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2025.11.02

これぞ究極のロールス・ロイス! 25台限定生産「ファントム・センテナリ」とはどんなクルマなのか?

ロールス・ロイスのデザイナーや職人たちが腕によりをかけてデザインし作り上げた限定モデル、プライベート・コレクションの最新作「ファントム・センテナリー」をイギリス・グッドウッドのロールス・ロイス本社で取材しました。

CREDIT :

文/大谷達也 写真/ロールス・ロイス

ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEON
▲ ロールス・ロイス本社の中庭に佇むファントム・センテナリー。その美しさは、まさに自動車界の芸術品と呼ぶに相応しいものです。

ファントム誕生100周年を記念して制作されたプライベート・コレクション

ロールス・ロイスの芸術的センスが益々際立ってきた……。

イギリス・グッドウッドに建つロールス・ロイス本社でプライベート・コレクションの最新作「ファントム・センテナリー」を目の当たりにした私は、そんなことを思いました。

いやいや、ロールス・ロイスが自動車界の芸術品であることは多くが認めるところ。「日本の自動車ライター風情が、何をいまさら」と思われるLEON読者も少なくないでしょう。
ただし、ここで本音を申し上げれば、ロールス・ロイスの“力作”とされるもののなかには、心のなかにクエスチョンマークが浮かんでしまう作品がなきにしもあらずでした。そうした作品のなかには“力作”ゆえに力が入りすぎてしまったと思われるものもあれば、かなり個性的な趣味をお持ちのミリオネア(ビリオネア?)がオーダーされたものもあったはずですが、その色遣いや派手な意匠に「ウ~ン」と首をひねってしまったのは紛れもない事実です。
ところが、昨年発表されたプライベート・コレクションの「ファントム・シンティラ」あたりから事情が変わってきました。
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ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ ファントム・センテナリーはプライベート・コレクション、つまり顧客からのオーダーを受けて制作されるのではなく、ロールス・ロイスのビスポーク部門が腕によりをかけて作り上げた限定モデルとなります。
ちなみにプライベート・コレクションとは、ロールス・ロイスのデザイナーや職人たちが腕によりをかけてデザインし、作り上げた限定モデルのこと。顧客のオーダーを受けて制作するビスポークが基本のロールス・ロイスにあっては“異端”のような存在のプライベート・コレクションですが、社内のデザイナーがカラーや意匠を決めるわけですから、生半可なことはできません。

それどころか、ロールス・ロイスが誇るビスポーク力を世に知らしめるまたとない機会なので、デザイナーや職人たちの気合いがみなぎるのは当然のこと。おかげで、ごく少量が生産されるプライベート・コレクションは、ロールス・ロイスの上顧客の間で争奪戦が巻き起こり、またたく間に完売となるのがこれまでの常でした。
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ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ ローマのパンテオン神殿にインスパイアされたロールス・ロイスの象徴的なフロントグリル。その頂点に君臨するスピリット・オブ・エクスタシーは、ファントム・センテナリーの場合、目映いばかりのゴールドに輝いています。
で、私はファントム・シンティラも昨年、ロールス・ロイス本社で行われた発表会(といっても、世界中から10人ほどのメディア関係者が集まるだけの、とても贅沢なイベントですが……)にも参加して、その美しさに圧倒されました。
シンティラは、“スピリット・オブ・エクスタシー(フロントグリルの上に鎮座している、あの女神像のことです)”のオリジナルとされる「サモトラケのニケ」にインスピレーションを得た作品。ちなみに「サモトラケのニケ」はエーゲ海に浮かぶサモトラケ島で発見されたヘレニズム期の大理石彫刻で、翼が生えた勝利の女神を表現したものです。さらに申し上げれば、ニケのスペルはNIKE、そう、あのスポーツブランド界の巨人と出自が同じというのですから驚かずにはいられません。
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ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ ファントム・センテナリーのスピリット・オブ・エクスタシーは、この女神像が最初にファントムに採用された1925年製のものを忠実に再現したそう。しかも、18金で鋳造したうえに24金をメッキするという手の込んだ方法で製作されます。
そのシンティラは、女神をテーマにしたというだけあって神秘的で、色合いも繊細。シートやドアトリムに描かれたパターンも、空を流れる雲か、はたまたエーゲ海に打ち寄せる波をモチーフとしているのか、抽象的な意匠ばかりです。

