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2020.12.05

33歳のミシュランシェフと、88歳のカリスマ杜氏がタッグを組んだ「小松SAKETRONOMY」

酒造りの神様、農口尚彦杜氏によるお酒と、石川県小松産の豊かな食材、そして気鋭の山崎志朗シェフという、美味の三位一体を楽しめるイベントへ出かけてまいりました。

CREDIT :

文/秋山 都

LEON.JP食いしん坊担当の秋山 都です。本日は、秋の美食につきまして。
なにを言っておるのか、もう12月だろというご指摘、ごもっともなのですが、11月に出かけました美食イベントがあまりに、日本の秋を代表するような美味にあふれておりましたので、振り返ってレポートさせてください。
出かけましたのは「農口尚彦研究所」(石川県・小松市)。
酒造りの神さまとあがめられる農口尚彦杜氏が率いる酒蔵です。
こちらの酒蔵では昨年より、小松市産の地元食材を使用して「美食のまち」としての小松市の魅力を発信し、世界中の美食家の「旅のデスティネーション」となることを目標としたプロジェクト「小松SAKETRONOMY(サケトロノミー)」をスタートさせています。

小松SAKETRONOMY(石川県・小松市)

その舞台となるのは、酒蔵に隣接されたテイスティングルーム「杜庵(とうあん)」。1面大きく開いた窓から、里山の風景を、そしてもう1面の窓から酒蔵の内部を眺められる、カウンターわずか12席のスペースです。漆喰の壁に、コの字型のカウンターがシンプルに置かれたデザインは、九谷焼の人間国宝でもある陶芸家、吉田美統氏(錦山窯3代目)と、陶芸家であり、空間プロデューサーでもある大樋長左衛門氏(大樋焼11代目)が、それぞれ「おもてなし」と「しつらい」をテーマにディレクションしたのだそう。

春には青々とした新緑を、夏には黄金色に頭を垂れる稲穂を、秋には樹々が色づく紅葉を、冬には雪景色を、それぞれ眺めながら、その土地から生まれた美酒・美味をいただけるなんて、なんとぜいたくなことでしょう。
▲農口尚彦研究所内のテイスティングルーム「杜庵」。
▲この日はMiss SAKEのみなさまもご一緒。いや、眼福、眼福……。
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この日、行われたのは「小松SAKETRNOMY」の4回め。毎回、国内外で活躍するシェフとコラボレーションする本イベントですが、今回白羽の矢が立てられたのはこの方。
▲山崎志朗シェフ、現在33歳の若さですでにスターシェフの仲間入り。
2018年、乃木坂に和食店「山﨑」をオープン後、わずか3か月でミシュラン1つ星を獲得した気鋭の料理人、山崎志朗さんです。新型コロナウィルスによりなかなか東京⇔小松の行き来が難しいなか、山崎シェフは「農口尚彦研究所」の酒をすべてテイスティングし、そこにどう地元食材を組み合わせるか試行錯誤したとのこと。
山崎シェフは「農口尚彦研究所」の酒についても「力強さの中に洗練とキレがあり、食事を受け止める包容力のあるお酒」と高評価。33歳のシェフと、まもなく88歳になる杜氏のガチンコタッグがいざ、はじまります。
【Limited Edition NOGUCHI NAOHIKO 2017×粕汁】
のっけから、年間5500本しか生産されないというすごいお酒が登場しました。合わせた粕汁には2019年の大吟醸を搾った際の酒粕を使用。能登産の土の香り高いゴボウに、辛子がほどよく効き、身体がふわりとあたたまりました。
【山廃純米酒 無濾過原酒 2017×酒まん】
このプレゼンテーションにみな笑顔になったペアリング。44度でお燗した酒と、米粉をベースにした酒まんじゅうのふわりと漂う香気といったら! 中にはこっくりとした豚味噌餡が入っていました。

▲酒にあわせて変えられる酒器の美しさも魅力。
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【JUNMAI 無濾過生原酒 2019×毛蟹酢の物】
この時期の石川県に来たら……蟹が楽しみです。大きな蟹肉の上に乗せられたのは、なんとナマコの卵巣のシャーベット。強烈な旨味の爆弾に酒のピッチがあがります。
【HONJOZO 無濾過 生原酒 2019×甘鯛酒蒸し】
昆布じめにした甘鯛をもちろん「農口尚彦研究所」の酒で酒蒸しに。それだけで贅沢ですが、さらには能登産の松茸がゴロゴロ……。
▲ぶりを焼いた藁は目の前のたんぼからとれたもの。
【YAMAHAI GOHYAKUMANGOKU しぼりたて 無濾過生原酒 2019 ×鰤 塩麹漬け 藁炙り】
さらには旬の鰤を目の前で藁で炙り、スモーキーな香りをまとわせた一皿。上の青い芽はタマネギの若芽だそうです。
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【YAMAHAI AIYAMA 無濾過生原酒 2018×雲子味噌柚庵】
これまた旬の雲子(鱈の白子)にこっくりとした味噌だれをかけて焼いた柚庵焼きはシルキーな食感。ぬるめにお燗した愛山がよくあいました。
【YAMAHAI GOHYAKUMANGOKU 無濾過生原酒 2018 ×干し薇信田巻】
干したゼンマイを油揚げで巻いて出汁で炊いた、一見地味な料理。でも深い滋味にあふれていて、この日いただいた料理のなかでもとくに好きな一皿でした。
【YAMAHAI MIYAMANISHIKI 無濾過生原酒 2018 ×真名鰹味噌漬け】
米粉をつけてカリっと揚げたマナガツオの下にはゆり根のピューレ。YAMAHAI MIYAMANISHIKI 無濾過生原酒 2018は、ANAの機内にも搭載されているお酒だそう。
【DAIGINJO 無濾過生原酒 2018×そぼろご飯】
ここにきて大吟醸! 上品な酸味が、このトロリとした卵の黄身、鶏そぼろの旨味を引き立てました。この卵黄は大吟醸を加えてイクラを仕込んだタレに3時間漬け込んだものだとか。もう泣きたいほど美味。
最後に、焼酎につけた干し柿のアイスクリームで大団円。いや、飲んで、食べて、飲みました・・・・・・。
▲この日飲んだ酒のラインナップ。
88歳の杜氏と33歳のシェフが互いにリスペクトをもって対峙する姿に、なぜか目がうるみました。自分の仕事に打ち込む人はかっこいい! 次回「小松SAKETRONOMY」はどんな方とコラボするのでしょうか。目が離せません。

◆農口尚彦研究所

住所/石川県小松市観音下町ワ1番地1 
HP/https://noguchi-naohiko.co.jp/

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