2025.09.21
【試乗リポート】飛ばさなくても楽しい、スタイルアイコン「ポルシェ911タルガ4GTS」
ポルシェ911にはカブリオレとタルガ、2つのオープンモデルが存在する。ポルシェはなぜ手のかかるオープンモデルを2つもつくり続けているのか。複雑機構のルーフを備えた最新のタルガに乗って、そのワケを考えてみた。
アンチロールバー付きの安全なカブリオレとして誕生



4WD+ウェットモードで、安心、安全に

エンジンは新開発の3.6ℓ水平対向6気筒で、トランスミッション(PDK)内に最高出力56PS/最大トルク150Nmを発生するモーターを配置。さらにもうひとつモーターを内蔵する電動ターボチャージャーを組み合わせることで、システム最高出力541PS、最大トルク610Nmを発揮する。EV走行はしない、いわゆるマイルドハイブリッドだ。

軽くプッシュすると、力強い排気音とともにエンジンが始動する。アクセルペダルをゆっくり踏みこむと、低速域から太いトルクが発生する。中央のメーターをよく見れば、回生時にはグリーンの、アシスト時にはブルーのバーの表示が伸びる仕組みになっている。
右足に力を込めると4000rpmを超えたあたりから、いかにもポルシェの水平対向6気筒らしい力強い音を放ち、そして7000rpmあたりまでよどみなく吹け上がる。ハイブリッドとも、ターボとも、言われなければわからないかもしれない。それくらいシームレスでスムーズ、PDKも変速ショックを感じさせず、あっという間に速度が高まる。

走行モードはノーマルやスポーツがあるが、タルガにはより快適なノーマルのほうが適していると感じた。また最新の911には共通のモードだがウェットモードが標準装備されている。これはフロントホイールハウジング内に取り付けられたセンサーが路面の雨量を検知し、状況に応じてドライバーにウェットモードに切り換えるように促し、ウェットモードを選ぶと、アクセルレスポンスや出力を調整し、走行安定性を確保するというものだ。
実際、試乗中にゲリラ豪雨に見舞われ、案内に従ってウェットモードを選択してみたが、安心して走行することができた。
コンフィギュレーターの沼へ


トップの幌はブラック、ブラウン、レッド、ブルーの4色から選択可能。タルガバーはブラックのほかシルバーにすることもできる。ポルシェのホームページにあるコンフィギュレーターを試すとそのバリエーションの多さに沼にハマってしまう。
ポルシェもタルガのことを「取り外し可能なルーフを備え、独自のコンセプトとしての地位を確立した、スタイルアイコン」と説明している。これだけ多くのバリエーションがあるのだから、飛ばさなくても楽しめる911があってもいい、というわけなのだ。

