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2025.09.14

レジェンド自動車ジャーナリストがお勧めする、海外の公共交通の旅

仕事では数多くの海外の道を走ってきた筆者。だが、プライベートでは公共交通機関を使うのがお気に入りと言う。その理由とは? 旅を極めた筆者がこっそりと教える、旅の極意。

BY :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第266回

海外での公共交通での移動は楽しい!

イラスト 溝呂木 陽 ロンドン 2階建てバス
仕事で海外に行った時の現地での足は、当然クルマになる。新型車試乗会等の公式なイベント以外にも、海外メーカーからは多くの非公式な仕事の依頼が来たが、そんな時の移動の足も、当然メーカー手配のクルマになる。

しかし、家内とのプライベートな旅では公共交通を使うことが多い。それは経済的な理由からではない。旅がより楽しめるからだ。

長いフライトの後のホテルへの足は、さすがにタクシーを使う。が、それ以外は、地下鉄、バス、電車、列車が移動手段の中心だ。
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ただし、天候の悪いとき、初めてでわかりにくそうな場所に行くとき、そして夜の外出には、やはりタクシーを使うことが多くなる。

僕も家内も公共交通での移動がお気に入りなのは、バスや地下鉄に乗り、現地の人々の間に身を置いていると、なんとなく土地者の端くれにでもなったかのような気分になれるからかもしれない。

とくにヨーロッパでは、現地に着くと、まずは地下鉄やバスが乗り放題になるトラベルカードを買う。

乗る度にいちいちチケットを買っていたら、面倒なことこの上ない。加えて、、例えばロンドン名物の2階建バスなど、現金では切符が買えない。最近は、タッチ対応のクレジットカードなら使えるようだが、、。

公共交通路線図は、旅に出る前に手に入れ、少なくとも要点だけは頭に入れておく。そうしないと、現地での本番で、四苦八苦しながら路線図と戦う羽目になる。

こうした下準備は、小さなことのように思うかも知れない。だが、旅を快適に楽しむためには、けっこう大切なことなのだ。
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そして、公共交通機関が使いやすい場所にあるホテルを選ぶ、、これも大切なポイントになる。

といったことで、今回は、大好きなロンドンをサンプルにし、公共交通を多用して動く、わが家の旅の過ごし方をご紹介する。

ちなみに、ロンドンではピカデリーサーカスの近くにホテルを取ることが多い。徒歩圏内でも楽しめるところはいろいろあるし、バスや地下鉄で動くのにもとても便利だからだ。

ピカデリーサーカス近辺には、大衆クラス、中級クラス、高級クラス、、と、あらゆるエリア / 店が揃っている。

まずは、ソーホー地区に向かう。ピカデリーサーカスからバスで10分くらいだが、多くの個性的なファッション店が並び、これまた個性的なレストランが軒を連ねる。ジャズクラブ等、ナイトライフを楽しめる店も多い。

保守的な好み? の僕たちが買うようなものはまずない。だから、ここでは、レストランかカフェ以外でお金を使うことはほぼない。
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そして、最新のファッションを巡る〆として、カーナビー ストリートに向かう。ここでもまた、散財することはまずない。だが、僕も家内も最新のファッションを見て、トレンドを知るのは好きなので、とても楽しい。

家内には「欲しいものがあったら、なんでも買っていいよ!」と言うのだが、ここではなにも買わないことがわかっているから気楽に口にできる。

家内も「よーし買うわよ!」と笑いながら返してくるが、何も買ったことはない。いや、一度だけ、面白いデザインのブレスレットを買ったことがある。

自分で着けるものとしてではなく、部屋になんとなく置いておく飾り物として「面白いんじゃない!」というのが買った理由だ。

家内はウィンドウショッピングは好きだが、買い物はほとんどしない。買うときも、僕が「これいいんじゃない? いいと思うよ!」と薦めることがきっかけで買うことが多い。

とくにアクセサリー類のほとんどは、まずは僕が目につけ、「どう、これ?」と勧め、「いいわね!ほしい!」といった流れで買うことになる。
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ランチは、行き当たりばったりで、「良さそうだな!」と思った店に入ることが多いが、ピカデリーサーカス付近にいるときは、「フォートナム&メイソン」のアフタヌーンティをランチ代わりにすることが多い。

英国王室御用達のブランドとして知られるこの店は、紅茶をメインに、ジャム、マーマレード、焼き菓子などを揃える。 、、が、僕たちは、上記のようにアフタヌーンティを楽しむ店として筆頭ランクに挙げている。

