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2019.08.23

有効率95%!? シトロエンが作った「乗り物酔い防止メガネ」がすごい!

フランスのシトロエンがちょっと変わったメガネ「シートロエン」をリリースした。レンズも入っていないこのメガネをかけると乗り物酔いしないのだという。発売直後からバカ売れしている画期的メガネの秘密とは?

CREDIT :

森口 将之(モビリティジャーナリスト)

記事提供/東洋経済ONLINE
シートロエン メガネ
プジョー・シトロエン・ジャポンが5月に日本で発売した乗り物酔いを防止するメガネ「シートロエン」(筆者撮影)
自動車会社が自分たちのブランドを衣服や鞄などのファッションアイテムに展開することはよくある。そんな中、フランスのシトロエンがちょっと変わったメガネをリリースした。

見るという意味の英単語(see)と自分たちのブランド名をかけ合わせて「シートロエン(SEETROËN)」と名付けたこのメガネ、ちょうど1年前の7月に欧州で発表されると公式ウェブサイトは2000万ビューを超え、1.5万個以上の販売実績を挙げるなど大きな話題となった。

日本ではシトロエンのインポーターであるプジョー・シトロエン・ジャポンが今年5月28日に発売。するとテレビやインターネットで話題となり、シトロエンのオンラインショップでは1分に1個のぺースで売れ、即日完売となってしまう。そこで7月、急遽航空便でフランスから追加輸入している。

インポーターではリラクゼーションメガネと呼んでいるこの商品の最大の特徴は、個性的なデザインではない。乗り物酔い防止という機能を備えていることだ。
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「空間識」が崩れると乗り物酔いに

乗り物酔いは、私たちが持っている「空間識」と呼ばれる機能と関係がある。自分が周囲に対してどのような位置に置かれているかを判断する機能で、視覚のほか、耳の奥の内耳にある三半規管が司る平衡感覚などで判断している。
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シートロエン着用シーンのイメージ(写真:シトロエン)
乗り物に乗ると、揺れなどが原因で感覚などにズレが生じ、脳がそれを処理しきれなくなり、空間識が崩れる。すると自律神経が乱れ、頭痛、めまい、吐き気などの乗り物酔いの症状が起こるのだという。

こうした症状を防止するために、昔から酔い止め薬がある。脳にある嘔吐中枢という箇所の働きを抑える抗ヒスタミン薬、自律神経の混乱を抑える副交感神経遮断薬、中枢神経に働いて脳の感覚の混乱を抑える中枢神経興奮成分などの成分が含まれている。

ただし酔い止め薬は、かぜ薬や解熱鎮痛剤、鼻炎薬など、他の薬と併用すると副作用が出る可能性もあり、つねに服用できるわけではない。

一方のシートロエンは、南フランスのスタートアップ企業ボーディング・リング社が船員のために開発した特許取得済みの技術を採用したもので、乗り物酔い止め有効率は95%だという。
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メガネといってもレンズは入っていない

秘密はメガネのフレーム内部に着色された液体にある。これが顔の正面と左右で揺れることで水平線を再現し、視覚と三半規管の感覚のズレを抑える。三脚などに装着する水準器を円形にしてメガネに装着したような内容である。内耳の成長が終わった10歳以上の人であれば使用できる。
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子供の場合、10歳以上であれば使用できる(写真:シトロエン)
乗り物酔いの症状が表れたらシートロエンをかけ、スマートフォンや本などの動かないものに視線を固定していると、10~12分後、視覚情報と三半規管による情報が同期し、気分がよくなる。その後はシートロエンを外しても、効果は持続するという。

メガネといってもレンズは入っていない。よって通常のメガネやサングラスと併用することも可能で、家族や友だちと共有することもできる。

デザインはシトロエンの本拠地と同じパリのデザインスタジオ5.5社とのコラボレーションで、シトロエンらしいフレッシュさとシンプルさにこだわりつつ、人間工学にも基づいている。その結果、ソフトタッチの白いプラスチック製の、ハイテクな外観のメガネが生まれた。

筆者は幼少期から乗り物酔いしやすい体質で、現在でも船は苦手だし、鉄道は進行方向と逆向きに座ると気分が悪くなる。乗用車やバスでスマートフォンや本を見ながらの移動など到底無理だ。
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C5エアクロス外観(筆者撮影)
なのでシートロエンには注目したが、本当に効くのかという疑いの目も向けていた。先日、日本でも発売されたシトロエンのSUV「C5エアクロス」を長距離試乗する機会があったので、後席で過ごす際に試してみた。C5エアクロスの試乗記についてはいくつかの自動車専門誌に執筆しているので、気になる方はご覧いただきたい。

前に書いたように、筆者はシートロエンを信用しきっていたわけではないので、効果が発揮できなかった際に備え、本来の使い方とは違うことを承知で、山間部の道で後席に移ったと同時に着用した。
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C5エアクロス車内(筆者撮影)
通常、山道で運転席以外で過ごさねばならないときは、昔から言われているように遠くの景色を眺めるようにするのだが、シートロエンはむしろスマートフォンなどを注視していたほうがいいそうなので、大いなる不安を抱きつつ、最悪の状況に自らを追い込んだ。

数分後、不思議な感覚に襲われていることに気づいた。カーブの続く道で体は左右に揺らされているのに、頭の中がグルグル回るような気分の悪さが起こらない。しばらくすると感覚が慣れてきたようで、シートロエンを外しても気持ち悪くならなかった。同行した他の2人も同様の感想で効果に驚いていた。
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快適な移動を追求し続けきたシトロエン

シトロエンは昔から、多くのクルマ好きを驚かせる大胆なデザインやテクノロジーを取り入れてきた。それが見かけ倒しではなく、快適性や実用性の追求の結果であることは、自身が所有した5台、取材で触れた数えきれないほどの個体から知っている。
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使わない時は円筒形ケースにしまっておける(写真:シトロエン)
シートロエンもまた、大胆な造形の中に高度な機能を秘めているという点で、クルマのシトロエンと共通していたし、移動における快適性を追求したという点も合致している。

しかもシートロエンは時流に沿った商品でもある。今の人たちは移動中にスマートフォンやタブレットなどを見て過ごすことが多いからだ。酔い止め薬などよりも多くの人が注目しているのではないだろうか。

100年にわたり快適な移動を追求し続けきたシトロエン。その哲学をクルマ以外の分野で具現化したのがシートロエンと言える。
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です
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