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2019.12.01

新型ボルボS60に試乗。その出来は?

SUVやミニバンがメインストリームになって久しい。そんな時代にあっても各メーカーが気概を持って発表するのがセダンだ。ワゴンの人気が先行するボルボも例外ではない。V60のセダン版と言われてしまう時代に、満を持して発表されたS60にはどんな思いがこもっているのか?

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取材・文/小川フミオ

ボルボの考える最良のセダンとは?

T5インスクリプションのホイール径は標準で18インチでオプションで19インチが用意される
イタリアでは自営業のちょっとこじゃれた男性は、ボルボに好んで乗るとか。イタリア車もいいけれど、北欧テイストの個性が立った内装と、安全装備と、しっかりした走りを体験すると、選択の趣味は悪くないと納得するものがある。

日本における最新のボルボモデルは、2019年11月5日に発売になったばかりのセダン新型「ボルボS60」。ここでは何度か書いてきたと思うけれど、セダンは、じつはクルマの原型ともいうべきもの。そのよさは、乗り心地とフォーマル性にある。S60は、それにスポーティなテイストが加わっている。

2018年に日本に導入されたのがステーションワゴンの「ボルボV60」で、今回のS60はそのセダン版。全長4760ミリと伸びやかなボディに、最新のボルボ車のアイデンティティといえる、ちょっとアグレッシブなフロントマスクの組合せ。セダン=保守的というイメージなんて吹き飛ばしてくれる。

思い返すと、スウェーデンは優れたスポーツギアの国だった。フィッシング好きには「アブガルシア」のリールとロッド。スノースポーツを楽しむひとは「POC」のヘルメットや「ホグロフス」のウェアを知っているはず。
ボリューム感を感じさせる曲面が美しい
マリンスポーツだと「ハルベリ=ラッシ」のヨット(スウェーデンはヨット大国)がある。シティアウトドア派には「シュッテルハイム」のレインコートや、広範囲のアウトドアスポーツ用「ヘストラ」の手袋……と、すらすらと出てくる。

実際にボルボも、クルマの宣伝にはセーリングなどのアクティビティのイメージをよく使う。イメージするオーナーの生活といえば、普段は仕事をバリバリしていても、休日をしっかり取って、彼女とか乗せて、海や山や野原へと出かける(おそらくゴルフも)。

新型S60だって、そういうひとに向けて開発された、疲労しにくく、快適で、それなりに速くて、かつ安心感が高いクルマというのがセリングポイントなのだ。

ボディサイズは、全長4760ミリ、全幅1850ミリ、全高1435ミリで、ホイールベースは2870ミリと長い。競合のひとつになりそうなメルセデス・ベンツCクラスを比較に持ち出すと、こちらは全長4690ミリ、全幅1810ミリ、全高1445ミリで、ホイールベースは2840ミリと少しずつ短い。
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「センサス」のモニタースクリーンをダッシュボード中央に据え、最近のボルボ車に共通するテーマでまとめられている
S60シリーズのなかで今回乗ったのは、「S60 T5インスクリプション」だ。187kW(254ps)の最高出力と350Nmの最大トルクを発生する2リッターガソリンエンジン搭載で、前輪を駆動する。

走りは、1500rpmから4800rpmにかけて最大トルクが出る、いわゆるフラットトルクのエンジン特性を利用して、市街地ではゆったりいい気分だ。いっぽう高速では加速性能に秀でている。アクセルペダルを軽く踏み込んだだけで、間髪入れずにというかんじで、クルマは加速体勢に移る。

コーナリング性能もよい。ステアリングはダイレクト感が強くて、切り込んだときの車体の反応速度もけっこう速いのだ。ウルトラスポーティではないけれど、トルクのあるエンジンとともに、かなりいいペースで山道を走れる。姿勢だって安定しているので安心感は高い。

感心したのは、乗り心地のよさ。じつはV60はリアサスペンションが少し硬すぎかなと気になっていた。いっぽうS60の足回りは、しなやかに動く。
T5インスクリプションにはパンチングレザーのシートがそなわる
試乗車は、日本仕様に標準という「ダイナミックシャシー」に加え、電子制御ダンパーの「FOUR-C」というオプションもおごられていた。少しスポーティな方向の味付けになるだろうけれど、ビシッと安定するので、これはお勧め。

インテリアは、ボルボ車の最大の魅力のひとつだ。S60でもそこはしっかり作りこまれている。ダッシュボード中央にインフォテイメントシステム用の縦型液晶モニタースクリーンを備える、ダッシュボードの基本的なレイアウトは、V60をはじめ、昨今のボルボ車と共通だ。

そのモダンで少々ハイテクな雰囲気と、シートをはじめドアやセンタートンネルのアームレストなどを、ソフトなタッチのレザーやファブリックでくるんだかんじが、他車にはなかなか見当たらない。誰かを乗せるときは、もてなし感覚ばつぐんといえる。

日本のラインナップは4つの車種で構成。ガソリンエンジン車は「T4モメンタム」と「T5インスクリプション」。1968cc4気筒ターボエンジンに8段オートマチック変速機の組合せは共通。出力ちがいだ。T5が187kW(254ps)の最高出力と350Nmの最大トルクを持ついっぽう、T4は140kW(190ps)と300Nmとなる。
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安全性はもちろん、運転支援技術もかなり充実

ブラックと「アンバー」(写真のシートの色)というコントラストを活かした室内
プラグインハイブリッドは2車種。「T6ツインエンジンAWDインスクリプション」と「T8 ポールスターエンジニアード」。T4とT5は前輪駆動で、T6とT8はともにAWD(全輪駆動)である。

ポールスターとはボルボ傘下の会社。自社ではパフォーマンスEVを手がけ、並行して、ボルボのツインエンジン車(ハイブリッドのこと)やEVのチューンナップを担当する。

チューンナップというと、従来は内燃機関(いわゆるふつうのエンジン)搭載車両の専売特許と思っていたけれど、ボルボカーズではいち早く代替燃料車も対象にしているところが、ユニークではないか。

安全と運転支援技術は、かなり充実している。たとえば、パイロットアシストを使って時速130 キロまで車線維持走行が出来るようになった。そして、「インテリセーフ」機能はさらに増えている。
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選ぶ色でだいぶ雰囲気が変わる
「ステアリングアシスト付 BLIS」(車線変更時に隣の車線に車両がいる場合ステアリングホイールに抵抗を生んで警告)、衝突回避機能を持つ「ステアリング・サポート(City Safety)」、対向車との衝突が避けられない場合、ブレーキで衝突の衝撃を緩和する「オンカミング・レーンミティゲーション」を装備、といったぐあい。

価格は「T4モメンタム」の489万円にはじまり、今回の「T5インスクリプション」の614万円、プラグインハイブリッドの「T6ツインエンジンAWDインスクリプション」の779万円、そしてトップモデルである「T8ポールスターエンジニアード」(30台限定)の919万円までとなっている。

セダンはじつはドイツ車をはじめ輸入車のなかでは、けっこう重要なポジションを占めている。S60の競合も多い。

メルセデス・ベンツC200ローレスエディション(586万円)、BMW320i Mスポーツ(594万円)、アウディA4 40TFSIスポーツ(566万円)、さらにアルファロメオ・ジュリア2.0ターボベローチェ(589万円)もある。

冒頭の話に戻るが、やっぱりセダンと、セダンに乗ることというのは、かっこがいいものだ。スーツにも似ているかもしれない。でも、形式的というのではなくて、乗り心地のよさではSUVはかなわないなど、ちゃんと実もある。いい選択だと思う。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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