2020.03.18
人気のアンティークウォッチは、いまコレが狙い目!
近頃、お洒落な人がこぞって着けているヴィンテージウォッチ。腕時計のプロ・広田雅将氏(『クロノス日本版』編集長)に、最新の選びの基準を教えていただきました。
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文/広田雅将(『クロノス日本版』編集長) イラスト/林田秀一
時計好きが注目する"ネオ・ヴィンテージウォッチ"
アンティークウォッチはデザインが面白いし、作りも良いし、価格も手ごろなため、最近人気を集めるようになった。しかし、正直なところ、万人向けとは言いがたい。この時代の時計は、防水がまったく効かない上、磁気に弱く、修理費も決して安くないのだ。いわゆる「旧車」と同じで、買いたいものがあっても、うかつに手を出すと火傷をする。
というわけで、一部の時計好きたちは、1980年代から90年代の時計に注目するようになった。普段使いできる実用性を持っている上、今の時計には少なくなった手作業の味も残っているためだ。しかも現行品より維持には気を遣うが、アンティークに比べるとずっと楽だ。クルマに例えるならば、メルセデスのW123や、ポルシェの930だろうか。



例を挙げるなら、手巻きのロレックス「チェリーニ」には優れたモデルが多い。しかもスポーツモデルほど高くないのである。問題は値段があまり高くないため、市場に出てこないこと。欲しい人は、こまめに探すといいだろう。
この時代は、パテック フィリップやヴァシュロン・コンスタンタン、ブレゲ、オーデマ ピゲなども、薄いドレスウォッチで傑作、佳作を多く作っている。カルティエも同様で、文字盤にPARISと銘打たれた手巻き時計は、今後さらに人気を集めるに違いない。
では、こういった時計を選ぶとき、何に気を付けるべきなのか。アンティークより使えるとは言え、今から数十年前に作られた時計である。もし買うならば、きちんと整備されたものを選ぶこと。
そしてできれば、外装があまり痛んでいないものを選ぶといい。例えば、文字盤にクラックが入っていないとか、針の塗装がはげていないなどである。1980年代から90年代の時計は、それ以前と比べてケースの気密性は高まった。にもかかわらず、文字盤や針が痛んでいる個体は、悪く扱われたと考えていいだろう。
そしてもうひとつが、安物買いは避けること。こういったお約束を知って、こまめに時計屋を回ると、きっと面白いネオ・ヴィンテージが見つかるに違いない。

● 広田雅将(ひろた・まさゆき)
1974年生まれ、大阪出身。時計専門誌『クロノス日本版』編集長。サラリーマンを経て2004年からフリーのジャーナリストとして活躍し、2016年より現職。関連誌含め連載を多数抱える。また、一般・時計メーカー・販売店向けなど、幅広い層に対して講演も行う。
高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos]