深化を止めないオリジナリティ
ヘリテージが先人へのリスペクトであるのに対して、オリジナリティは現代におけるブランドらしさを深く掘り下げることです。それはトレンドを見据えたうえでの深化でありブランドの個性を強くアピールします。
Hermès [エルメス]
スリム ドゥ エルメス エナメル/255万円(予価)
薄さを表現するため、数字インデックスからデザインし昨年発表したニューコレクションに、伝統的なエナメル技法を駆使した文字盤を採用。際立つ書体の美しさこそメゾンのこだわりだ。

薄さを損なうことなく、エナメルの文字盤を三層にすることで立体感を演出する。エナメルならではのコクのあるテリと軽やかなインデックス書体の調和はメゾンの品格と美学を醸し出す。自動巻き、18KPGケース(39.5㎜)、アリゲーターストラップ。3気圧防水。世界限定100本。今秋発売予定/エルメス(エルメスジャポン)
Gucci [グッチ]
GG2570/16万2000円(予価)
新たに就任したクリエイティブ・ディレクターの下ファッションとの連携を強化。しかもウォッチ部門のトップは元タグ・ホイヤー社長という完璧な布陣だ。

アレッサンドロ・ミケーレが手がけ、コレクションテーマでもある’70年代テイストを表現する。クッションケースや当時流行した横バーインデックスなど時計マニアの本領発揮。クオーツ、YGプレートのSSケース(37㎜)、レザーストラップ。5気圧防水。10月発売予定/グッチ(ラグジュアリー・タイムピーシズ ジャパン)
Rado [ラドー]
セラミカ/22万円(予価)
ラドーにとってデザインと素材技術は相対する関係ではなく、表裏一体である。今年は特にミニマムなデザインに注力し美しさと装着時の心地よさを凝縮する。

1990年誕生の世界初のフルセラミックス時計をプロダクトデザイナー、コンスタンチン・グルチッチ氏とのコラボでリニューアル。モノブロックならではの装着感や上質なブレスレットなど進化を遂げた。クオーツ、セラミックケース(41.7×30㎜)×ブレスレット。50m防水。9月発売予定/ラドー(ラドー/スウォッチ グループ ジャパン)
Cvstos [クストス]
チャレンジ シーライナー クロノ レガッタ/310万円(予価)

最高峰のマリンスポーツであるレガッタモデルとして、ブルーのトノウケースには新開発の競技用5分カウントダウン機能を搭載する。自動巻き、ブルーPVD加工のSSケース(59×45㎜)、ラバーストラップ。100m防水。今秋発売予定/クストス(フランク ミュラー ウォッチランド東京)
高級時計にかつてのようなビッグトレンドは、ほとんど見かけなくなりました。その背景には自身のライフスタイルや嗜好に合わせて時計を取捨選択する意識の高まりと、ゼンマイの魅力の多様化があります。つまりそこには十人十色の楽しみ方があるということ。対してブランドはオリジナリティを追求し、ほかとかぶらない個性に磨きをかけるのです。
とはいえ時代の気分を満たすことは不可欠であり、オリジナリティのヒネリにこそ、そうしたトレンドに対するブランドの視座が表れる。それも見ドコロであるわけです。新作もそんなブランドの目指すベクトルを具現化したモデルが目白押しとなりました。
方向性は異なっても、ひと目でそのブランドとわかる顔つきと、時代への解釈がうかがえます。自分のスタイルは崩さず、現役感も漂わせる。それはオヤジの魅力にも通じるのです。
Hublot [ウブロ]
ビッグ・バン ウニコ サファイア オールブラック/669万円(予価)
エポックメイキングとなったオールブラック誕生から10周年を迎え革新作を発表した。ビッグ・バンのスタイルを崩すことなく自在なヒネリ技はまさにトレンドセッターと呼ぶにふさわしい。

先に発表されたフルスケルトンのサファイアケース第2弾。サファイアの内側にスモークPVD加工を施し、黒く見えるようにしている。自社キャリバー、ウニコを搭載。自動巻き、サファイアクリスタルケース(45㎜)、シリコンストラップ。5気圧防水。世界限定500本。8月発売予定/ウブロ
Girard-Perregaux [ジラール・ペルゴ]
ジラール・ペルゴ 1966 フルカレンダー/120万円
昨年70周年を祝したレクタンギュラーの1945に続きラウンドケースのアイコン、1966が節目の50周年を迎えてプチコンプリケーションを発表した。2枚看板は盤石だ。

トリプルカレンダーにムーンフェイズ装備。1966は端正なラウンドケースに、ボンベダイヤルとそれに沿って先端を曲げた長い秒針が特徴。今回バーインデックスを7面カットし、さらに洗練を増した。自動巻き、SSケース(40㎜)、アリゲーターストラップ。30m防水。発売中/ジラール・ペルゴ(ソーウインド ジャパン)
Meccaniche Veloci [メカニケ・ヴェローチ]
アイコン 10 ポディウム/480万円(予価)

アイコンモデルのクアトロヴァルヴォレを名称変更し、これまでの4つの独立したムーブメントから、ひとつで各インダイヤルを統合する新たなオリジナルムーブメントを搭載した。自動巻き、18KPGケース(49㎜)、ラバー×レザーストラップ。5気圧防水。今秋発売予定/メカニケ・ヴェローチ(ビックグローブ)
Gaga Milano [ガガ ミラノ]
バイオニック スカル 48MM/23万円
インパクトのあるケース&デザインが10年以上のロングセラーで支持されるのは常に品質向上と斬新な発想で磨きをかけているから。今年はさらにポップに。

スカルもガガ ミラノが手がけるとサイボーグ風に。エッジィなグラフィックに合わせて、ケースも昨年のクリスタルで採用した四隅をビス留めした新構造になり、リュウズもスカル専用にデザインする。手巻き、ブラックPVD加工のSSケース(48㎜)、レザーストラップ。5気圧防水。世界限定500本。7月発売予定/ガガ ミラノ(ガガ ジャパン)