英国のアフタヌーンティは、美味しいだけでなく、ボリュームもタップリ。なので、小食の家内などは、頑張っても半分くらいしか食べられない。

でも、フォートナム&メイソンでは、食べきれなかったものを、「お持ち帰り用」として小さな、綺麗な箱に入れて渡してくれる。

日本でも、外資系ホテルの進出とともに、アフタヌーンティは知られ始め、楽しむ人も多くなってきた。

僕たちも何度か行ったが、本場英国のそれに馴れ親しんでいたため、内容にもボリゥムにも到底満足できず、すぐ行かなくなった。
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ピカデリーサーカスのホテルから徒歩で動ける範囲内で、われわれがよく行くのは「バーリントンアーケード」。

ソーホーエリアやカーナビーストリートとはまったく対照的な大人の店が軒を連ねる、由緒あるアーケードだ。

とくに、高級な宝飾店、時計店、服飾店が多く、見るだけでも楽しいのだが、バシンとピントが合ってしまうようなものに出会うとまずい。とくに女性物のアクセサリーに多い。

そんなとき、家内は「とても素敵だけど、、気持ちだけで十分よ。ありがとう!」と冷静に僕を抑えてくれる。それで何度も、過分な散財から逃れられてきた。

ただ、一度だけ、どうしても僕が我慢できなかったものがある。ナポレオン3世時代のアンティークだが、エレガントでシンプル、華やかだが落ちつきもある、、、そんな、ダイアモンドのリングだった。

家内もすごく気に入ったことはすぐわかった。でも、値段がわかると「こんな高いものはやめて! ダメ!」と反対した。滅多にない、強い反対だった。
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でも、この時の僕は強硬で、家内の反対を強引に押し切った。それほど気に入り、なんとしても欲しかったのだ。そして買った。

初めはかなり怒られたが、時間とともに怒りは鎮まり、結局はすごく喜んでくれた、、ハッピーな幕切れになったということだ。

バーリントンアーケードを出るとバスで移動。ハイドパークへ。散策を楽しむもよし、ベンチで寛ぐもよし、湖でボートを楽しむもよし、、のんびりしていると、あっという間に半日くらい経ってしまう。

フォートナム&メイソンで食べきれなかった「お持ち帰り用」の小箱を開けて、ベンチやボートで食べるのも、楽しくて美味しい!

有名なデパート、ハロッズにももちろん行く。家具フロアと食料品フロアがとくに楽しい。そして、最後に、食料品フロアにあるカウンター席のオイスターバーに行く。

すごく美味しいが、「ええっ!?」と驚くほどお値段は高い。だが美味しさには勝てず、ハロッズに行くと、最後は必ずここで〆る。
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ロンドンに行くと必ず立ち寄るのがアンティークマーケット。とくに、土曜日のポートベッロは最高に楽しい。地下鉄でノッティングヒルゲートまで行き、あとは数分歩くだけ。

ここで買ったあれこれは、わが家のあちこちに置いてある。

マーケットといえば、天文台で有名なグリニッジ マーケットも楽しい。アンティークも豊富に揃っている。テムズ川の船着場までバスで行き、そこでグリニッジ行きのリバーボートに乗る。ほぼ40分程度の船旅を楽しめる。

家内共々、オックスフォード大学の校内を散策するのも好きだ。パディントン駅から列車で1時間半くらい。車窓から見える小さな街や村や自然を楽しんでいるだけで、あっという間に1時間半は経ってしまう。

駅から大学までは歩いて15分くらい。何をするわけでもないが、大学構内をのんびり歩いているだけで楽しい。世界中から学生が集まっているので、とくに気遣いもいらない。
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帰りはパディントン駅のすぐ裏にある、モダンなビルのレストランで食事を。そして、昔ながらの風情を残した運河沿いの道を少し歩いてから、地下鉄でピカデリーサーカスに帰る。乗車時間は10分足らずだ。

ロンドンでは、まあこんな過ごし方がわが家のパターンだが、日曜日が入っていれば、ウェストミンスター寺院の礼拝に行く。日曜日は一般見学はないが、礼拝はある。これも、ピカデリーサーカスからバスに乗れば良い。

前にも書いたが、ロンドンの2階建バスに乗る時は、空いていたら、2階最前列の席が絶対のオススメ。大きく広がった前窓からは、広く遠くまで景色が見える。普段とは、まったく違ったロンドンが見られるということだ。

とにかく、バス、地下鉄、鉄道、リバーボート、、こうした公共交通をうまく使っての移動は合理的だし、旅を楽しくしてもくれる。

ぜひ、おすすめしたい。
岡崎宏司(自動車ジャーナリスト)
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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