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2025.08.24

伝統と革新が邂逅。ベントレーを巡る、英国の旅

現在英国はクルーにある本社で2035年までの完全電動化、カーボンニュートラル化を目指すビジネス戦略を進めているベントレーが、その先陣を切って新しいデザインセンターと、電動化時代を象徴するコンセプトカー、EXP 15を公開。その模様から、『グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード』、ロンドンの発祥の地などを訪ねた。

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文/藤原よしお 写真/ベントレーモーターズジャパン 編集/高橋 大(Web LEON)

ベントレーの歴史と新時代がモダンに融合する本社へ

クルー本社のカスタマーエクスペリエンスセンター『CW1 House』に展示されているW.O.ベントレー時代のヘリテイジ・モデルたち。
▲ クルー本社のカスタマーエクスペリエンスセンター『CW1 House』に展示されているW.O.ベントレー時代のヘリテイジ・モデルたち。
7月のイギリスといえば、F1グランプリをはじめ、ウィンブルドン選手権、ゴルフ全英オープン、ヘンリー・ロイヤル・レガッタなどビッグイベントが目白押しで開催される。というのも気温も快適で明るい時間も長く、天候も比較的安定している7月は、イギリスで最も過ごしやすいシーズンといえるからだ。そんな7月の上旬、我々はマンチェスター空港からクルマで40分ほど走ったチェシャー州の小さな街、クルー郊外にあるベントレーモーターズの本社を訪れた。

現在クルー本社では2035年までの完全電動化、カーボンニュートラル化を目指すビジネス戦略『ビヨンド100+』、BEV車両の開発、製造を担う『ドリームファクトリー』の建設が進めているが、その先陣を切って公開されたのが、新しいデザインセンターだ。
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これはクルー工場が完成した1939年に建てられた歴史的建造物で、長年にわたってクルーの正面玄関としての機能も果たしていた“フロント・オブ・ハウス”を改装したもので、エクステリアだけでなく、カラー&トリム部門、ビスポーク部門のマリナー、そしてUX(ユーザー体験)やUI(ユーザーインターフェース)など50名に及ぶ各ジャンルのデザイナーが集結。新たに増設された3階にはオープンスタジオまで完備されていた。
今年の7月に新しいデザイン・センターとして蘇った“フロント・オブ・ハウス”。正面にはル・マン・カーを含む歴代モデルが並べられていた。
▲ 今年の7月に新しいデザイン・センターとして蘇った“フロント・オブ・ハウス”。正面にはル・マン・カーを含む歴代モデルが並べられていた。
ここで世界で初めて公開されたのが、電動化時代を迎えるこれからのベントレー・デザインを示すコンセプトカー、EXP 15である。
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2023年にベントレーに舞い戻り、デザイン・ディレクターとしてデザイン部門の改革を進めているロビン・ペイジによると、これは市販を目指すものではないが、2026年にデビューを予定している初の完全電気自動車“D-LUV”をはじめとした、これからのベントレーの姿を予告するものだという。

確かに3ドア、3シーターという特異なレイアウトとSUVのようにもGTのようにも見えるスタイルは斬新だが、デジタルや3Dプリント、サウンドシステム、サステナブルな素材を用いたインテリア、そして自動運転を見据えてレーダーなどに高い反射率を誇る超極薄のアルミニウム顔料を用いた塗装など「すぐそこの未来」につながる様々なアイデアが盛り込まれていた。
電動化時代を迎えるこれからのベントレー・デザインを牽引するコンセプトカーとして7月9日にワールドプレミアされたEXP15。
▲ 電動化時代を迎えるこれからのベントレー・デザインを牽引するコンセプトカーとして7月9日にワールドプレミアされたEXP 15。
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運転席側に2つ、助手席側には1つの変則3ドア・スタイルを採用。SUVのようでもあり、GTのようでもある。
▲ 運転席側に2つ、助手席側には1つの変則3ドア・スタイルを採用。SUVのようでもあり、GTのようでもある。
デザイン・センターでは VRを用いてEXP15の3シーター・インテリアを体験することもできた。
▲ デザイン・センターでは VRを用いてEXP 15の3シーター・インテリアを体験することもできた。
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一方でEXP 15のモチーフに“ブルートレイン”の愛称で親しまれる1930年のスピードシックス・ガーニー・ナッティング・スポーツマン・クーペが使われているように、彼らが自らのヘリテイジを尊重する姿勢も変わらない。
 
その証拠にクルー工場の中を見学すると、ウッドパネル、レザー内装といった工程は、数多くの職人たちによって昔ながらの工法を守りながら、1つずつ丁寧にすべて手作業で作られていた。この工程を見ればベントレーのインテリアのクオリティや手触りが、他メーカーとは一線を画する仕上がりであることも、お値段が少々張るのも納得というものだ。
 
