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2025.11.16

個人がオーダーした、世界で一台だけのフェラーリSC40を知っていますか?

フェラーリには超富裕層向けにオーダーを受けるサービスがある。その中でも特にスペシャルなのが「ワンオフ」。この度発表されたSC40は発注主は発表されていないが、F40をイメージにオーダーされたものだと言う。その全貌をリポートする!

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文/小川フミオ(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/Ferrari SpA 編集/高橋 大(Web LEON)

F40にオマージュを捧げたワンオフのフェラーリ

296GTBをベースに大きなリアウイングなど大胆なデザインを実現。
▲ 296GTBをベースに大きなリアウイングなど大胆なデザインを実現。
フェラーリが「SC40」なるモデルを2025年10月に発表しました。太っ腹なオヤジさんが注文した、世界で1台っきりのフェラーリなんですと。こちらフェラーリの中でも特別な「ワンオフ」というサービスで作られたもの。

SC40ってちょっと変わった車名。ぴんときたオヤジさんもいるでしょうか。そうなんです。1987年登場で当時スーパー・フェラーリと呼ばれた「F40」のイメージを盛り込んだんだそう。

F40はフェラーリ40周年を記念してつけられた車名。中身はグループBというレースへの参戦を前提にしていたほどの”カリカリ”です。

腕におぼえのあるひとでないと扱えないような性能ぶりで、逆にそれだけに「このところフェラーリはマイルドになったなあ」なんて言っていた当時のファンがとびつきました。
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初期型は乗りにくく「怖い」などとも評されたフェラーリ40周年記念の「F40」。
▲ 初期型は乗りにくく「怖い」などとも評されたフェラーリ40周年記念の「F40」。
カーボンファイバーとカーボンケブラーとアルミニウムで徹底的に軽量化をはかった車体に、3リッターV8ツインターボエンジンを搭載の後輪駆動でした。

車体のデザインはピニンファリーナ。ほとんどグラウンドクリアランスのないような低いノーズからリアにかけて、極端なウェッジシェイプです。

車体には各所に空気採り入れ孔が設けられ、リアには高いウイングがそびえていたのも迫力。

サイドとリアのウインドウはレクサンというポリカーボネートがガラスの代わりに使われていました。
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細部までF40を感じさせるディテールが満載

白系のボディとダークなガラス部分などモノトーンのコントラストが印象的。
▲ 白系のボディとダークなガラス部分などモノトーンのコントラストが印象的。
リアエンドにはネットが、エンジンルームからの熱気抜きのために張られています。その下には3本の排気管。中央の1本は大径ターボの排気圧を抜く特別な排気管、というぐあい。

F40が歴史に残るのは、機能を採り入れたデザインゆえでしょう。ある種の機能美ですな。

SC40を注文したひとが誰だか発表されていません。少なくともF40の大ファンだったのでしょうね。デザインを担当したのは、フェラーリのデザインセンターです。

とくに目立つリアウイングやドアのところの黒色のエアインテーク、それにテールエンドなどが、インスピレーションを受けた部分ですね。

もうひとつ、凝っているのは素材。F40はそもそもレースカーのコンセプトがベースですから軽量化を徹底的に追求していました。
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内装は機能と快適性の両立がはかられた296GTBそのもの。
▲ 内装は機能と快適性の両立がはかられた296GTBそのもの。
カーボンファイバー、カーボンケブラー、そしてアルミニウムが多用されています。なかでも内装に使われていたケブラー素材を、今回はSC40のために再開発したといいます。

SC40の車体は、このクルマのために開発された特別な白色で塗られています。太陽光線による陰影をきれいに出すとともに、ケブラーをイメージした色、とフェラーリでは説明しています。

中身は先述のとおり296GTBなので、3リッターV6気筒エンジンをミドシップ。プラグインハイブリッドによって、最高出力は610kW、最大トルクは740Nmと同一です。
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ヘッドランプまわりやチンスポイラーの意匠などは最新のフェラーリの文法どおり。
▲ ヘッドランプまわりやチンスポイラーの意匠などは最新のフェラーリの文法どおり。
フェラーリのデザイナーは、F40的な要素をちりばめながら、空力などを考え抜き、ベースになった296GTBの性能を守っています。

どこが似てないとか、そういうあら探しをされると、いやちょっと違うんです、って言われるかもしれませんね。あくまでもインスパイア系ですから。

フェラーリでは、量産モデルに加えて、今回のようなボディデザインまでオーダーに合わせて特別な1台を作る、「ワンオフ」と、ベースモデルに対して個人の好みを内外装にうんと反映できる「テイラーメイド」を富裕層に向けて展開。

さらに、歴史的なモデルを要素を採り入れたごく限定の「イコーナ」、それにサーキット志向のひとのための「スペシャルシリーズ」など、ラインナップは多彩です。

なんともうらやましい楽しみではありませんか。
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ぱっと目をひくリアビュー。
▲ ぱっと目をひくリアビュー。
▲ 2.9リッターV6プラグインハイブリッドユニットの存在を感じさせるフード 。
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F40は合成樹脂のリアウインドウとネットとでエンジンを見せた衝撃的デザイン。
▲ F40は合成樹脂のリアウインドウとネットとでエンジンを見せた衝撃的デザイン。
フルバケットシートでサーキットイメージを強調したF40。
▲ フルバケットシートでサーキットイメージを強調したF40。
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エアを室内に導入するNACA型エアダクトが目をひくF40のボンネット。
▲ エアを室内に導入するNACA型エアダクトが目をひくF40のボンネット。
エンジンの整備性のよさがサーキット走行を常に視野に入れているフェラーリの特徴。
▲ エンジンの整備性のよさがサーキット走行を常に視野に入れているフェラーリの特徴。

■ フェラーリ・ジャパン

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小川フミオ(自動車ジャーナリスト)
クルマ雑誌、グルメ雑誌の編集長を経て、フリーランスのライフスタイルジャーナリストとして活躍中。新車の試乗記などクルマ関連を中心に、グルメ、ファッション(ときどき)、他分野のプロダクト、人物インタビューなどさまざまなジャンルの記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。

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