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2020.03.22

大人の男が時計について知っておくべき10のコト【後編】

時刻を知るという本来の目的が薄れて、持ち主のステイタスとライフスタイルを表す記号として機能する高級腕時計。なぜ男たちは時計に惹かれ高価な腕時計を持とうとするのか? 大人の男の時計論、その後編をお送りします。

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文/福田 豊 イラスト/桑原 節

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男にとって腕時計とは特別な意味をもつ嗜好品です。時刻を知るための装置として誕生した時計は、小型化して腕を飾るようになることで、本来の機能以上に持ち主のステイタスやライフスタイルを表す特別なアイテムとなりました。男たちを魅了してやまない高級時計を着ける意味とは? どんな時計をどこで購入して、どう付きあうべきか? など、男として腕時計について知っておくべき10項目をまとめた後編。その5項目をご紹介します。前編はこちら

【6】腕時計の正しい選び方 
~腕時計も必ず「試着」することが大切

腕時計には、実際に腕に載せると、驚くほど表情が変わるものがあります。

ショーケースに並んでいるときには控えめでクラシックに見えていたのが、腕に載せてみると、華やかでモダンであったり。ケースが大きく厚すぎると思えていたのが、意外にしっくりと馴染んだり。

そしてそんな表情が大きく変わる腕時計ほど「よい腕時計」だったりする。なぜかはわからないですが、そういうことが多い。ショーケースの中でも腕の上でもさほど変わらないのは、所詮は「予想の範囲の凡庸さ」ということなのかもしれません。

また、近くで見るのと、遠くで見るので、表情が変わるモデルもあります。つまり自分が見るのと、他者が見るので、違って見えるのです。

その好例がオーデマ ピゲのロイヤル オークで、ケースとブレスレットの2トーン仕上げのポリッシュ部が太陽の光などに照らされると、遠目にキラリと美しく光る。だから自分で見るより、他者から見た方が、よりいっそうラグジュアリーで格好いいのです。

ですから腕時計を選ぶときには、まず、腕に載せてみる。そして腕に載せたところを、鏡に映して見てみる。さらに大きな鏡に全身を映し、離れて遠くから見てみる。よい時計店には、そういうための大きな鏡があるものです。

要するに、洋服を選ぶときのように、腕時計も「試着」をすることが大切。それが正しい腕時計の選び方なのです。
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【7】腕時計の基本は2本持ち 
~まずはドレスウォッチとスポーツウォッチを

腕時計の基本は、ドレスウォッチとスポーツウォッチの2本をもつこと。服装にドレスとスポーツがあるように、腕時計もドレスとスポーツを使い分けるのです。

では、その選び方はというと、ざっと挙げるとこんな感じです。

まず、ドレスウォッチは、薄ければ薄いほどよい。靴底や眼鏡のフレームと同じく、厚みがあるほど無骨に、薄いほどドレッシーに見えるのです。

薄いケースがドレスシャツの袖口に隠れる、というのも重要なこと。そうして大切な人と会話や食事をしているときに、腕時計が隠れて「時間を気にしていない」という風にするのが、エレガントな所作です。

同じく「細かな時間は気にしない」という意味で、秒針や細かなインデックスがないほうがエレガント。つまり時分針のみの2針で、シンプルなダイヤルが、もっともドレッシーなのです。

一方、スポーツウォッチは「本格のスポーツ仕様」から「スポーティなもの」まで多種多様で、そのため選び方もひと言で語るのは難しい。しかしそのどれにも望まれるのが防水性能でしょう。

前記の薄型ドレスウォッチは、多くが「日常生活防水」といわれる、30m防水以下ぐらい。それ以下の非防水も少なくありません。

ですので、そんなドレスウォッチと使い分けるには、高い防水性を備えたものがよい。そして「高い防水性」というと、その目安は、100m防水ぐらいです。

というのも、50m防水では、水道の水やシャワーに直接当てると、防水性能が不足。気にせず洗ったり水に浸けたりできるのは、やはり100m防水以上。プールや海で泳ぐのなら、200m防水以上の本格ダイバーズが安心です。

そしてドレスウォッチとスポーツウォッチを揃えたら、次は、純粋に「趣味で選ぶ」3本目を。そうすれば、もはや完璧。あなたは立派な時計マニアの一員です。
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【8】腕時計との正しい付き合い方 
~日常使いの注意点と、オーバーホールを

腕時計との正しい付き合い方は、まず取扱説明書をきちんと読むこと。

取扱説明書には、いうまでもなく、大切なことが書かれています。なかには、それを守らないと故障する、というようなことも。その代表例が、日付の早送りで「午後8時から午前2時のあいだは厳禁」などと書かれている。ほかにも「自動巻きは手で巻くこともできる」などという、意外に知られていない、知っていると役に立つことが書かれていたりもします。