その後、昨年末に顧客が460億通り以上あるカスタマイズをゆっくりと楽しみ、ベントレーの歴史と価値観を体感できる施設としてオープンした『The Mews, The Home of Bentley (ザ・ミューズ、ザ・ホーム・オブ・ベントレー)』で歓待を受けたのだが、実はここも歴代CEOの邸宅として使われていたものをリノベーションしたものなのである。
機械化が進んでもレザーやウッドといった根幹部分の仕立ては、今でも職人による手作業で賄われている。
▲ 機械化が進んでもレザーやウッドといった根幹部分の仕立ては、今でも職人による手作業で賄われている。
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このほかにも本社敷地内にあるカスタマーエクスペリエンスセンター『CW1 House』をはじめ現地を訪れてみて、ただ新しいものを追い求めるのではなく、自身のヘリテイジに敬意を示し、最大限に活用していくというベントレーのフィロソフィが、随所に貫かれているのを改めて実感した。それはまた世界屈指のラグジュアリー・ブランドとして、最大の強みであり、最高の財産であると思う。

英国を代表するモータリング・イベント『グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード』からロンドンへ

今年のグッドウッドFoSのメインテーマは、稀代のF1デザイナー、ゴードン・マレー。セレモニーでは花火も打ち上げられた。
▲ 今年のグッドウッドFoSのメインテーマは、稀代のF1デザイナー、ゴードン・マレー。セレモニーでは花火も打ち上げられた。
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その翌日、我々がヘリコプターで向かったのは、今や7月のイギリスを代表するビッグイベントへと成長を遂げたモータリング・イベント『グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード』だ。

今回のテーマは75周年を迎えたF1GPと、名デザイナーであるゴードン・マレーということもあり、世界中から歴代F1マシンが100台以上集結したのをはじめ、1900年代から発売前の最新モデルまで、さまざまなレーシングカー、スポーツカー、コンセプトカーがエントリーし、20万人以上の観客の前でハイスピード・デモランを行った。
場内のベントレー・ブースのラウンジからは、すぐ目の前を疾走するF1やスーパーカーが観戦できた。
▲ 場内のベントレー・ブースのラウンジからは、すぐ目の前を疾走するF1やスーパーカーが観戦できた。
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この会場でベントレーがワールドプレミアを行ったのがW12から650psの4ℓV8ツインターボへとエンジンを変更した新型ベンテイガ・スピードだ。早速ヒルクライムにも挑戦したベンテイガ・スピードは55.8秒を記録。公式にグッドウッド・ヒルを走った最も速い内燃機関搭載量産SUVとなったのである。

さらにこの会場では、豪華なホスピタリティからの観戦だけでなく、日本を含めた世界中のカスタマーをバカラル、バトゥール・コンバーチブル、スピード6コンティニュエーションなどに乗せる同乗走行体験も実施。プロドライバーの横でベントレーがもつ並外れたパフォーマンスを体験できたことは、カスタマーにも十分以上の刺激になったに違いない。
グッドウッドでお披露目された新型ベントレー・ベンテイガ・スピード。量産SUVの最速記録を更新してみせた。
▲ グッドウッドでお披露目された新型ベントレー・ベンテイガ・スピード。量産SUVの最速記録を更新してみせた。
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ちなみに日本からの一行はバークシャーの田園地帯の中心に佇むカーワース・パーク・ホテルに宿泊。旬を活かした繊細で素晴らしい食事(最近のイギリスは美味しい!)やホスピタリティ、ホテルの周りに広がる田園風景などを楽しむことで、ベントレーが近年のモデルを通じて提唱する“ウェルビーイング” の一端を味わえたはずだ。
日本からのツアーの参加者が楽しんだカーワース・パーク・ホテルでのディナー。旬の食材を活かした創作料理とワインは素晴らしいの一言。
▲ 日本からのツアーの参加者が楽しんだカーワース・パーク・ホテルでのディナー。旬の食材を活かした創作料理とワインは素晴らしいの一言。
そして最終日にはロンドン市内に移動して現存する最古のベントレー・ディーラーである『ジャック・バークレー』、創始者であるW.O.ベントレーが1919年にベントレーの1号車“EXP1”を作り上げた創業の地『ニュー・ストリート』などゆかりの地を訪問。ベントレーらしい“おもてなし”を受けながら様々な角度からベントレーの過去と未来を見て、聞いて、体験するエクストラオーディナリーな旅を堪能できた。
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ロンドン市内、ベーカー街の近くにあるベントレーモーターズ発祥の地。こういうマニアックな場所を訪れるのもオフィシャルならでは。
▲ ロンドン市内、ベーカー街の近くにあるベントレーモーターズ発祥の地。こういうマニアックな場所を訪れるのもオフィシャルならでは。
ここで「面白い」と思った方に朗報がある。ベントレーモーターズジャパンでは来年から、今回のようなメニューを揃えたカスタマー向けのツアーを本格的に開催する予定だという。ベントレーとイギリス文化の深淵をオフィシャルのサポートのもとで体感できる絶好の機会ゆえ、気になる方はお近くのディーラー等にお問い合わせいただきたい。

■ ベントレー コール

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