2025.06.11
【試乗リポート】“R”の意味はレーシングではない⁉ 「VWゴルフR」が最強の理由とは?
ゴルフのフラッグシップモデルである新型「ゴルフR」に試乗した。あらためて“R”モデルとはどんなクルマなのか、スポーツモデルの“GTI”とはどう違うのかを検証してみた。
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写真/フォルクスワーゲン ジャパン
VWゴルフRはスポーツモデルのGTIとどう違うのか?

フォルクスワーゲン(以下VW)には、1976年の初代ゴルフにはじまりいまに受け継がれている“GTI”というブランドがある。見た目には普通なハッチバックのゴルフを、外観はほぼノーマルのまま中身をスポーツカーのように仕立てたGTIはいまや世界的な人気モデルとなっており、ひとまわり小さなポロにも設定されている。
そしてより速く、よりエクスクルーシブなモデルへのニーズは、大きなラグジュアリィセグメントのクルマだけでなく、ゴルフのようなCセグメントのスタンダードなモデルにも広がってきた。
ドイツ御三家と同様レーシングをルーツとするブランド「R」

そして翌年には、第4世代のゴルフをベースにしたRモデルとなる「R32」を発売する。基本構造は先のニュービートル RSi譲りのもので、2WDのGTIに対して、R32はリアサスをマルチリンク式に変更し4WDシステムを採用。3.2ℓV6エンジンを搭載する。



開発思想はドライバーに寄り添う“リニアリティ”
クルマの世界では、どれだけアクセルを踏めばどれくらい加速するか、どれくらいステアリングをきればどのように曲がるのかという人間の感性に基づくもので、実際には数学的なリニアとはまったく異なるもの。人間の入力操作に対して自然に、素直に反応するという意味合いで開発者たちはよくこの言葉を使っている。そしてRモデルとは決してスポーツ性能に特化したものではなく、市街地も高速道路もそしてサーキットまですべてをこなす3in1なモデルだと話していた。

デジタルメーター内に表示されたバーの伸縮によって駆動力配分が可視化されており、4輪へのトルクが常に緻密にコントロールされていることがわかる。ただ不自然な感覚はなく、メーターを見なければ制御されているとは感じない。そういう意味でまさにリニアである。





Rとは「Racing」ではなく「Refinement」

そもそもゴルフとは、長年Cセグメントのワールドスタンダードといわれてきたモデルだ。実用性、信頼性、快適性は大前提として備えている。その上に“R”の名を冠して得たものは、本来の由来である「Racing」な性能ではなく、より洗練された「Refinement」であると感じた。ハッチバックが704万9000円〜、ヴァリアントが712万9000円〜といまどき競争力のある価格設定といい、ゴルフRは時代のオールラウンドプレイヤーだ。

