2025.08.02

ザ・リッツ・カールトン京都に足を運ぶ理由

昨年、リニューアルオープンした「ザ・リッツ・カールトン京都」の『シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue』が、浅草のあの名店とコラボレーションディナーを開催するとの情報を得たLEON編集部の堀川は、一路京都へ。9月6日までの味わえる特別な食イベントをご紹介いたします。

CREDIT :

文/堀川正毅(LEON)

コラボの難しさと楽しさを知る一夜

シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue 井上シェフと荒井シェフ
LEON編集部の食いしん坊担当の堀川です、こんにちは。京都は通いたいご飯処が多く、館内にレストランを構えるホテルが集客に苦戦しているというのはよく聞く話ですが、「ザ・リッツ・カールトン京都」の『シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue』は例外のようで、この夜も満席御礼。

ヘッドシェフの井上 勝人さんが今回のコラボレーションの相手として選んだのは、浅草フレンチの名店「オマージュ」の荒井 昇シェフでした。

井上シェフと荒井シェフはお互い面識はありつつも、頻繁に連絡を取り合う仲ではなかったそうですが、井上シェフが浅草のお店へ食事に行き、その料理と人柄に触れることで、いつかコラボレーションしたいと思う存在であったそうです。

一方の荒井シェフはというと、日本でフレンチを提供する身として、その意味を模索するなかで、フランス人をはじめ、多くの外国人が京都に足を運ぶその理由に興味を持ち、2005年から約20年間、通い続けているそうです。
PAGE 2
1日8席の特別な空間が今回の会場。「伝統と継承」がテーマになっている内装デザインで、京都の静けさと調和を感じさせる美しい空間です。
▲ 1日8席の特別な空間が今回の会場。「伝統と継承」がテーマになっている内装デザインで、京都の静けさと調和を感じさせる美しい空間です。
そして今回、井上シェフからの声がけでついにコラボレーションディナーが実現したというわけです。実は数ヶ月前、浅草の荒井シェフのお店でふたりは既に共演をしているそうで、お互いのホームでそれぞれセッションをするということは最初から決めていたそう。

「ホームに迎え入れる側はいわばキャッチャー。飛び込んでくる相手にいかに自由に、楽しく料理をしてもらうか、キャッチャーの腕にかかっている」と語る井上シェフ。

今回、荒井シェフを京都に迎えるに際し、どれだけ荒井シェフに最後まで気持ちよく料理をしてもらうか、楽しんでもらうか、考え待ち望んでいたと言います。
そんなふたりが今回のために用意した料理は、基本的には井上シェフと荒井シェフの一品が交互に登場する作りで、荒井シェフによる前菜のタルトに始まり、井上シェフのシグネチャー料理でもある近江牛フィレの料理、荒井シェフによる松の新芽のアイスクリームまで全12品が振る舞われました。
PAGE 3
前菜の「無花果のタルトレット」は荒井シェフによる一品。上に乗っているのはフレッシュな無花果です
▲ 前菜の「無花果のタルトレット」は荒井シェフによる一品。上に乗っているのはフレッシュな無花果です
「事前に色々と調べて、井上シェフに寄せた」と言う荒井シェフが提供したのは、ガスパチョやトルティージャなど、井上シェフが修行時代に過ごしたスペインの「ムガリッツ」を連想させる品々で、先述した近江牛の料理の付け合わせには、実際にムガリッツで提供されていた付け合わせを再現するという凝りよう。

また、興味深いのは、井上シェフの肉料理のソースは荒井シェフが手がけるという、夢のコラボレーションが実現している点。「試行錯誤の末に完成している料理に安易にコラボしてしまうとクオリティが下がってしまうのが一般的。何度も試食を重ね、ふたりが納得のいく領域に達したことで、ようやく一皿のセッションが実現しました」と井上シェフ。