また、日常で気をつけるべきこともたくさんある。そのひとつが、磁気です。機械式のムーブメントは磁気を帯びると精度が低くなる。機械式時計には磁気が大敵なのです。

しかし今日の日常生活には磁気がいろいろとあります。携帯電話やラップトップPCのスピーカーには磁石が使われているし、バッグの留め具に強力な磁石を使用していることも多い。だからそれらに腕時計が近付かないように気をつけるのが大切です。

レザーストラップの点検も重要です。レザーは、割れたり、切れたりする。ですから傷んできたら、なるべく早めに取り替えるのが得策。取り替えを怠り、切れてしまうと、腕時計を落として壊してしまうことだってあるからです。

そして、最も重要なのが、オーバーホール。機械式もクォーツ式も、長く使っているうちに、各部のオイルが劣化する。歯車などのパーツが摩耗することもあります。

だから定期的にオーバーホールに出して、分解掃除をしたり、パーツ交換をしたりすることが必須。そしてそのオーバーホールの適正な年数は、取扱説明書に書いてある。要確認です。

【9】腕時計の使いこなしの上級テクニック 
~ベルト交換のすすめ

前項の「7」で述べたように、腕時計の基本はドレスウォッチとスポーツウォッチの2本もち。さらに趣味で選んだ3本目をもてば、立派な時計マニアです。

しかし、そうはいっても、誰しも最初から2本、3本を揃えるのは簡単ではない。どれも高級腕時計で揃えようとすれば、なおさらです。

そこで腕時計の賢い使いこなしの方法が、ベルトを交換すること。腕時計はベルトを付け替えると、ガラリと印象が変わるのです。

たとえば、メタルブレスレットのスポーツモデルを、エレガントなレザーストラップに付け替えれば、ドレスウォッチのようになる。

ストラップの質感や色を変えるのも効果的です。アリゲーターストラップのドレスウォッチを、タフなカーフストラップにすれば、スポーツモデルのように着けこなせる。シックな黒や茶のレザーストラップを、ポップなカラーに付け替えれば、飛び切り楽しい「趣味」の時計になります。

ほかにも、カミーユ・フォルネのようなストラップの専門ブランドにオーダーするのも、よい方法。カミーユ・フォルネは、さまざまな名門ブランドのレザーストラップを手がける名門。そのため品質の高さや仕上げの美しさは折り紙付き。自分だけの特別な一本に仕立てて、個性を楽しむことができます。

などなどというように、ベルト交換は本当に大おすすめ。さほどお金をかけずに、腕時計をさまざまに使いこなすことのできる、ハイコストパフォーマンスの上級テクニックなのです。
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【10】高級腕時計あるある 
~高級なほど維持費もかかる、オーバーホールで初めて気づく「2本目」の必要性

向田邦子のエッセイに、こんな話がありました。初めて老眼鏡を買いに行ったとき、眼鏡店で「2本買ったほうがよい」といわれ、「1本でも嫌なのに、なぜ2本も必要なのか」と立腹し、1本だけ買って帰った。しかしその老眼鏡のネジが外れてしまったとき、眼鏡店のいうことが正しかったことを理解する。ネジをはめようとしても老眼で見えなかったのです。

それと同じようなことが、高級腕時計にもいえます。「8」で述べたように、腕時計には定期的なオーバーホールが欠かせない。そこでオーバーホールに出すと、その期間、腕時計がないことに気付く。といって、安価なモデルで代用するわけにもいかない。つまり高級腕時計も「2本目」が必要なのです。

ちなみに、かつてウブロはオーバーホールのときに、クルマの「代車」のように、見た目はウブロそのままのプラスチックケースのクォーツ式モデルを配布していたことがある。A.ランゲ & ゾーネはステンレスケースのモデルを貸し出していたこともある。どちらも非売品の特別な仕様であるため、いまもっていたら「お宝」になるでしょう。

さて。クルマでたとえるなら、「腕時計はクルマのような車検がない」と、よくいわれます。だから「クルマほどお金がかからない」と。

でも、それは大間違い。腕時計には、確かに、クルマのように義務とされる点検はありません。しかし前記したように、定期的なオーバーホールが欠かせない。そしてオーバーホールをサボれば、そのぶん次回のオーバーホールの料金が高くなる。また、高級腕時計はパーツも高級で高価なためオーバーホールが高い。要するに、高級車の車検とまったく変わらないのです。

ほかにも、超複雑機構はスイスなどの本国対応となるため、オーバーホールの期間が長いとか。高級腕時計には、ならではのクセというか、特徴があります。

そしてそんな特徴と付き合っていくのも、ならではの味わい。高級腕時計のオーナーだけの特別な愉悦なのです。
※大人の男が時計について知っておくべき10のコト【前編】はこちら

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