2023.09.24

スマートで巡るパリはいかが？

独自の存在感で確固たるポジションを気づいているスマート。筆者はパリに似合うクルマといえば、この一台をオススメするそう。そんなスマートでパリを巡ると……。

CREDIT :: 文／岡崎宏司（自動車ジャーナリスト）　イラスト／溝呂木陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載第218回

スマートフォーツーカブリオターボで、パリとドーヴィルを楽しもう！

「パリに似合うクルマは？」と問われたら、僕はまず「スマートフォーツーカブリオ」を挙げる。これは初代スマートの時から変わっていない。

スマートフォーツーカブリオは、ロンドンで見ても、ミラノで見ても、ミュンヘンで見ても、、スタイリッシュでインパクト抜群！

そんな、スマートフォーツーカブリオ（以後は「スマート」と呼ぶ）でパリを駆け巡ったら、どんなに心が躍り昂るだろうか、、パリの粋とスマートの粋が重なり合ったらどんなに素敵なシーンが演じられるだろうか、、想像しただけでワクワクする。

ボディカラーはブラックとシルバーの2トーンで、トップ（幌）はワイン系レッド。このカラーコンビネーションはほんとうに粋だ。それも「大人の粋！」。

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たとえば、パリでも最上位格のホテル、プラザアテネに泊まるとしよう。

プラザアテネの前には、いつも、RR、ベントレー、メルセデス Sクラス等々がずらりと駐まっている。クルマを見るだけで、最上位格のホテルであることがひと目でわかる。

そんなホテルに上記の装いのスマートで乗り付けたら、、バレーサービスはどんな反応を見せるだろうか。興味あるところだ。

少なくともクルマ好きのスタッフならば、スマートの粋を感じとり、「本物の笑顔」で迎えてくれるのでは、、僕はそんな気がする。

ちなみに、スマートは2020年から「スマートEQ」を名乗り、全車BEVになっている。もちろん旅の相棒はBEVでもいい。でも、僕が探した限りでは、パリ妄想の旅のイメージに合うカラーコンビネーションはなかった。

妄想の旅では、クルマの色にも拘りたい。なので、2020年以前のガソリンエンジンモデルを選んだことをご承知いただきたい。

ガソリンエンジンのスペックは、0,9ℓ直列3気筒ターボで、90ps / 135Nm。トランスミッションは6速デュアルクラッチ式。

カタログ上の最高速度は155km/hだが、オートルートでも余裕のクルージングができる。日常領域の加速にもストレスはない。

キャンバストップは電動開閉式。リアウィンドウも含めて畳める。そして、ルーフ左右のフレームを取り外すと、頭上は解放され、快適なオープンエアドライビングが楽しめる。

ルーフレールは軽いし、取り外しも簡単。たぶん3～4分で開閉作業は済むだろう。

フルオープンにした時のスマートの粋さはさらにさらに増幅する。オシャレなパリっ子たちからも「いいね！！」をもらえるのは間違いない。

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さて、、クルマが決まったところで、ホテル選びに移ろう。

ラグジュアリーな時を過ごしたいなら、上記のプラザアテネやフォーシーズンズジョルジュサンクがオススメ。コンコルド広場の一角と、少し地の利は悪いが、オテルドクリヨンの静かでクラシックな趣も悪くない。

僕は、ホテルにはわりに拘るほうだが、初めて家内とパリに行った時はクリヨン、次がプラザアテネ、次がジョルジュサンクと、だんだん地の利のいいホテルに変わっていった。そして、最近はマリオットシャンゼリーゼで落ち着いている。

シャンゼリーゼ通りのほぼ中央（ジョルジュサンク）に位置していて、最高に便利だからだ。歩いて行ける範囲に好きなレストランもカフェも多くあるし、夜でも、気軽に安全にシャンゼリーゼ散策に出られる。

わが家はクリスマス時期にパリに行くことが多いが、シャンゼリーゼ通りのクリスマスイルミネーションは素晴らしいし、クリスマスマーケットにも歩いて行ける。その先、コンコルド広場の大観覧車（常設ではない）で、煌びやかな夜のパリを眺めるのも好きだ。　

知っての通り、パリはクルマが多く混雑している。裏通りは狭く、駐車もけっこう大変。

以前、メルセデス Sクラス（全長5020mm)でパリを走ったことがあるが、路上駐車はほぼ不可能だった。行く先々で、駐車場を見つけるのに右往左往した。

プジョー1007（全長3730mm)で走った時は、駐車したい周辺をグルリと巡れば、なんとか駐められるスペースはみつかった。

でも全長2775mmのスマートなら、そんな中でも断然動き易いし、駐車スペースも見つけ易いはず。その分、パリを楽しめるだろう。

パリといえば、欠かせないのが美術館巡り。ルーブル、オルセーももちろんだが、オランジェリーも欠かせない。オランジェリーは印象派とポスト印象派の美術館だが、なかでも僕は、クロードモネの「睡蓮」が好きだ。

