品は何層にも色をレイヤーする(重ねる)のが特徴で、これはベルルッティのパティーヌレザーを作る工程に共通すると思いました。
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ブライアン・ロシュフォールのアート作品を写真としてプリントされたシャツやカットソー。
今回のコラボで最もシンボリックなアイテムがプリントされたシルクシャツ。他にないポップで鮮やかな色調が目を惹きます。
—— 現段階でどんなコラボレーションになるのか教えてください。

ブライアンのアートを3つの方法で解釈しました。

まず一つ目はブライアン・ロシュフォールの作品を写真(プリント)として再現する手法。セラミックアートの高解像度写真をシルクのシャツにプリントしました。 シルクを使用した理由は、シルクは繊維が細いので色の鮮やかさや深みを綺麗に反映してくれるからです。もう一つはシャツではなく、スポーツウェアのジャケットになります。スポーツウェアのテクニカルな要素を取り入れています。

二つ目はアルチザンな方法で解釈しました。 例えばニットですが、ニットウェアと言ってもシルクやナイロンなどテクニカルな繊維を使い、非常に立体的になっています。セラミックアート作品のような3D感が体感できると思います。

三つ目はパティーヌに落とし込みました。例えば靴を見て頂くと分かるのですが、薄い黄色のステインのデザインはこちらのセラミックアートから取り入れました。1つ1つ全ての工程は手作業で行なっています。

その他にも今年の1月にグローブ・トロッターとコラボしたスモールサイズのメッセンジャーバッグに落とし込んでいます。今回は一面だけパティーヌしていて、これは先ほどのアートピースからの色を取り入れています。

他にもパティーヌジャケットがあるのですが、現段階ではまだ完成していないため、お見せすることができません。このジャケットもグローブ・トロッターのピースと同様、ダークグリーンとオレンジで展開予定です。 

—— このタイミングでコラボレーションの作品を見られるとは思っていなかったので、びっくりしました(笑)

ラッキーでしたね。 コロナのロックダウンの影響で私とチームは自宅でずっと作業をしていました。 工場や生地メーカーも数週間前にようやく再開したところで、急いで作成に取り掛かってもらいました。後日公開される動画ではこのプロセスをご覧いただけます。 
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コロナがデザイナーに与えた影響とは?

クリス・ヴァン・アッシュはどのメゾンでも必ず展開していたのが良質なテーラリング。今回も今の時代感を匂わせるクロージングを展開します。
—— コロナ(COVID-19)を経験する前と後では、クリエイションに注力する際、何か変わったことはありますか? 

今回、自分のキャリアの中で初めて通常(トラディショナル)の方法、ランウェイや展示会など、でファッションを表現することができませんでした。私自身、リアルなモデルに着せて感じられるエモーションが好きです。今回初の試みでコレクションを動画でお見せすることになりますが、この形式だと視聴者は通常見ることのできない、インスピレーションや裏の部分をお見せすることができるので、それはとても興味深く感じました。

また、ロックダウンの影響でトラディショナルな方法でクリエイションできなかったのですが、これもアーティスティックな面で考えると面白い経験でした。 本当に必要な物だけにフォーカスし、どのピースも全て完璧に仕上げないといけません。 通常ですと細かい修正はモノができてから行いますが、今はその様な修正は全て頭の中、即ちアイディアの段階で行う必要があります。 先ほど言ったように無駄なく、必要な物にフォーカスしなくてはいけません。

—— コロナの影響でファッション業界もデジタル化がさらに加速しています。そんな中、コレクション発表の仕方など、どんな発信を考えていますか?

私は伝統的な手法で作品を発表することが好きですが、このコロナの影響でオンラインやビデオ、SNSでコレクションを発表するということが、さらに増えていくと思います。そんなSNSでのショーの配信で若い世代がどんなインスピレーションを感じ取るか、そこにとても興味があります。

今、世界中がデジタルへシフトしています。 しかし今回コラボレーションに選んだアーティストはデジタルとは真逆で手作業、手作りの要素が多い方です。 これはパティーヌのアートワークに共通する要素があります。   
—— ラグジュアリーの感じ方は、変わりましたか?

ロックダウンの最中、考えていたのは、「ラグジュアリー」は減るかもしれないということ。ですが、その分より良い物を作るように変わっていくと思います。作品の完成度を上げるためのパーフェクトな修正と編集(エディット)が求められていると思います。

—— 日本のファンや、LEON読者に伝えたいことはありますか?

日本の皆さんは、ラグジュアリーやクラフツマンシップ、クリエイティビティのバランスに対しての造詣が深いと思います。細密なテクニックやアーティスティックな面など、目に見えない部分への理解があります。そうした意味で今回のコラボレーションの作品を楽しんでいただけると嬉しいです。
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華麗なる経歴をもつ、クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)とは?

©Ronan
1976年ベルギー生まれ。1998年アントワープ王立美術アカデミーを卒業。その卒業作品が業界で話題となり、エディ・スリマンのアシスタントとしてイヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュのメンズラインに従事。2000年からディオール オム立ち上げのため、エディ・スリマンと共にクリスチャン ディオールに移籍。2015年、ディオール オムのデザイナーに就任。2018年ディオール オムを退任し、同年ベルルッティのクリエイティブ・ディレクターに就任。2019年1月のパリメンズコレクションでファーストコレクションが発表され話題となる。
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セラミックアート界の新星! ブライアン・ロシュフォール(Brian Rochefort)とは?

©Dustin
1985年生まれ。ロスアンゼルズ在住。セラミックを基調としたアート作品で話題のアーティスト。ロードアイランド・スクール・オブ・デザインで2007年にBFAを取得。「The Cabin(ロスアンゼルズ)」、「Steve Turner Gallery(ロスアンゼルズ)」、「Sorry We’re Close(ブリュッセル)」、 「Retrospective Gallery(ニューヨーク)」などのグループ展に参加。2007年、2008年にモンタナ州のアーチブレイ財団からリリアンフェロシップを受賞。2017年フロリダ州ボカラトン美術館での「Regarding George Ohr」、ニューヨークのエバーソン・ミュージアム・オブ・アートでの「Form Funk to Punk」展にも取り上げられています。
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今回のコラボ詳細はこちらの動画で!

#berluti

ベルルッティってどんなブランド?

ベルルッティは1895年パリで創業された4世代続くシューメーカーです。2005年に上質なレザーグッズを発売し、2011年にレディトゥウエアコレクションを発表。パリのマルブフ通りとセーヴル通りにあるベルルッティのアトリエは、全身フルオーダーメイドで誂えることができる世界で唯一のメゾンに。現在ベルルッティは世界中に50店舗を展開しています。

■ ベルルッティ

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