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2018.10.21

【試乗】ロールスロイスのSUVカリナンに試乗。世界最高峰の乗り心地は?

世界で一番贅沢なSUV、ロールスロイス・カリナン。そのユニークなデザイン、適度にスポーティな走行性能、圧倒的なラグジュアリーさを誇る、この1台が目指すものとは? ジャーナリスト小川フミオが試乗リポートする。

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文/小川フミオ

ロールスロイスのポリシーを体現したSUV

世界でもっともぜいたくなSUVに乗りたいなら……ロールスロイス・カリナンにとどめをさすのでは。2018年上半期の自動車界の話題をさらった感のある12気筒搭載の大型SUVに、10月に米国で試乗する機会があった。

カリナンは市販のロールスロイス車としては初めて前輪を駆動するモデルということだけでも、注目に値する。前後50対50のトルク配分を持つフルタイム4WDシステムに組み合わされるのは、6.75リッターの12気筒エンジンだ。

420kW(571ps)の最高出力と850Nmの最大トルクという数値はだてではない。2.6トンという重量級ボディにも充分すぎるほどの力を発揮するのだ。ロールスロイスのポリシーは「Effortless, Everywhere」という。不足を感じることなく、どこでも走れる、というのがロールスロイス車のあるべき姿なのだそうだ。
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全長5341ミリ、全幅2000ミリ、全高1835ミリと威風堂々たる存在感
世界各国から招いたジャーナリストに向けての試乗会の場所は、米ワイオミング州ジャクスンホールだった。読者のなかにはご存知のかたも多いだろうが、全米屈指の人気を誇るリゾートである。

リゾートといってもヤシの葉が風にたなびくようなところではなく、西部劇の世界である。峻険なロッキー山脈を遠景に、砂埃がまうような土地で、エルクやシカやバイソンなど野生動物がひんぱんに出没する。この土地で「シェーン」をはじめ、最近ではクエンティン・タランティーノの「ザ・ヘイトフルエイト」まで多くの西部劇映画も撮影されている。

カウボーイやカウガールが馬に乗っているこの土地に、米国の富裕層はプライベートジェット機でやってくる。夏は冷涼な気候が好まれ、冬はコロラドのアスペン/スノーマスのようなスノーリゾートとして人気が高いようだ。

実際にロールスロイスが用意したホテルは丘の上にたつアマンリゾート「アマンガニ」だった。低層の建物で部屋のテラスに出ると山並みが見え、じつに気持ちがいい。
知っているひとが観るとすぐにロールスロイスと分かるリアビュー
カリナンでのドライブは、積雪のないなか、スキースロープのサービスロードを山頂まで登り下りし、舗装路を走り、最後は未舗装の山岳路をえんえん走るというものだった。

1650rpmという低い回転域で最大トルクが発生する設定のため、きびしい急勾配の山道でも力不足を感じることはなかった。エフォートレスにエブリホエアを走れるようにという考えは、こうして実を結んでいるのかと感慨ぶかかった。

同時に、カリナンには後輪操舵システムも搭載されている。これもエフォートレス、エブリホエアの考えによるものだろう。とくにきつい曲率のカーブではたいへん重宝した。ふつうだったら何回も切り返しが必要なカーブでも後輪操舵により車体の回転半径が小さくなるので、難なくこなしてしまうのだ。

オンロードではもちろん、ほんの少しアクセルペダルに載せた足に力と入れるだけで、ものすごいトルクでクルマが前に出てゆく。同時に感心させられたのは、乗り心地だ。

ロールスロイスでは「マジックカーペット(魔法のじゅうたん)ライド」という乗り心地を、SUVであるカリナンでも守ることを開発の指針にしました」と話しているぐらいだ。
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セダンに近いデザインのダッシュボードで、この仕様は左右対称の木目を持つウッドパネルが貼られている
岩がごつごつしている路面でも過度な揺れは経験しなかったし、オンロードではSUVにありがちなサスペンション・ストロークの不足感に悩まされることもなかった。エア封入のアダプティブダンパーは細かく動き、突き上げも抑えこみつつ、一定のフラットな乗り心地を提供してくれたのだった。
「このクルマはスポーティに仕上げました」とロールスロイスの開発者はいい、ステアリングホイールは小径でグリップも太めであることを指摘してくれた。実際にハンドリングはよく、車体の応答性も高い。

ドライバーと車両との意思疎通が、ステアリングホイールを通じても出来ているため、小さなカーブが連続するワインディングロードでも気持ちよく走れる。ブレーキの効きもよく、一般的な意味でのスポーティ性とはちがうが、運転じたいを楽しめる設定といえる。

おもしろいのは、いっぽうで、後席の作りこみの高さだ。シートの仕様は二つあり、ひとつはラウンジシートと呼ばれるカウチのようなスタイル。行儀が多少悪くなるのを承知でリラックスしていられる空間になる。

もうひとつはセパレート型だ。左右独立型で、中央に大きなセンターコンソールが設けられている。シャンパンクーラーなどもここに設けられるようだ。

同時にフロントシートのバックレストには多機能モニターを設けることも出来る。映像をはじめ各種のインフォテイメント用で、自分のスマートデバイスを接続して、走るオフィスとして使うことも出来る。

ドアは観音開きで、後席へのアクセス性は抜群によい。リアクォーターウィンドウが大きいのは、後席乗員を隠そうとするセダンと異なったコンセプトだ。オフローダーは視界の確保が重要なので、やるなら徹底的に、とデザインした結果だろう。
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このラウンジシート仕様はホワイトにブルーのパイピング
リアスタイルは独立したトランクがついたような、いわゆる”バッスル”というスタイルだ。理由をデザイナーに尋ねたら、「2ボックスにするとレンジローバーになってしまうので、ユニークさ(distinctiveness)を狙って今回のデザインを採用しました」と教えてくれた。

トランクリッドは上下に分かれて開くスタイルで、使い勝手はかなりよさそうだ。「ドローンレーシング、フライフィッシング、写真撮影、ロッククライミング、カイトボーディング、ボルケーノボーディングなどあらゆる楽しみに使える」。ロールスロイスの弁である。

20代を中心にデザインチームを作って、カリナンのデザインに当たらせたのだそうだ。車両は3600万円からで、なかなか手の届く価格ではないが、それでも「若い世代の認知を上げたい」と開発者は話している。
そのためにデザインを含めて従来とあえて違う道を選択したというカリナンなのだ。12気筒エンジンが6気筒ハイブリッドとかピュア電気モーターに取って代わられることはすぐにはないといい、当面は昔からのクラフツピープルシップ(クラフツマンシップ)による内装やトルキーな多気筒エンジンによる重厚な雰囲気を大事にしていくそうだ。

とはいえ、新開発のシャシーにはさまざまな可能性が詰まっている。未来のことを考えるのも楽しいカリナンである。そういえばカリナンとは20世紀初頭に南アフリカのカリナン鉱山で見つかった3106カラットのダイヤの原石の名称でもある。ロールスロイス・カリナンもこれからさらに磨きあげて、将来ますます輝かせようというなら、それは楽しみではないか。
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● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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