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2025.11.19

スクープ⁉ ランボルギーニCEOインタビュー 「第4のモデルは背の低いGTになります」

2025年10月24日、アウトモビリ・ランボルギーニは東京江東区・有明アーバンスポーツパークにおいてLamborghini Day Japan 2025を開催した。来日したアウトモビリ・ランボルギーニChairman and CEOであるステファン・ヴィンケルマン氏に、電動化戦略、そして次期型モデルについても話を聞くことができた。

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文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
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写真/アウトモビリ・ランボルギーニ 編集/森本 泉(Web LEON)

全ラインアップの電動化を達成しました

ランボルギーニCEOインタビュー
今回で9度目となるLamborghini Day Japanには、アウトモビリ・ランボルギーニChairman and CEOであるステファン・ヴィンケルマン氏が来日。世界限定29台の‘Few Off’モデル、Fenomeno(フェノメノ)と、ランボルギーニのカスタマイズ・プログラムによって日本国旗を表現した特別仕様車 Revuelto Ad Personam(レヴエルト・アド・ペルソナム)という2台のアジア太平洋プレミアを行った。そのタイミングでヴィンケルマン氏にインタビューすることができた。
世界限定29台の‘Few Off’モデル、Fenomeno(フェノメノ)
▲ 世界限定29台の‘Few Off’モデル、Fenomeno(フェノメノ)。
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ランボルギーニのカスタマイズ・プログラムによって日本国旗を表現した特別仕様車 Revuelto Ad Personam(レヴエルト・アド・ペルソナム)
▲ ランボルギーニのカスタマイズ・プログラムによって日本国旗を表現した特別仕様車 Revuelto Ad Personam(レヴエルト・アド・ペルソナム)。
ランボルギーニは、2021年より電動化戦略「コル・タウリ(Cor Tauri)」を掲げてきた。2023年にハイブリッドシリーズの初となるモデルを発表し、2024年末までにラインアップの全車を電動化。2025年初めからCO2  排出量の50%削減を目指す。そして、2026年以降にはランボルギーニ初の電気自動車を世に送り出すというものだ。
Automobili Lamborghini Chairman & Chief Executive Officer Stephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)
Automobili Lamborghini Chairman & Chief Executive Officer/Stephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)
1964年ベルリン生まれ、イタリアのローマ育ち。メルセデス・ベンツ、フィアットを経て、2005年よりアウトモビリ・ランボルギーニの会長兼最高経営責任者(CEO)に。2016年からはクワトロGmbH(現アウディ・スポーツGmbH)のCEOに、2018年初頭にはブガッティ・オートモービルズSASの会長に就任。2020年末より、会長兼最高経営責任者としてランボルギーニに復帰し現在に至る。
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── あらためて、コル・タウリの進捗状況はいかがでしょうか。

ステファン・ヴィンケルマンさん(以下、ヴィンケルマン) 電動化戦略はいくつかの段階に分かれていました。まず2023年まではこれまで歴史を重ねてきた内燃機関への賛辞を送る期間で、そしてレヴエルト(12気筒のPHEV)の登場によって第2段階に入ったわけですけども、ウルス、そしてウラカンの後継であるテメラリオとモデルラインナップのすべてがハイブリッド化しました。前世代よりも良いクルマであることはもちろん、CO2排出量を削減するとお約束をさせていただきましたが、正しいステップを経て過去最高のラインアップになったと自負しております。

スーパースポーツカーであるレヴエルトとテメラリオをハイブリッド化しましたので、このハイブリッドをできるだけ長く持続するということ。そして次の段階に入るわけですが、4つ目の新型モデルは完全なフル電動化モデルを検討しています。
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V8ツインターボエンジンと3つのモーターを組み合わせたハイブリッドスーパーカーの「テメラリオ」。最高出力920PS、最高速度は340km/hを超える。
▲ V8ツインターボエンジンと3つのモーターを組み合わせたハイブリッドスーパーカーの「テメラリオ」。最高出力920PS、最高速度は340km/hを超える。
── これまでウルスの後継モデルは、フル電動モデルになると言われてきましたが、その方針は変更されるのでしょうか。

ヴィンケルマン 私たちこれまで、その最終決定するのはもう少し後になってからと言ってまいりました。そして、いまフル電動モデルに対する世間の需要も評価も期待していたほどではない、横ばいの状態にあるということを踏まえて、ウルスの後継モデルについては、フル電動モデルではなくて、プラグインハイブリッドにしようと考えています。
マイナーチェンジでプラグインハイブリッドになった「ウルスSE」
▲ マイナーチェンジでプラグインハイブリッドになった「ウルスSE」
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フル電動モデルをつくるのか、年内に最終決定します

── ウルスはプラグインハイブリッドモデルが日本でも発売されたばかりですが、次期型はいつ頃登場する予定なのでしょうか。

ヴィンケルマン ウルスの後継モデルについては、2029年の導入を予定しています。そして新たな4つ目のモデルですが実はそれをフル電動モデルにするのか、もしくはプラグインハイブリッドにするかはまだ決定していません。