「睡蓮」は、一室の壁面全体に展示されているが、静かにゆっくり見るために、いつも開館の9時に合わせて行く。そうすれば、たいていは一人静かに（家内と二人だが）楽しむことができる。早起きをオススメする。

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そして、朝食は、ルーブル美術館の中庭、ガラスのピラミッドが目の前に見える「Cafe Marly 」のテラス席で。このカフェ、ライトアップされた夜のルーブルを眺めながらのディナーもいい。

セーヌ河沿いに並ぶ古本屋もオススメだ。僕は古本はわからないが、古い絵やポスターを見に行く。かなり楽しいし、ついつい買ってしまう。

ランチはサンジェルマンデプレの老舗カフェか、ラルフローレンの「Ralph’s」に行きたい。Ralph’s は特にテラス席がいい。ちょっと高いランチになるが、日本の高級ホテルのランチ並みと思えばいい。　　

シャンゼリーゼ通り以外で、名の知られた通りといえば、サントノーレ通り、モンテーニュ通りが挙げられるが、多くのブランド店が軒を連ねる通りにも、スマートは似合う。

こうした通りには、当然高級車が多い。だが、そんな中でも、黒、シルバー、ワインレッドを纏ったスマートカブリオは、多くの視線を集めるだろう。これは断言できる。

規則的な建築物と荘厳な雰囲気に囲まれたヴァンドーム広場には、宝飾店/高級時計店が並ぶが、その一角のリッツパリにも寄りたい。僕はまだ、リッツに泊まったことがない。ぜひ一度、泊まりたいと思っている。

有名どころばかりではなく、下町の風情を楽しみながら走るのもいい。地図など見ず「気の向くまま」に走ればいい。、、で、目に止まった「いい感じのカフェ！」などでひと休み。僕はよくやるが、思い出に深く残るような体験に出会うことも少なくない。

下町のカフェやレストランでは、目の前の通りに駐められることもある。なので、窓際の席で自分のクルマを眺められる。スマートはきっと「素晴らしい眺め！」になるだろう。

パリを存分に楽しんだ後、ちょっと気分を変えて遠出を計画するのもいい。

行く先はいろいろあるが、ここではドーヴィルを目指すことにしよう。パリから200kmほど西にある港町、、クロードルルーシュ監督の大ヒット作「男と女」、、アヌクエーメ演じるアンヌと、ジャンルイトランティニアン演じるジャンルイが出会う町だ。

パリからのルートはいろいろあるが、オートルート A13に乗るのがいちばんよさそう。たぶん2時間もあれば着くだろう。ちなみに、オートルートの制限速度は130km/hだが、スマートは余裕を持ってクルージングできる。

美しく広大なビーチにカラフルなパラソルが並ぶ、、そんなビーチを前にしたブランシュ遊歩道＝木製の遊歩道の散策はなんとも心地よい。とくにオススメは陽が沈む頃の散策。

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ドーヴィルのホテルは、ビーチに近い「バリエールルノルマンディ」がいい。クラシックで上質で個性的な装い/佇まいは忘れられない思い出になる。

このホテルとスマートのコラボレーションが描き上げる「絵」も一生物になるだろう。しっかり写真を撮っておこう。

海側のテラスのある部屋からは、ドーヴィルの海とビーチが見える。天井が高く、明るくカラフルな内装の部屋の開放感は素晴らしいが、とくに、テラスに続く両開きの窓ドアを開け放った時の開放感は最高だ。

ドーヴィルには素敵なレストランがいっぱいあるが、僕はホテルのコンシェルジュに聞いて、「ドーヴィル1の牡蠣」を食べたい。

再び2時間ほどのオートルートのドライブを楽しんでパリに戻るわけだが、最後の夜は、セーヌのナイトクルーズもいいかもしれない。

僕は1度だけ、仕事の流れでナイトクルーズを経験している。その時の到着地点は、エッフェル塔を間近に見上げるようなところだったが、これは「よかった！」。ライトアップされたエッフェル塔の美しさには圧倒された。

そして、最後の最後は、夜のパリを気ままにドライブ。3時間でも4時間でも、、走りたいだけ走る。もちろん、トップを開け放ち、パリの空気を全身に感じながらのドライブだ。
間違いなく一生物の思い出になる。

最後の夜は、気持ちが昂りすぎて、なかなか眠れないかもしれない。でも、それでいい。その分、退屈な飛行機の中で熟睡できる。　