ところが今回お披露目されたファントム・センテナリは、方向性こそシンティラとは大きく異なりますが、美しさというか芸術性の点では甲乙つけがたいくらい優れた作品でした。
ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ ホワイトのレザーが張られたフロントシートには、ファントムの伝統にインスピレーションを得た手描きされたスケッチがレーザーエッチングによって再現されています。
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まず、センテナリ(Centenary)というモデル名から想像できるとおり、これはロールス・ロイスのフラッグシップであるファントムが誕生して100周年を記念して制作されたプライベート・コレクションです。したがって、デザイナーや職人たちがいつも以上に腕によりをかけて作り上げたであろうことは想像に難くありません。
ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ エクステリアカラーはシンプルなブラック&ホワイト。ただし、その上からスーパー・シャンパン・クリスタルという贅沢なクリアコートを塗装することで、上品で神々しい輝きを放ちます。
それとともに、繊細である種のはかなさのようなものが表現されたシンティラとは大いに異なり、センテナリは威厳や力強さが主題になっているように思われました。

それを体現するかのように、ボディカラーはホワイトとブラックの2トーンと、シンプルでありながらも強い存在感を放つ色調とされました。もっとも、ファントム100周年を記念して制作されたモデルですから、ただのホワイトとブラックではありません。どちらも、塗料の上に吹くクリアコートにはスーパー・シャンパン・クリスタルを採用。これは、クリアコートで一般的な透明フレークに換えてシャンパンカラーの粒子を用いるとともに、その量も一般的な透明フレークの倍という贅沢さ。近くで見ると、その美しさは目も眩むばかりです。
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ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ コンパクトにまとめられて軽快さが強調されたファントムのリアエンドは、ブラックのペイントによりさらに引き締められたように見えます。
インテリアの仕上がりも強烈です。リアシートには、いかにも上質そうなグレーのファブリックが張られているのですが、そこにダイナミックな筆致で様々なイラストが描かれているのです。それらは歴代ファントムの姿であったり、ロールス・ロイスがロンドンに置いた最初の拠点であったりするのですが、巨大なファントムのリヤシートに所狭しと描かれたそのスケッチは大胆そのもの。しかも、ブラックで描かれたスケッチのうえにゴールドの糸で刺繍が施されていたりするのですから贅沢極まりません。
ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ リアシートのファブリックはオートクチュールばかり手がけてきたファッションアトリエとの共同開発品。そこに高解像度プリントでダイナミックなスケッチを描いたうえに、16万針のステッチを施すことでさらに豪華さを際立たせています。
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ドアトリムの作りも実に見事です。こちらはなんとウッドにレーザーエッチングを施すことで立体的なパターンを作り出しているのです。そこに描かれているのは、ファントム100年間の歴史でその個性を形作ってきた旅の数々だそうで、ファントムが辿ってきた道のりは24金泊で飾られていて、目も心も奪われてしまいます。ちなみに、この工法を開発するのにロールスロイスは1年以上の期間を費やしたというのですから、並大抵のことではありません。
ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ ドアトリムは、ステイン仕上げのブラックウッドをレーザーエッチングによりレリーフ状に仕上げたもの。3次元的に加工したウッドをドアトリムに用いたのは、ロールス・ロイスにとっても初めてのことだったようです。
ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ ドアトリムに描かれたのは、ファントムの歴史を物語る旅路の数々。その道筋は24金箔によりゴージャスに表現されています。
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それにしても驚かされるのは、シンティラとセンテナリとでは、表現されているテーマがまるで異なるのに、どちらも目映いばかりに美しく、そして強烈な存在感を放っていることにあります。ちなみにファントム・センテナリーは25台が限定生産されますが、そのすべてが発表時点で完売済みとのこと。これもまた、ロールス・ロイスの優れた芸術性をそのファンが高く評価した結果といえるでしょう。
ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ センテナリーのホイールはディスク・タイプ。ここに1輪当たり25本のストライプが添えられています。つまり、4輪分でちょうど100本。これでファントムの100周年を象徴しているわけです。
ロールス・ロイス ファントム・センテナリ― WebLEO
▲ エンジンまでホワイトとゴールドでお化粧直しされたファントム・センテナリー。まさにラグジュアリーサルーンの極みです。

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