2019.11.20

世界の誰も飲んだことのない白ワイン

どんなワイン好きでも絶対に飲んだことがなかった新しいワインが誕生しました。と言っても奇をてらった変わり種ワインではありません。世界的名醸造家が作った日本酒酵母を使った白ワイン。その名は「ぎんの雫」。これが驚くほど美味いんです!

CREDIT :

文/森本 泉

日本酒酵母でワインを発酵させる意味とは

こんにちは。LEON.JPのモリモトです。今回は誰も飲んだことのない白ワインのお話です。

そのワインを造ったのは、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社で「シャトー・ムートン」や「オーパス・ワン」といった世界的な銘醸ワイン造りにも関わった高名な醸造家、パスカル・マーティ氏。ボルドー大学で醸造を学んでいた頃、教授たちが口を揃えて言っていたのは「白ワインはできる限り低温で発酵させること」。そうすれば白ワインの魅力であるアロマを最大限高めることができるのだと教えられたそう。

しかし通常のワイン酵母では、一般的な白ワインのアルコール度数13度程度を実現するための発酵温度の下限は12度とされていました。「もっと低い温度で発酵出来たらどんな白ワインになるんだろう?」、そんな興味をずっと持ち続けていたパスカル氏が出会ったのが日本酒酵母でした。

チリで自身のワイナリーを設立後、輸出のため何度も日本を訪れるようになったパスカル氏は和食店で食事をする機会が増え、そこで大吟醸や生酒など、当時海外ではあまり出回っていなかった様々な高品質の日本酒を飲む機会に恵まれました。

そこで日本酒の繊細なアロマと味わいに感動したパスカル氏は、蔵元とも交流を重ねるうちに、日本酒が5度の発酵温度で20度近くまでアルコール度数を実現していることを知ります。「なんでだ~!っ」と驚愕したパスカル氏は、以後、日本酒の酵母を使ったワインを造ることに情熱を傾けます。
右から2人目がパスカル氏。左から2、3人目は『神の雫』原作者、亜樹直氏(姉弟)。
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フランス+日本+チリのハイブリッドによるまったく新しい白ワイン

しかしブドウから造るワインと、お米から造る日本酒では異なる点も多く、わからないことだらけ。そこで手を差し伸べたのが「獺祭」で有名な旭酒造の桜井博志社長(現会長)でした。桜井氏から日本酒醸造プロセスの詳しい説明やアドバイスを受け、ようやくプロジェクトの骨子となる醸造プランを作ることができたのです。

「きょうかい7号酵母」(真澄酵母)を使うことに決め、酵母の安定的な供給を受けるために、パスカル氏自らが日本醸造協会の会員になるなど、多くの努力を経て、日本酒の存在を知ってから7年、2018年にようやく完成したのが今回のワイン「ぎんの雫」です。

まず最初はソーヴィニョン・ブラン、そして次にシャルドネと2種のブドウを「きょうかい7号酵母」で超低温発酵させて使ったこのワイン「ぎんの雫」が11月14日に日本上陸。先日、そのお披露目試飲会に伺ってきました。

当日はパスカル氏に加えて、このワインを「ぎんの雫」と命名したマンガ『神の雫』原作者、亜樹直(姉弟)氏も登場。パスカル氏の作ったワインを試飲してその味に感動したおふたりがネーミングからラベルのデザインコンセプトまで担当した経緯を語りました。

日本酒の風味を遠くに感じさせる豊かなソーヴィニョン・ブラン

それではさっそくテイスティングしてみましょう。まずはソーヴィニョン・ブランから。これは、う、美味い! なんとも優しく豊かで複雑な味わいです。シャープな辛口というワインが多いソーヴィニョン・ブランですが、むしろその対極にあるような、ボリューム感を伴うクリーミーで厚みのある味わいは、どこか日本酒を思わせるもの。

そして次はシャルドネ。ふくよかな南国系果実の香りと上品な酸味の奥にまろやかで旨みのある深い味わいが広がります。
発表会の当日は2つのワインに合わせたマリアージュメニューも披露されました。監修はソムリエで日本酒にも精通し、ワインと日本酒を組み合わせた食事とのペアリングにも定評のある大城基裕氏。料理は六本木のフレンチビストロ「ル・プティ・マルシェ」の佐藤竜也総料理長。

ただ「美味い」しか言えない自分の語彙が残念ですが、昼間からグイグイとワインが進む素敵な料理であったとだけ申しておきましょう。当然ながら和食へのマリアージュが期待される今回のワイン。大城氏によれば、ワインと合わせるのが難しい寿司や刺身にもマッチする能力の高いワインであるとか。そして亜樹直氏は、このワインがパクチーにも合うと力説していらっしゃいました。

こんなストーリーのあるワインはパーティーやプレゼントにも好適かと。希望小売価格は3500円(税抜)。これはお値打ちですぞ。

■ 「ぎんの雫 グット・ダルジャン」

生産者/ワイナリー:パスカル・マーティ/ヴィニャ・マーティ
原産国・地域/チリ、レイダ・ヴァレー
ヴィンテージ/ソーヴィニョン・ブラン2018年、シャルドネ2109年
希望小売価格/3500円(税抜)
正規輸入元/株式会社 トゥエンティーワンコミュニティ
URL/http://www.21cc.co.jp/

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