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2019.09.01

2万5千台が集結した、MINI生誕30周年記念イベント

「最高に楽しかった!」と著者が述懐する「MINI生誕30周年記念ミーティング in シルバーストーン」。F1世界選手権き第1戦、イギリスGPが行われた名門サーキットで1989年に開催された伝説のイベントとは?

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文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第110回

MINI生誕30周年記念ミーティング in シルバーストーン

「○○記念」的なイベントへの招待はよくいただく。当然だが、「参加してよかった」と思うものもあれば、ガッカリするものもある。

いろいろとあった中で、「最高に楽しかった!」と躊躇無く言えるのは「MINI生誕30周年記念ミーティング in シルバーストーン」。1989年のことだ。

F1世界選手権は1950年から始まったが、その記念すべき第1戦、イギリスGPが行われた名門サーキットでの開催だった。

シルバーストーンは、第2次時世界大戦中は英国空軍の基地だった。ロンドンからおおよそ120km。クルマで2時間ほどの距離だが、MINI30周年イベントの時は、前日ロンドンを発ち、近くの小さな町のホテルに泊まった。

当日はむろん早起き。混雑する前にシルバーストーンに着こうとホテルを出た。3時には起きて、4時頃にはホテルを後にしたと記憶している。
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泊まったホテルのある町も小さかったが、サーキットへ向かう道中にも大きな町はない。落ち着いた静かな田舎町が点々と続く。ふだんは静かで穏やかな生活が営まれているのだろう。

しかし、まだ午前4時を少し回ったばかりなのに、、道路はすでに多くのMINIが列を成していた。まだ寝静まった田舎町をカラフルなMINIが連なって走る、、まるで映画の1シーンを見ているようだった。

サーキットへ行くのに地図を見る必要はない。MINIの列に入って走れば自然に着くはずだから、、そして、もちろんその通りになった。

途中から渋滞が始まったが、早出をした甲斐あって、ズルズル動く(停まってしまわない)程度の渋滞ですんだ。後で関係者に聞いたら、いちばん酷いときは15kmもの渋滞が発生したとのこと。

僕はかなりの早着組と思っていたが、サーキットにはすでに多くのMINIとそのオーナーたち、仲間たちが集まっていた。入場口ではかなりの混雑が起こると予想していたが、それもなく、ちょっと待っただけで入れた。

混雑が少ない理由はすぐわかった。キャンプ施設もある敷地は広大で、続々と詰めかけるMINIをスムースに悠々と飲み込んでゆくからだ。

メインスタンド前でのセレモニーやアトラクションに参加するMINIは、パドックとその周辺に集まる。が、それ以外のMINIは、開放された広大な芝生や駐車場で自由気ままに1日を楽しむという。

シルバーストーンに集結したMINIは2万5千台。MINIファンは15万人、、広報担当者からそう聞いた。凄い数だ。

イギリスだけではなく、欧州各地から、北米から、アジアから、、もちろん日本からも、、つまり、世界中から集まったということ。MINIの人気や恐るべし、だ。

30周年生誕記念イベントともなれば、ピカピカに磨き上げられているとか、精一杯飾り立てているとか、、そんなMINIが集まるように思うだろう。でも、それが違う。

もちろん、頑張っているMINIもいた。が、2万5千台のMINIの多くは、普段着のまま、素顔のままだった。

ブラックタイで決めたようなMINI、割烹着を着けてキッチンから駆けつけたようなMINI、負傷の傷跡をあっけらかんと残したままのMINI、ずいぶんサビサビなMINI、、。

とにかく、あらゆるMINIが集まっていた。それが自然に馴染みあって、誰にでも笑みを浮かべさせてしまう、MINIならではの不思議な世界、、誰もがハッピーになってしまうような世界を創っていた!

公式なアトラクションとは別に、広大な駐車エリアでは、目立ちたがり屋さんたちが、勝手気ままに種々のパフォーマンスを行う。
これがまた楽しい。
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その傍らでは、バーベキューの用意をする人たち、ピクニックテーブルを組み立てる人たち、走り回る子供たち、、とにかく、みんな楽しそう。MINI生誕をダシにして、「みんなで楽しんじゃおうぜ!」の雰囲気なのだ。

「MINI 蚤の市」も楽しかった。多くの人たちが集まっていた。サビ付いたり、半分曲がったり、潰れかかったような部品も並んでいた。

僕は蚤の市が大好きだが、注意して見ていれば、きっと「宝物」がみつかる。

この時も僕は宝物を見つけた。小さなブロンズのMINI。1967年のモンテカルロ・ラリーで、アルトーネンがウィナーになった時の走りを模したもの。

4個の大径ドライビングランプ、2本のスペアタイヤをルーフラックに積んだアルトーネンのミニクーパーSが、雪のチュリニ峠を果敢に攻めている、、そんなシーンがクッキリ思い浮かんでくる。

この宝物が僕の部屋にきてすでに30年経つが、未だに、お気に入りの順位は高い。

アトラクションでは、MINIのカスタムモデルが多く出展されたが、それらがメインスタンド前をパレードしたときは大盛り上がり。

内輪を大きく持ち上げてのスリリングな片足走行コンテストも拍手喝采だった。

最後のアトラクションは、MINIが隊列を組んでのパレードラン。シルバーストーンを埋め尽くしたMINIの隊列は「5000台を超えた」とアナウンスされた。僕はメインスタンドで見ていたが、まさに壮観としか言いようのない眺めだった。

でも、壮観ではあったが、押しつけがましいような、圧倒するような雰囲気は一切なかった。そこにあったのはただただ笑顔だけ。

あの日のシルバーストーンを笑顔で過ごさなかった人などいるはずがない。そう、あの日、15万人の人々のほとんどが、いや、たぶんすべてが、笑顔を絶やすことはなかったと思う。

「MINIは小さな巨人」、「MINIは誰にでも愛されるクルマ」、「MINIはハッピーを運ぶクルマ」、、いろいろ言われる。

1989年、シルバーストーンで過ごした1日は、そんな言葉を改めて強く実感させられた1日だった。「MINIはすごいクルマ!」だと、改めて思った。

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

溝呂木 陽先生の個展が開催されます

本連載のイラストをずっと手がけて戴いている溝呂木 陽 先生の個展が、9月に開催されます。イタリア、パリの街角と、そこに佇むクルマをおなじみの繊細なタッチの水彩画で描いています。ぜひその画を直に見て戴ければと思います。
溝呂木陽水彩展2019
日時:2019.9.7(土)〜9.28(土) 10:00〜18:00
火曜定休 入場無料
場所:FIAT CAFFE松濤
東京都渋谷区松濤2-3-13
03-68049992

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