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2018.04.10

女房は質に入れずに「初鰹」を食べに行ってきた

最近、飲み屋の貼り紙で目につくようになった「初鰹」の文字。その昔は大変高価に取引されていた旬の味覚を「土佐料理 祢保希(ねぼけ)」で味わってきました。

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文/森本 泉(LEON.JP)

桜の季節も終わると、街の飲み屋の貼り紙に「初鰹」の文字が踊り始めます。
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」は江戸時代の俳人、山口素堂の有名な句ですが、この句、「目には青葉」と字余りしておいて、(耳には)ほととぎす、(口には)初鰹、と耳と口を暗示しながら初夏の三福を謳っているのですね。「青葉」「ほととぎす」「初鰹」と、ほぼ夏の季語3つだけで出来ているという点でも珍しい句です。

こんにちは、LEON.JPのモリモトです。今回は、そんな旬を味わうべく、「土佐料理 祢保希(ねぼけ)」の日本橋店にお邪魔しました。

脂が乗った戻り鰹とは違う、身が締まったプリプリが魅力

炭火焼 鰹たたき 1500円。
こちら土佐料理の専門店ということで、皿鉢料理をはじめさまざまな土佐の美味が揃っているのですが、本日は「鰹」しばりでオーダーしてみました。

ところで鰹について皆さんはどの程度ご存知でしょう?
鰹は太平洋に生息する回遊魚。春になるとエサの小魚を求めて黒潮に乗って北上し、九州~四国~本州~三陸沖辺りまでやってくる。この北上する鰹を水揚げしたのが「初鰹」です。

九州では2~4月、本州で4~6月、三陸沖で7~9月ぐらいが水揚げ時期だそうです。そして夏が過ぎて水温が下がってくると、今度は産卵のために逆のコースで南下する。これを水揚げしたのが「戻り鰹」というわけです。

味で言えば「戻り鰹」は脂がのって、マグロのトロにも負けない濃厚な味が楽しめる。対する「初鰹」は身がしまってさっぱりとした食感が魅力ということになります。
たたきには、薬味をたっぷり乗せて。
さて。まずは、王道の「炭火焼 鰹たたき」を注文します。
こちらの「鰹たたき」は伝統の一本釣りにこだわった新鮮な鰹を炭火焼したもので、肉厚で噛み応えのある一切れ。確かに濃厚な味ではないのですが、単にさっぱりしているのでもなく、とても香り高く、しかも繊細な味わいで噛むたびに笑顔になるような一品です。

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その昔は初鰹1本に20万円を支払った男もいた

その昔は初鰹1本に20万円を支払った男もいた

鰹は毎年長い距離を南北に移動するわけですが、海の中を泳ぐスピードは通常時で時速30キロ、最高速度は80キロにも達するそうです。物凄いスピードで海中を駆け抜ける。だから鱗が退化して、あの銀色の美しい身体になってしまったそう。しかも生涯約100万キロを休むことなく泳ぎ続けるというのですから、大変な人生ならぬ魚生です。
鰹の皮取り 1800円。
彼らの苦労(?)に想いをはせつつ、お次は刺身の「鰹の皮取り」を。たたきと違って皮を取った刺身です。確かに、プリプリとして上品な美味しさです。鰹特有の臭みもなく、非常に育ちのいいお嬢様のような味(食べたことはありませんが)。日本酒が進みます。

江戸時代に「初鰹」は「女房を質に入れてもでも食え」と言われ、高値で取引されたと言います。当時は「初物は縁起がいい」「初物を食べると長生きする」という信仰もあり、1812年に歌舞伎役者の中村歌右衛門が初鰹1本に3両(現在のお金で20万円ほど)を支払ったという逸話も残っています。そんな「粋」な習慣が今も続いているのが日本の面白いところですよね。

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栄養価は高いのに脂分が少ないのでヘルシー=女子の味方

栄養価は高いのに脂分が少ないのでヘルシー=女子の味方

さて、ここで珍味を。「鰹はらんぼ塩焼」です。「はらんぼ」は、鮭で言うところのハラス、つまり腹の部分の肉なんですが、その腹の肉を皮と一緒に塩焼きにしたものです。適度な噛み応えと、脂が乗ったコクがある美味しさです。
鰹はらんぼ塩焼き 600円。
さらに「かつおコロッケ」。「とろカツオと甘味たっぷりの玉葱をふんだんに使った贅沢なコロッケです」とのことですが、まぁ、いわゆるコロッケです(笑)。
自家製かつおコロッケ 600円(2個)。
そして〆に、ごはんものをふたつ。ひとつは「鰹の土佐巻寿司」。鰹のたたきを薬味と一緒に巻いた土佐料理で定番の巻き寿司ですが、鰹は海苔との相性もいいですね。ボリュームあるけれど、パクっといけちゃいます。
鰹の土佐巻寿司 1000円。
そして最後に「鰹茶漬け」。胡麻だれに浸した鰹の切り身をあったかご飯に乗せて、その上からお茶を注ぎます。これは美味い! 想像以上に美味かった! トロトロの鰹は胡麻だれに漬けられることで、まったく新しい味わいを獲得します。何杯でも食べられそうな最高のお茶づけです。
鰹茶漬け 1000円。
というわけで、最初から最後まで鰹でまとめた料理でしたが、味のバリエーションもあり、まったく飽きずに楽しめました。

鰹は元々栄養価の高い魚で、貧血予防に効き(ビタミンB群や鉄分)、血をサラサラにし(DHAやEPA)、疲労軽減の効果(アンセリン)もあるのですが、更に初鰹にはカリウム、カルシウム、葉酸が豊富で、しかも戻りガツオに比べて脂肪量が圧倒的に少ないことで、ヘルシーでもあるのです。

美味しくて健康にもよい初鰹、女性に喜んでもらえること間違いなし。是非、彼女と一緒にご賞味くださいませ。

●祢保希(ねぼけ) 日本橋店

住所/東京都中央区日本橋室町2-4-3 日本橋室町野村ビル YUITO 3階
営業時間/月~金11:30~15:00(LO14:30)、17:00~22:30(LO21:30)、土日祝11:30~21:30(LO20:30)
定休日/年末年始、不定休あり
URL/www.katsuo.co.jp
予約・問い合わせ/☎03-3275-9640

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