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2019.09.22

レクサスRC Fをサーキットで走らせてみたら…

レクサスRCのトップモデルRC Fが、マイナーチェンジにより完成度を増した。その走りを試すべく、富士スピードウェイで試乗。レクサスの考える熟成とはどういうものだったのか?

CREDIT :

文/小川フミオ

レースのノウハウを投入し、究極進化を遂げた?

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RC Fの車名の由来ともいわれるFuji Speedwayでの試乗会の風景
サーキットを走ることが究極のクルマの楽しみだとしたら、サーキットでも走れるクルマに乗ることだって、それに近い。最近乗って、”これは楽しい”と強く思ったのが、レクサスRC Fだ。

レクサスRC Fは、2014年10月に発売されたRCシリーズのトップモデルである。「F」の由来は諸説あり、「Fuji Speedway」ともいうし、1980年代にレクサスの企画がスタートした際の社内のプロジェクト名「サークルF」ともいう。

いずれにしても「F」はレクサスにとって特別な名前なのだ。2019年5月にマイナーチェンジを受けたRC Fに乗ってみて、出来のよさが感動的だった。なるほどこれは特別製と納得の性能ぶりである。

RCシリーズは2ドアクーペで、ラインナップは多岐にわたる。パワートレインをみても、2リッター4気筒と、3.5リッター6気筒、それに3リッターと電気モーターを組み合わせたハイブリッドというぐあいだ。

加えて、スペシャルなRC Fは、354kW(481ps)の最高出力と535Nmの最大トルクを持つ、5リッターV型8気筒を搭載しているのだ。8段オートマチック変速機を介して後輪を駆動する。

今回のマイナーチェンジで、パワートレイン、タイヤ、サスペンションなど、多くの点に改良を加えられたのが特徴だ。開発のコンセプトはレースからのフィードバック(レース車両の技術を量産車にも反映させる)だといい、ボディの空力特性の見直しや、大幅な軽量化をはかったモデルの設定など、あらゆる点で凝っている。
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ボディ各所に空力処理が施された「RC Fパフォーマンスパッケージ」
RC Fには標準モデルに加え、「カーボンエクステリアパッケージ」と「パフォーマンスパッケージ」が設定されている。特筆しておきたいのは、これら3つのモデルが、それぞれちゃんと明確なキャラクターを与えられていることなのだ。

細かいといえば細かい。しかし別の言い方をすれば、繊細である。人間の感覚では、少しでもスポーツカーを経験したひとなら、この違いがわかるはずだ。3つのモデルで、グランドツーリングが得意なGTから、よりスポーティなモデル、そしてサーキットが似合うモデルまで作りわけられている。

で、ここでお勧めは、強烈な印象を残してくれた「パフォーマンスパッケージ」だ。従来型より70キロ、RC Fとだけ呼ばれる標準モデルに対し50キロの軽量化をはかったモデルである。

「日本のSUPER GTや米国のデイトナ24時間レースなど、RC F GT3によるレース参戦のノウハウを応用し、専用の空力パーツを採用したほか、さらなる軽量化や加速性能の向上を実現した、“F”の決定版とも呼べるモデル」とはレクサスの言だ。

「パフォーマンスパッケージ」は、パワーの数値は他のRC Fと同一なのだが、ブレーキのローターを大型化して操縦性を上げるとともに、車名のとおり、各部に軽量で高剛性の炭素繊維(CFRP)をおごっている特別モデルである。

具体的には、トランクの上にそびえたつ固定式のリアウィングが眼をひくことをはじめ、フロントスポイラー、ロッカーフィン、エンジンフード、それにルーフがCFRP製となる。
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従来型より70キロ軽量の「RC Fパフォーマンスパッケージ」
加えて、マットブラック塗装の鍛造アルミホイール、チタンマフラー、カーボンパーテーションブレース、カーボンセラミックブレーキといった装備も備えている(マットブラックの鍛造アルミホイールとチタンマフラーはカーボンエクステリアパッケージにもオプションとして設定)。

もちろん見た目だけではない。富士スピードウェイで試した走りは、たいへん印象的だった。まさに意のままに動くとはこのことだと感じたのだ。

たとえば、先に見えているコーナーのクリッピングポイントにあと何秒でたどり着きたいと頭で考えながら、アクセルペダルを踏み、ステアリングホイールを操作すれば、願ったとおりの時間で到達する、というかんじなのだ、やや誇張していえば。

走るコースのラインが自分の頭のなかにイメージできていれば、RC Fはドライバーの意図に完璧に忠実なドライブを体験させてくれる。加速はいかなる回転域からでもすばやく、車両の挙動は予想どおり、ハンドリングは安定しているうえ、車体の反応はダイレクトだ。

フロントスポイラーのコーナーにカナード形状を取り入れてダウンフォースを向上させるという空力的処理なども、車体の動きのキレのよさに大きく影響を与えているだろう。

ドライビングはA地点からB地点への移動ではなく、スポーツのように頭脳と身体とそしてクルマとの一体感を楽しむものだということが、「パフォーマンスパッケージ」に乗っているとじつによくわかる。従来型より眼にみえていいクルマへと”進化”した。
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あらゆる箇所に手が入ったその操作性は!?

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固定式大型リアスポイラーが「RC Fパフォーマンスパッケージ」に装着される
「トレッドパターン一本一本のコンパウンド材質までこだわった」とレクサスがするミシュランとの共同開発のスポーツタイヤを装着しているだけあって、高速でコーナーを曲がるときのグリップ力は抜群だ。

エンジンマウント、サスペンションメンバーブッシュ、ステアリングラックブッシュなどの剛性も高められ、「サーキット走行などにおいても優れた操縦安定性を発揮」するとレクサスが謳うとおりの出来上がりである。

富士スピードウェイの最終コーナーを回ってホームストレッチを加速するとき、過給器をもたないV8エンジンの気持のよい回転ののびにも感心させられる。ちょっと高音の排気音が室内に響くのを聞いて加速しているとき、本当にいいクルマになったなあと、嬉しくなってしまったほどだ。

レクサスによると、エアクリーナ-形状変更による吸気性能向上とスロットル制御の改良によりアクセルレスポンスを向上させたという。ディファレンシャルギアをローギヤード化し、サーキット走行におけるアクセルでの車両コントロール性を向上させたことも、同意に謳われる。サーキットだけでなく、街乗りでも軽快感が増したそうだ。

もちろん、標準モデルも、「カーボンエクステリアパッケージ」車も、充分に楽しめる。全体として、車体の動きはしなやかになったかんじで、エンジンとハンドリングとのバランスがよりよくなっているからだ。足まわりの設定などを考えると、市街地で使うなら、これら2車種でもよいなあと思う。
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「RC Fパフォーマンスパッケージ」のあざやかなインテリア
そもそも、同時に大きな改良を受けたRCシリーズも、ハンドリングが驚くほど改善されているので、スタイリングを主眼に考えたら、たとえばRC300hでも満足度は高いはずだ。

問題は乗り較べたときである。RC Fのクルマとドライバーが一体化する走りの印象を”ソリッド感”とよぶなら、圧倒的にRC Fでしょう。ポルシェ911と較べて悩むのもおおいにありそうなことだ。

価格は、標準の「RC F」が1021万909円(8パーセントの消費税込み・以下同)、「RC Fカーボンエクステリアパッケージ」が1099万6364円、そして「RC Fパフォーマンスパッケージ」が1404万円となっている。992と呼ばれる最新のポルシェ911カレラSが1666万円することを考えると、RC Fの魅力はかなり輝く。

● 小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。いわゆる文化的なことが得意でメカには弱く電球交換がせいぜい。

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