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2018.07.29

新型ポロGTIに試乗! コレこそ大人のスポーツカーだ!

見た目は普通のハッチバックなのに、その気になればスポーツカーもカモれる。小さなボディにハイパワーエンジンとスペシャルな足回りを搭載した、ホットハッチ。その草分けの称号GTI をまとった最新ポロにジャーナリスト小川フミオが試乗した。

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取材・文/小川フミオ

マジックワードという英語の表現がある。その言葉を聞くと、感動してしまうような力をもったもの。たとえば米国人にとって「カリフォルニア」は、そんな響きをもった言葉だとか。

自動車の世界でも似たような事例がある。たとえばポルシェ好きにとっての「RS」。フォルクスワーゲン好きにとっての「GTI」だ。

レンシュポルト(レーシングスポーツ)を意味するRSはポルシェが1955年に発表したレース仕様「550スパイダーRS」あたりにさかのぼる。
全長4075ミリの4ドアボディに200馬力エンジンは充分すぎるパワー
全長4075ミリの4ドアボディに200馬力エンジンは充分すぎるパワー
メーカー自身がその名称を大切にし、これはという高性能車にしか使ってこなかった。つまり、どうでもいいクルマへの採用を回避したおかげで、イメージの風化が防げたのだ。

GTIも同様だ。フォルクスワーゲン(VW)が1974年に発表したゴルフのホットバージョン(高性能仕様)として、翌75年に発表したゴルフGTI がオリジナルである。

グランドツーリスモの頭文字GTはスポーティなツーリングカー、つまりスポーツカーではないがスピードと操縦性能を楽しむクルマとして確固たるマーケットを築いていた。

VWのマーケティングがすぐれていたのは、たんなるGTでは手垢がついていると考えたところだ。燃料噴射を意味するIをくっつけたことでいっきに新世代という印象が強くなった。

たしかに初代ゴルフGTIは画期的なクルマだった。なによりアウトバーンでの覇権を、メルセデス・ベンツやポルシェから奪おうとしたところがすごい。

ゴルフはデザイン的にすぐれているといっても、多くのひと向けに作られた機能主義的なハッチバックである。

バックミラーで「なんだゴルフか」と思っている高性能車のドライバーも、次の瞬間、バビュンッとGTIに抜き去られる。

「そういえばフロントグリルに赤い隈取りがあった」と思い出しても後の祭りである。そんなアウトバーンでの下克上を狙った痛快なモデルだったのだ。
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ボディカラーは写真のピュアホワイトに加え、レッド、ブラックパールエフェクト、グレイメタリック
ボディカラーは写真のピュアホワイトに加え、レッド、ブラックパールエフェクト、グレイメタリック
いまもゴルフGTIは連綿と作られてきて根強いファンがいる。いっぽう、ゴルフの妹ぶん(クルマは女性名詞なので)のポロにもGTIがある。2018年夏に日本にも最新モデルが導入された。

これがまた痛快なモデルなのだ。エンジンは大きめの2リッター。最高出力は147kW(200馬力)、最大トルクは320Nmだから数値の上でもパワフルさがわかるだろう。

このホットなエンジンが全長4075ミリというコンパクトなボディに搭載されている。変速機はツインクラッチの6段で、前輪駆動である。

おとなの男に勧めたいのは、いざとなると速いが、一見そうは見えないアンダーステイテッド(控えめ)なスタイリングと、実際におとなしく走っても充分楽しい操縦性ゆえだ。

ワインディングロードでは「買ってよかった!」と思えるだろう。上りではもちろん力があるが、下りがとくに楽しい。

剛性感が高く応答性のいいハンドリングはこのクルマの最大の魅力で、サスペンションはスポーティな設定の専用タイプを装着する。
スポーツシャシーに専用サスペンションシステムを備える
スポーツシャシーに専用サスペンションシステムを備える
ステアリングの切れ角はあくまで少なく、カーブではノーズがすっすっと内側を向いていく。あとはアクセルペダルの踏み方しだいで、ロケットのように坂を下っていけるのだ。

ステアリングホイールへの路面からキックバックも適度に伝えられるので、ドライバーは安心して操縦できる。フツウのモデルはステアリングが少しゴムっぽい感覚だが、こちらは別ものだ。

ドライブモードセレクターが備わっており、「スポーツセレクト」を選ぶとダンピングが硬めになることに加え、ステアリングは重めでしっかり感が出て、エンジンのレスポンスがよくなる。
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レッドがいいかんじの室内で、チェック柄はVWのGTIの定番
レッドがいいかんじの室内で、チェック柄はVWのGTIの定番
アクセルペダルを軽く踏み込んだだけでエンジンはすぐに反応し、回転はスムーズに上がる。2000rpmの手前から太いトルクバンドに飛び込む印象で、2500から3000rpmをキープするように走らせると、もう、最高の感覚である。

ひとことでいうと、胸のすくようなドライビングが楽しめるのだ。かたちは小さめなハッチバックだが、中身はスポーツカーのようだ。

ゴルフGTIには6段マニュアル搭載仕様もあるという強みがあるが価格は435万9000円。対するポロGTI は344万8000円なのでだいぶ差がある。
6段ツインクラッチトランスミッション搭載
6段ツインクラッチトランスミッション搭載
実はもう1台、VWには隠し球がある。限定で発売されたup! GTIである。こちらは全長3625ミリの車体に85kW(116馬力)と200Nmの999ccエンジン搭載。

1リッター未満とは思えないパワフルさが身上だ。そしてより魅力を感じるのはポロGTIと同様、ワインディングロードの下り。ハンドリングマシンという言葉があるけれどまさにそれなのだ。

下りの速度を利用して、あとはたしかなハンドリングで、ステアリングホイールを切る方へ瞬時に向きを変えていく。車体のロール制御も適正で、ドライバーを中心にクルマが動く感覚は絶妙だ。

もうひとつの大きな魅力はマニュアルギアボックスをもつことだ。ギア比も接近しているスポーツタイプで、しかも操作感はすっとゲートに吸い込まれるかんじでたいへん好ましい。
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パーキングポジションの隣りの位置に「ドライビングプロファイル機能」のセレクターが備わる
パーキングポジションの隣りの位置に「ドライビングプロファイル機能」のセレクターが備わる
クラッチペダルのストロークが長く、上のほうでクラッチが切れるので(昔のポルシェ911を思い出した)慣れるのに少し時間がかかるかもしれない。

が、いったんコツをのみこめば、ちょんっとクラッチペダルを踏んでさっとギアを替える。その一連の流れはすぐに自家薬籠中のものとできること請け合う。

ドアが重くて大きな2ドアであることだけが残念な点だ。ボディ剛性がより高く、かつ狭い駐車場でも使いやすい4ドアが欲しい。

up! GTIは219万9000円と価格もかなり魅力的だ。日本車でだってここまで品質感のあるモデルをこの価格では買えない。

そういえばもうひとつ残念なことがある。up! GTIは600台限定発売なのだ。しかもほとんど予約が入っているとか。次のロットが売り出されることを期待しよう。

スポーツカーではないが、こういう速いスモールカーはドライバーの腕の見せどころだ。それこそ大人のオトコをカッコよく見せてくれる最良の道具だと思う。

あるいは多少なりとも人生経験を積んできた女性なら、この選択肢をホメてくれるかもしれない。そういうひとが最良のパートナーなのかもと思ったりしませんか。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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