ただでさえ貴重なふたりの共演ですが、この一皿だけでも席に着く価値あり!な素晴らしいものでした。
PAGE 4
ディナースタート時からじっくりと炭火で焼かれているのは、天然のウナギと賀茂茄子。これがどんな料理になるかと言うと……
▲ ディナースタート時からじっくりと炭火で焼かれているのは、天然のウナギと賀茂茄子。これがどんな料理になるかと言うと……
井上シェフによる「天然ウナギのサンドイッチ」に。蒲焼きではなく、バルサミコ酢と赤ワインで仕上げられた逸品です。ブリオッシュでサンドされたそれは、サクッとした食感とバルサミコ酢の酸味がやみつきに。
▲ 井上シェフによる「天然ウナギのサンドイッチ」に。蒲焼きではなく、バルサミコ酢と赤ワインで仕上げられた逸品です。ブリオッシュでサンドされたそれは、サクッとした食感とバルサミコ酢の酸味がやみつきに。
PAGE 5
井上シェフが見せてくれたのは、大きなあわびを贅沢にフリットにしたコチラ。そのまま食べても間違いなく美味しいであろうコチラは……
▲ 井上シェフが見せてくれたのは、大きなあわびを贅沢にフリットにしたコチラ。そのまま食べても間違いなく美味しいであろうコチラは……
あわびのフリット炭火焼き、黒トリュフトッピングに。あわびを揚げることで、サクッとした食感が楽しめます。トリュフは薄くスライスしてあり、あわびの旨みを邪魔しない絶妙な加減に。
▲ あわびのフリット炭火焼き、黒トリュフトッピングに。あわびを揚げることで、サクッとした食感が楽しめます。トリュフは薄くスライスしてあり、あわびの旨みを邪魔しない絶妙な加減に。
PAGE 6
続いて登場したのは、荒井シェフによる賀茂茄子のトルティージャ。井上シェフへのリスペクトが感じられるセレクションですね。
▲ 続いて登場したのは、荒井シェフによる賀茂茄子のトルティージャ。井上シェフへのリスペクトが感じられるセレクションですね。
仕上がったのがコチラ。ソースはブイヤベースで、ふわっふわのナスと絡み、絶品でした。河津海老の付け合わせも良い仕事してましたよ。
▲ 仕上がったのがコチラ。ソースはブイヤベースで、ふわっふわのナスと絡み、絶品でした。河津海老の付け合わせも良い仕事してましたよ。
PAGE 7
美味しい料理を作ることは当然。その上で、シェフ同士が楽しみ、携わるスタッフが経験値を積み、何よりお客様が喜んでくれる。そういう機会こそ、4 hands dinnerをやる理由だと語る井上シェフ。

通常なら自分とそのスタッフで回している厨房に別の人間がいるということは特異なことであり、お互いのリスペクトがないと成立しない、とも。だからこそ、お互いを研究し、話し合い、納得のいくところまで高められた料理は美しく、美味しい。

オープンキッチンで仕上げられる料理のライブ感に目を奪われつつ、時折見せるふたりのシェフの笑顔や談笑する姿がとても微笑ましく、こちらまで楽しくなってくる、そんな素敵な一夜となりました。
井上シェフのシグネチャーである近江牛のフィレの料理に、荒井シェフがソースを考案するという、奇跡のひと皿。ズッキーニから作ったソースで、粒マスタードが良いアクセントに。
▲ 井上シェフのシグネチャーである近江牛のフィレの料理に、荒井シェフがソースを考案するという、奇跡のひと皿。ズッキーニから作ったソースで、粒マスタードが良いアクセントに。
PAGE 8
料理に真剣に向き合うふたりが見せてくれる、楽しげな一面もまたご馳走に。誰と、どんな料理を、どのようにいただくことが幸せか、改めて考えさせられるひと時でした。
▲ 料理に真剣に向き合うふたりが見せてくれる、楽しげな一面もまたご馳走に。誰と、どんな料理を、どのようにいただくことが幸せか、改めて考えさせられるひと時でした。
井上シェフ、荒井シェフによる4 hands dinnerイベントはすでに終了していますが、ふたりの思いの詰まったコラボメニューは9月6日まで味わうことができます。この貴重な食体験のために、ぜひ京都に足を運んでもらえたらと思う次第です。
シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue

■ シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue

住所/京都市中京区鴨川二条大橋畔
営業時間/18時 一斉スタート
定休日/日曜、月曜、火曜
コース/コラボディナー3万5000円(税・サービス料込み)
TEL/075-746-5522
HP/https://chefstable.ritzcarltonkyoto.com

こちらの記事もオススメです

PAGE 9

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

登録無料! 買えるLEONの最新ニュースとイベント情報がメールで届く! 公式メルマガ

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        ザ・リッツ・カールトン京都に足を運ぶ理由 | 編集記 | LEON レオン オフィシャルWebサイト