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2023.03.28

VOL.10 「電気自動車ってなんだ?」

自動車ブランドの巨塔「フォルクスワーゲン」グループの電動化プラン

2022年、日本の電気自動車販売台数は過去最高の5万8813台。乗用車全体に占める割合は1.71%で、初の1%超となった。ただし、諸外国に比べればその割合はまだ極めて少ない。中国ではすでに約20%、欧州では約10%、米国でも約5%にまで高まってきている。そんななか、自動車ブランドの最大手である「フォルクスワーゲン」グループの動きがココにきて活発化している──。

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文/藤野太一 編集/近藤高史(LEON)

目指すは、2050年までに完全カーボンニュートラル

「アウディQ4 e-tron」
アウディ Q4 e-tron
昨年末に国内販売が開始されたコンパクトSUV。VW ID.4とは姉妹車となり「MEB」を採用する。
日本市場のEV販売を牽引するのは「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の年度カーにも選ばれた軽自動車の日産サクラ&三菱ekクロス。そして輸入車ではテスラだ。しかし、昨年末からフォルクスワーゲン(VW)ID.4やアウディQ4 e-tronといった、1000万円以下のモデルの国内導入が始まったことで、今後はさらなる拡大が期待される。
フォルクスワーゲン ID.4
フォルクスワーゲン ID.4
昨年11月に国内でも発表されたブランド初となるフル電動SUV「ID.4(アイディ フォー)」。電気自動車専用の新アーキテクチャー「MEB」を採用する。
ここで改めて、VWやアウディ、そしてポルシェ、ベントレー、ランボルギーニなどを傘下に収めているフォルクスワーゲングループの電動化戦略について注目してみたいと思う。同グループは2021年、2030年までの戦略「NEW AUTO」を発表している。これは、e-モビリティおよび自動運転の分野で価値を最大化するというものだ。
EVに関して、2030 年までに電気自動車のシェアは 50%に増加すると予想。2040年には、グループの各ブランドが主要市場で提供する新車のほぼ 100%をゼロエミッションに。遅くとも 2050年までに、完全にカーボンニュートラルな企業になることを目指すという。
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2022年の同グループのグローバルでのEVの販売台数は、57万2100台。総販売台数に対するシェアは6.9%。コロナやウクライナ問題などで供給が追いついておらず、グループのバックオーダーは西ヨーロッパだけで180万台、そのうちの31万台がEVという。

2022年のフォルクスワーゲングループの主要EV販売台数

フォルクスワーゲン ID.3
フォルクスワーゲン ID.3
「MEB」を採用するゴルフサイズのコンパクトハッチバックEV「ID.3」。いまのところ日本への導入は予定されていない。
● Volkswagen ID.4 /ID.5 ……19万3200台
● Volkswagen ID.3 …………… 7万6600台
● Audi Q4 e-tron ……………… 5万2800台
(Sportback含む) 
● Audi e-tron …………………… 5万1200台
(Sportback含む) 
● Porsche Taycan ……………… 3万4800台
(Turismo含む)
現在のラインナップを見ると、2020年に日本へも導入が始まったアウディe-tronとe-tronスポーツバックは、ICE(内燃エンジン)用の「MLB evo」プラットフォームを使用。そして、ポルシェタイカンとアウディe-tron GT quattroは共同開発した「J1」を、VWのIDシリーズ、そしてアウディQ4
e-tronは、「MEB」を採用している。
現在、ポルシェとアウディが新たなプラットフォーム「PPE(Premium Platform Electric)」の開発を進めており、年内の発表が噂されるアウディA6 e-tronや、次期型ポルシェマカン(EV)が採用することになる。そして、おそらくこのPPEの導入開始によって、ベントレー、さらにはランボルギーニのEVが登場することになるはずだ。
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「ポルシェ GT4 e-performance」
ポルシェ GT4 e-performance
718ケイマンをベースとした、カスタマーモータースポーツ用EVコンセプト。ミッションRの電動技術を流用し、前後に2基のモーターを搭載。システム最高出力は1088PSに到達する。
さてEVは、高出力や長い航続距離を稼ごうとすると、どうしても大きく重いバッテリーを搭載する必要があるため、軽量コンパクトなスポーツカーには向かない。しかし、ポルシェは718ケイマン/ボクスターの次期型をEVにすると発表している。2021年に発表されたEVコンセプトカー、ミッションRの電動化技術をもとに718ケイマンGT4をベースとした電動レーシングカーのプロトタイプ、GT4 e-performanceも公開されており、次期型718はマカンに続くEVとして、2020年代半ばまでには登場するのではと言われているのだ。
2021年に設立したブガッティ・リマック社。ポルシェは45%の株を取得し経営に参画する。当面はブガッティ・シロンとハイパーEVのリマック・ネヴェラの生産を行う。
▲ 2021年に設立したブガッティ・リマック社。ポルシェは45%の株を取得し経営に参画する。当面はブガッティ・シロンとハイパーEVのリマック・ネヴェラの生産を行う。
一方でポルシェはこれまでクロアチアのEVハイパーカーメーカー、リマック・アウトモビリに出資してきた。2021年にフォルクスワーゲングループの傘下にあるハイパーカーメーカー、ブガッティとリマックが新しい合弁会社「ブガッティ・リマック」(Bugatti Rimac)を設立。リマックがブガッティ・リマックの株式の55%を、ポルシェが45%を保有する。新会社の下で当初は、ブガッティ・シロンとEVのリマック・ネヴェラが生産される。
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いまフォルクスワーゲングループは、MEB および PPEの後継となる次世代にむけたメカトロニクスプラットフォーム「SSP(スケーラブル システムプラットフォーム)」の開発を進めている。開発をスピードアップするために、同グループは、SSPプラットフォームとそのモジュールの中核的なコンポーネントを設計する新しい研究開発施設に約 8 億ユーロ(約1130億円)を投資。2026年以降、SSPをベースにした電気自動車の生産を開始する予定で、これにより最終的には製品ポートフォリオ全体をひとつのアーキテクチャーに統合するという。
コンパクトカーからハイパーカーまで、フォルクスワーゲングループの電動化戦略は、全方位を網羅し、着実に進んでいるようだ。

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