2024.01.25
西野亮廣が着る、“染まらない”オトコのスタイル PART2
時代のエッジを凝縮させたモードスタイルには、大人の色気とエレガンス、そしてファッションの楽しみがつまっています。そんなモードのポテンシャルを、著名人が華麗に披露するこの連載。第8回目のゲストは、芸人や童話作家としての活動に留まらず、新たな地平を求めて飛躍する、キングコングの西野亮廣さんです。
- CREDIT :
主演/西野亮廣 写真/前田 晃 スタイリスト/久 修一郎 ヘアメイク/Hanjee(SIGNO) 文/大塚綾子 編集/伊藤勇司(LEON.JP)
大人なモードの遊び方 第8回 主演 西野亮廣
“染まらない”オトコ PART 2
アツく理想を語っても、冷笑されてしまいがちな現代。そんな世間のシニカルなムードには染まらず、ブロードウェイでのミュージカル制作や武道館を舞台にした壮大なお祭りなど、不可能にも思える大きな夢を抱き、驚くほどの行動力で実現していくキングコングの西野亮廣さん。40代を迎えてもなお少年のようにピュアな心で理想の未来を語り、それを次々と叶えていく“染まらないオトコ”の魅力に迫ります。
全3編に渡ってお届けする「大人なモードの遊び方」。西野亮廣さん主演の第8回は“染まらない”オトコをテーマに、モノクロームの世界観でお届けします。
Valentino
画一的ではない、多様な男らしさを表現
かつては権威の象徴でもあったテーラリング。その代表的なアイテムである構築的なネイビージャケットに合わせたのは、一転たおやかなウォッシュドシルクで仕立てたスカーフネックシャツ。ひらりとたなびくスカーフネックは無造作に巻くだけでサマになり、赤みを帯びたブラウンのシルクが放つほのかなツヤが、さり気ない気品とフェミニティを加味します。さらに、ボトムに合わせたダメージデニムとボルドーのベースボールキャップで、やんちゃにハズしたコーディネートは、大人になってもピュアな冒険心を忘れない西野さんにお似合いなのです。
Dior
卓越したサヴォワールフェールが生む、とびきりのユーモア
いっそ染めてしまう方が、ずっとラク。それでもあえて手の込んだ手法を駆使して、“染まらない”ことを選んだ理由は、きっとワクワクするし面白いから。周りに同調してラクなやり方を選ぶのではなく、好奇心の赴くままに自分の道に進む“染まらないオトコ”西野さんにも通じるスタンスかと。
共地のスカーフ付きのカシミアニットはアイボリー。キュッと小さく結んで、エレガントな味付けを。
■ Interview
「未来は必ずいかがわしいところから来る。恐れていてはダメです!」
絵本作家としてファンタジーの世界を紡ぐ一方で、自らの経験に裏付けされたユニークな着眼点でこれまでに7冊のビジネス書を上梓。販売部数は累計100万部を突破して、ビジネスパーソンからも注目を集めています。
そこで、誰よりもピュアにエンタテインメントの可能性を信じる“染まらないオトコ”が、その実現のために模索する新しいビジネスモデルとお金のお話をじっくり聞きました。
── 最新刊の『夢と金』やYouTubeでも、度々お金の話をされますが、それには理由があるのでしょうか?
西野亮廣さん(以下、西野) これを言っても誰も信じてくれないんですけれど、僕自身は本当にお金に興味がないんですよ。日本ではお金の話をする人=銭ゲバとか、はしたないというイメージを持たれがちですけれど、僕は贅沢に興味ないし、貯金だってしたくない。自分の収入もお給料制です。じゃあ、なぜお金の話をするのかと言えば、生活して家族を守るにも、映画やミュージカルを作るにも絶対にお金が必要だから、なんですよね。
これまでもお金のリテラシーが低いせいで、才能あるクリエイターたちが夢を諦めていくのをたくさん見てきたので。
── たしかにクリエイティブの世界では、お金の話はタブー視されがちですよね。
西野 お仕事でいろんな現場に行きますが、ハリウッドやブロードウェイなど、海外で活動している日本人スタッフは、本当に仕事が丁寧で、技術面でポテンシャルが高い方が多いんです。
ただ残念なことに、1プレイヤーで終わっていて、いわゆる親になれていない。この分野で活躍できる日本人はひとりだと思い込んでしまって、日本人同士でポジションを奪いあったり、才能があるのに安く買われてしまう。すごくもったいないんですよね。でも、その親のポジションを取りに行こうと思ったら、お金に対する知識が絶対に必要なんです。
西野 僕自身がやらなくても、シェアした誰かが新しいテクノロジーや仕組みを利用して、何か面白いことを始めてくれればいいなと。僕はただ面白いものが見たいだけなので。
でも、良かれと思って僕がシェアしても、なぜか日本では「怪しい」とか「詐欺師だ」と言われることが多いんです。これは島国である日本人の気質かもしれないし、単純に僕の好感度が異様に低いっていうのもあるんでしょうけれど(笑)。
勉強をせず、自分の知らないことを否定したり、石を投げるのだけは、絶対にやらない方がいいですよね。それをやっていると、どんどん出遅れちゃうので。そうやって出遅れているうちに、日本は負けなくてもいいゲームにずっと負けている気がするんです。
── 西野さんもオンラインサロンやクラウドファンディングを始めた頃は、叩かれてしまったそうですね。
西野 そうですね。毎回「そんなに悪いことは言ってないのに」と悲しくはなります(笑)。いまとなっては浸透しているクラウドファンディングも、10年前からちゃんと受け入れられていたら、もっと救えた命もチャンスも山ほどあったので、やっぱり忸怩たる思いはあります。
歴史が好きなので、よく歴史目線で物事を考えるんですけれど、圧倒的に面白いエンタメ表現は、ビジネスモデルの変換から生まれているんですよね。たとえば日本の伝統芸能の能は、舞台から斜め奥に続く橋掛かりという渡り廊下のような通路があって、その構造上、演者は“縦の移動”で見せていたんです。
ただ、それだと無駄なスペースが多くて客席数が限られるから、収益は上がらない。そこで、壁側に舞台をくっつけたのが、歌舞伎や現代の演劇。それによって、舞台袖から出てくる演者が映える“横の移動”という新しい表現が生まれたと言われています。
── それは面白いですね。
そこで、当時まだ誰もやっていなかったクラウドファンディングで制作費を集める、という新しいビジネスモデルで作り上げたのが、絵本『えんとつ町のプペル』なんです。「スポンサーに頼らず、お客さんからの課金だけでエンタメを作ってみたらどうなるんだろう」という興味もあったんですよね。
『えんとつ町のプペル』の映画化やブロードウェイミュージカルへの挑戦という道が開けたのも、新しいテクノロジーをキャッチして、取り入れてみたからこそ。未知のものを恐れて蓋をしてしまうのではなく、まずは知ることが大切だと思うんです。
● 西野亮廣(にしの・あきひろ)
1980年兵庫県生まれ。芸人·童話作家。 著書は、絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』『みにくいマルコ』、小説に『グッド・ コマーシャル』、ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『バカとつき合うな』(堀江貴文氏と共著)『新世界』『ゴミ人間』などがあり、全作ベストセラーとなる。 2020年12月に公開された映画『えんとつ町のプペル』では脚本・制作総指揮を務め、大ヒットを記録。日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞、アヌシー国際アニメーション映画祭長編映画部門ノミネートなど海外でも高く評価される。国内最大級のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」を運営するなど、 芸能活動の枠を越え、さまざまなビジネス、表現活動を展開中。
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