年内にそれを判断することになっており、この年末に最終決定を下します。そして、この4つ目のモデルを2030年に導入する予定です。

── 電動化を進める一方でV8とV12エンジンの開発も継続されるとうかがいました。また市販車はすべてハイブリッド化されましたが、GT3などのレース車両はハイブリッドではない内燃エンジン車の生産を続けていくのでしょうか。
ランボルギーニによるワンメイクレース、スーパートロフェオ用のテメラリオ。ノンハイブリッドのV8ツインターボエンジンは650PSを発生。2027年にデビュー予定。
▲ ランボルギーニによるワンメイクレース、スーパートロフェオ用のテメラリオ。ノンハイブリッドのV8ツインターボエンジンは650PSを発生。2027年にデビュー予定。
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ヴィンケルマン まずレース車両について先にお答えすると、ご存知のとおりスーパートロフォオ(ランボルギーニのワンメイクレース)であったり、GT3マシンを使ったレースは今のところ非ハイブリッドの内燃エンジン車で行われていますので、テメラリオをベースとした内燃機関のモデルを提供していきます。

そして、最初の質問の答えですが、レヴエルトのV12もテメラリオのV8も新しく開発したばかりのエンジンですし、V8もV12も随時アップデイトして生産を続けていきます。規制が許す限りはできるだけ長く開発、生産を続けたいと思っています。

── 今後さらにエアロダイナミクスが重要になるというお話もされていましたが、その辺りの背景について教えてください。

ヴィンケルマン 電動化するとやはりこれまで以上に重量がネックになります。バッテリーはできるだけ軽く、より多くのパワーを生み出せるように開発を進めていくわけですが、並行してエアロダイナミクスが向上すればさらに性能を高めることができる。すごく大事な要素だと思います。
テメラリオを開発するにあたって私がその開発担当者に伝えたのは、すごくシンプルなことです。サーキットで全開走行を数ラップこなして、ビットに戻ってきた時にバッテリーが空の状態になっているようではダメだと。つまり、いつでもモーターのパワーが使える状態に制御するよう指示しました。

わざわざ重いバッテリーを載せているのにプラスのパワーを得られないのでは意味がありません。そしてエアロダイナミクスが向上すれば、クルマの挙動も安定しますし、効率も上がるということに繋がるのです。
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第4のモデルは車高の低いGTカーに

2023年に披露されたEVのコンセプトモデル「ランザドール」。当初は2028年に導入予定とされていたが、EVの導入は延期に。またスタイリングもこのSUVルックではなくなるという。
▲ 2023年に披露されたEVのコンセプトモデル「ランザドール」。当初は2028年に導入予定とされていたが、EVの導入は延期に。またスタイリングもこのSUVルックではなくなるという。
── 最後に第4のモデルについて聞かせてください。すでにランザドールというコンセプトカーを発表されていますが、第4のモデルはGTカーになるのでしょうか

ヴィンケルマン はい。実はランボルギーニには、GTの歴史があります。90年代からしばらくスーパースポーツカーしかつくってこなかったこともあり忘れられているかもしれませんが、350や400、エスパーダなど、GTをつくってきた歴史や経験があります。
1960年代につくられたランボルギーニ「400GT」(左)と1970年代のGT「ハラマ」。
▲ 1960年代につくられたランボルギーニ「400GT」(左)と1970年代のGT「ハラマ」。
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ヴィンケルマン 数年前に、その4つ目のモデルを検討した際、いろんなセグメントについて考えました。そして、GTしかないだろうという結論に至りました。
そして2年前にランザドールを新たなGTのコンセプトとして打ち出してみたわけなんです。当時は車高の高いGTを考えていたのですが、のちに議論を重ねた結果、やはりランボルギーニというブランドにふさわしいのはもう少し車高の低いGTだろうと。

2ドアの2プラス2で、どのカテゴリーに参入するにしても、必ずそのセグメントにおけるスーパースポーツカーでなければならないというのがランボルギーニの哲学です。4つ目のモデルにおいても不変のことですから、それを目指して開発を進めています。

これはちょっとしたスクープかもしれない

今年で9回目を数えるランボルギーニデイジャパンにおいて、これまで第4のモデルはランザドールのようなSUVルックのGTになると思われていたのが、なんと背の低いスポーティなGTになるという証言が得られた。これはちょっとしたスクープかもしれない。

世界的にみても日本はランボルギーニのセールスにおいて3番目の市場というだけにヴィンケルマンCEOの日本市場に対する期待が伝わってくるインタビューだった。10周年となる来年には果たして第4のモデルはEVになるのかなど、どんな話を聞くことができるのか今から楽しみだ。
東京江東区・有明アーバンスポーツパークにおいて開催されたLamborghini Day Japan 2025。総勢100台を超えるランボルギーニが集結し歌舞伎座や銀座の街を駆け抜けるパレードラインも実施された。
▲ 東京江東区・有明アーバンスポーツパークにおいて開催されたLamborghini Day Japan 2025。総勢100台を超えるランボルギーニが集結し銀座の街を駆け抜けるパレードランも実施された。
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藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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