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2018.12.08

【話題】超豪華フェラーリ本は買いか?

11月に発表され話題となった360万円のフェラーリ本。もう実物をご覧になっている方も多いでしょう。まだ、という方のために詳細をあらためてご紹介します!

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文/小川フミオ

フェラーリは本も超弩級だった !?

「コレクターズエディション」は250部で350万円(税抜き、輸送費別)
フェラーリはつねに特別な存在である。そう信じているひとは世界中に多く、メーカーじしんもそれに応えようとしてきた。車両でいうと、2018年10月に発表したごく限られたひとのための「モンツァSP1」および「同SP2」は好例かもしれない。

モンツァシリーズはともに「イコーナ」という限定生産プロジェクトであり、100万ドルを超える価格で販売されるそうだ。おもしろいのは、ことはクルマに限らないというところである。
マーク・ニューソン氏がデザインしたケースに収まる「コレクターズエディション」/ 写真=Chiaki Oshima
さる2018年11月に、東京・代官山で新しい「フェラーリ」のお披露目が行われた。ただしこちらは走らない。「タッシェン」というユニークな美術書で知られた出版社が手がけた歴史本なのだ。

私が最初にこの「Ferrari」を見たのは、2017年に伊マラネロで開催されたフェラーリの70周年記念のイベント会場だった。テスタロッサ(赤いヘッド)とも呼ばれるフェラーリのトレードマークであるエンジンのカムカバー(中に本が入っていると言われた)がエグゾーストマニフォルドを模した専用スタンドに載っている。
あいにくそのとき中身は空っぽ。伝説的な創始者エンツォ・フェラーリとも親交のあったピノ・アリエビ氏が、あらゆるコネクションを駆使して集めた貴重な写真で構成した歴史本になると聞き、心待ちにしていた。ようやくそれに出合えたのだ。

カムカバーのケースを開けると、540ページの大型本が収まっている。装幀なフェラーリのシートに使う革を手縫いしたもので、製本はバチカンのために本を作る職人が手がけたそうだ。

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 フェラーリ70周年に合わせて企画がスタートした

ケースの中から本を取り出したところ
真っ赤なカバーをひもとくと、内容はレースを中心に、歴史的なモデルが網羅されている。車両データやこれまでのレースでの戦歴もカバーされている。フェラーリファンのみならず自動車好きは絶対に飽きないはずだ。

10のチャプターで構成されていて、ひと、クルマ、レースと主題は豊富だ。歴代の名ドライバーのこれまで見たことのない表情をとらえたカットが目をひく。加えて、グランプリレースや、ミッレミリアやタルガフローリオなど世界的に知られた公道レースのシーンも息を吞むような迫力だ。

フェラーリをはじめ、世界中のコレクターが秘蔵してきた写真をかき集めたというが、そこから厳選されているだけに内容は一級だと思う。ページをめくるたびに嬉しい驚きが待っているといってもよい。

ケースのデザインはマーク・ニューソン

本の表紙にはクルマと同じという跳ね馬(キャバリーノ・ランパンテ)がつく
「この企画は4、5年前に、フェラーリのピエロ・フェラーリ副会長から出版に興味があるか打診されたのがきっかけです。70周年に合わせた企画ということで始まりました」

東京で本を紹介するためのレセプションのために来日したタッシェン社でマネージングディレターを務めるマレーネ・タッシェン氏は、当時を振り返ってそう語る。

「父(タッシェン社社長)と私は、そのときマラネロに招かれ、フィオラノのテストコースで同乗試乗をさせてもらったりしました(笑)。フェラーリの本質はいまも”走り”にあるということでしょう。父と私はそこで、本でなくスピリットを作ろうと考えました」

そのため、タッシェンではプロダクトデザイナーとして高名なマーク・ニューソン氏に連絡をとった。希望は「ふつうの本を超えたファンタスティック・オブジェクトを作ること」だったそうだ。

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マーク・ニューソンがデザインした豪華ケース 

12気筒のエグゾーストマニフォルドを模したスタンドが「コレクターズエディション」にはつく
ニューソン氏はフェラーリの大ファンであり、かつ、これまでにタッシェンのためにいくつもの豪華本をデザインしてきた経験を持つ。そこですぐに、カムカバーのケースとエグゾーストマニフォルドのスタンドという現在のかたちが決まったという。

カムカバーをモチーフに選んだのは「フェラーリの象徴だから」とやはりレセプションに参加したニューソン氏は言った。

「エンジンはレースで活躍したフェラーリの象徴であり、フェラーリがみずから工場で作っていたものでもあります。ボディはピニンファリーナやスカリエッティが作っていましたから」
左からタッシェン社の創設者ベネディクト・タッシェン氏、マーク・ニューソン氏、マルレーネ・タッシェン氏、フェラーリのジョン・エルカン会長 / 写真=Chiaki Oshima
マレーネ・タッシェン氏によると、しかし、本を作るのは大変だったようだ。最初にデザインされたケースより本のページ数が多くなって収まりきらなくなり、再デザインを強いられたり……。

「でも私たちのポリシーは、主題がなんであれ、ベストブックを作ること、なんです。必要だと思われることがあれば、時間がかかってもお金がかかっても、歴史の残るタイムピースを作ることなんです。本じたいがアートと考えています」

そのポリシーと、フェラーリという主題が合致して、ニューソン氏がうまく造型したのが、この「Ferrari」といえるだろう。トータルで1947冊の限定で、2種類が用意される。

スタンド付きの「コレクターズエディション」は360万円で税と送料は別途、スタンドのない「アートエディション」は72万円(+税)だ。代官山 蔦谷書店で取り扱っている。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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