夜がダメなら朝。酒がダメならお茶。それでも十分幸せです！

こんにちは、LEON.JPの森本です。いつ果てるともしれないコロナ禍の日々、酒飲みにとって何が辛いって、ほぼ外メシ＆外飲みができないこと。家でコンビニ飯＋缶ビール、みたいな生活が早1年半……。外で美味しい料理と酒を一緒に楽しむことが、いかに自分の精神生活に大きな意味をもっていたのか改めて感じ入る今日この頃であります。

そんな時にsioの「朝ディナー」に誘われました。sioといえばJリーグの練習生から小学校教師を経て、32歳で料理人の世界へ入った異色の経歴をもつ鳥羽周作シェフのお店。ベースはモダンフレンチでありながら、ジャンルを超越した独創的な料理とアットホームな雰囲気で大人気、ということは知っていましたが、代々木上原は守備範囲ではなく、これまで訪れたことがありませんでした。

夜じゃないけど、外食で美味しいものが食べられるなら、それもありかなと、当日は久しぶりに早起きして9時集合。お店は小田急線代々木上原駅から徒歩1分。小さな駅前通りにさり気なく、街の食堂的な感じで佇んでいます。

コロナ禍でのテイクアウトやお弁当サービスも話題になった「sio」ですが、状況はどうあれ出来ることを進めていくという意志と突進力を感じます。常にメッセージを発信し続ける鳥羽シェフにはファンも多く、この日も朝ディナーを求めて店にはお客様が集っていました（もちろん店のコロナ対策は万全にされたうえで、ですが）。

朝ごはんなのに「ディナー」。この場合「ディナー」とは夕食ではなく1日の主たる食事足りうるメニューという意味を込めての命名だそう。この日は朝ディナーのコース（全8品6600円）とノンアルコールのティーペアリング（全5種4400円）をいただきました。

まず1品目は冷製ポタージュが茶碗で出されます。人参をベースに、乳製品を少しだけ合わせて味を調えたスープ。人参本来の爽やかな甘味が峻烈で目が覚めるようです。

2品目はsioのスペシャリテでもある馬肉のタルタル。クミンの香りを纏ったビーツのサラダと合わせたねっとりした馬肉の旨いこと！ そして下のパリパリのラスクとの食感のコントラスト! ほんのりと梅干も効かせてありますね。この複雑な味覚の世界を一つにまとめ上げたシェフの手腕には恐れ入ります。

3品目はカツオを使った生春巻きの仕立て。カツオをづけにして、そこにブラッターチーズやトマト、オクラなどを合わせて葉で包んでいます。スープはドライトマトをベースにオリーブオイルを数滴たらして。酸味のコントロールが絶妙！

4品目はこちらも定番のスフレオムレツ。スプーンで割ると中はチーズと卵が絡み合ってトロットロ状態。出汁をベースにクリームと合わせたソースはバルサミコを効かせて少し甘酸っぱく、オムレツの味をさらに引き立てます。女子の好きなヤツです。

5品目は金目鯛のウロコ焼き。外はパリパリですが、中はバターをかけながら火入れしてあり、しっとりジューシー。フレンチの料理なのに付け合わせは日本的な大根おろしというのも意外性十分。

6品目は豚ロースのソテー。肉の旨味が凝縮した素晴らしい火入れ。2種類のソースと塩、付け合わせの野菜も美味しいです。

そして7品目のご飯膳は旅館の朝飯スタイルで登場。もう美味けりゃ国籍関係なし（笑）。バーミキュラで炊いたあきたこまちに、アオサの入った味噌汁、香の物。まずはご飯の美味いこと。そして和歌山県山利のシラスにニラ醤油＋ウズラの卵の黄身が恐ろしいほどの存在感。ヤバいです。

最後8品目はデザートのsioアイス。その名の通りの塩味のアイスで、ブリア サヴァラン（白カビタイプのチーズ）を練りこんで、濃厚だけど爽やかなお味を実現。オジサンもこの味、大好きです。

ん～。すべてに工夫と技が凝縮された料理で本当に満足度が高い！ まさにディナーと呼ぶにふさわしい充実ぶりです。そして併せたティーペアリングも最初の「ティースパークリング」から最後の「ダージリンティー」までそれぞれに素晴らしいんですが、ここでは割愛。

とにかく人の手によって丹精込めて作られた美味しい料理が食べられるって幸せです。そして朝だから身体もお酒を欲していないし、ティーペアリングは本当に素敵な試み。酒飲みの自分でも、お茶だけでこんなに楽しめるんだというのは大きな発見でありました。

この素晴らしき「朝ディナー」、実はsioでの提供は8月いっぱいで終了とのこと。ただし9月中旬、青山にオープン予定の鳥羽シェフの新しい店は朝から営業予定だそうなので、そちらでコースがいただけるとか。次は青山へGO！