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2019.09.21

「命を救う新機能」はなぜ日本で除外されのか

新型アップルウォッチに買い替えるべき理由

アメリカ時間9月10日に新型iPhone、iPadと共に発表された新型Apple Watch。常時点灯するディスプレーや電子コンパス機能など注目の仕様もあるが、日本版では「命を救う機能」が省かれてしまったという。果たして新型Apple Watchは買い替えるに値するのか?

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文/松村 太郎(ジャーナリスト)

記事提供/東洋経済ONLINE
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新たにチタン素材も登場した2019年モデルのApple Watch Series 5(筆者撮影)
アップルはアメリカ時間9月10日に開いたスペシャルイベントで、新型となるiPhone 11シリーズ、日本でも3万5000円を切る低価格で登場したiPad(第7世代)とともに、新型Apple Watchを発表した。

今年で第5世代目となる世界で最も売れているスマートウォッチは、昨年の小幅なデザイン変更を踏襲したが、新しいケース素材を採用するなど、引き続き、独走するトップランナーとして存在感を見せた。

「常時点灯」だけで買い替える理由に

今回発表されたApple Watch Series 5は、昨年のモデルを引き継ぎ、44ミリ・40ミリのケースと有機ELディスプレー、心拍センサー、心電図センサーなどを備えた展開となった。内蔵するプロセッサーは64ビットデュアルコアプロセッサーを備えるS5となったが、新たに電子コンパス機能が追加された。

文字盤にコンパスを設定すれば方角がわかるし、地図を表示させてもどちらを向いているのかがわかる。セルラーモデルを使っている人はApple Watchだけでウォーキングやジョギングに出かけるかもしれないが、ナビゲーションを行う際の便利さが増した。

しかし今回の発表の最大の目玉は、常時点灯するディスプレーだ。
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ディスプレイの技術向上から、常時点灯させながらバッテリー持続時間を保持する機能を初めて実現した(筆者撮影)
これまでApple Watchは、バッテリー消費を抑えるため、モーションセンサーで見ていない角度になったり、画面全体を掌で覆うとディスプレーを消灯していた。手首を返したり、画面に触れると時間がわかる仕組みだ。

ただ、これだと普通の腕時計のように、手がどんな角度であろうと時間がわかるシンプルな機能を実現できず、たびたび手首を返したり、タップしたりしなければならない動作にずっとストレスを感じていた。

Apple Watch Series 5で常時点灯に対応したことで、この問題が解消すると思われる。

アップルによると、デザイン変更と画面拡大を行った昨年のApple Watch Series 4から、LTPO OLED(低温ポリシリコン+IGZOを活用したアップル開発のディスプレー技術)を採用した。2019年はそれを進化させ、常時点灯でもこれまでと同じ1日(18時間)持つバッテリーを実現したという。

チタン、セラミックだけではない「重要な新素材」

2019年モデルのApple Watchには、以前採用されていた特別モデルの素材であるセラミックの白いモデルが復活した。アップルによると、セラミック以外に満足いく強度の「真っ白」な時計が作れなかったという。

さらに、腕時計では人気のある素材であるチタンケースのApple Watchも追加された。ナチュラルブラシとスペースブラックの2色だが、チタンの質感を楽しむには、色がついていないヘアライン加工モデルのほうが楽しめるのではないだろうか。
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加えて、昨年からアップルが採用を進めている100%リサイクルアルミニウムの素材は、今年Apple Watchにも採用された。アップル製品の中では比較的小さな製品ではあるが、新しい資源を使わずにこれまでと同じ質感の製品を実現した点は、評価すべきポイントと言える。

Apple Watchには発売当初から心拍センサーが備わっており、エクササイズや日々の活動の消費カロリー計測に役立てられてきた。そして2018年からは心電図を記録するアプリ(ECGアプリ)が用意され、手軽に心臓の状態を計測することができるようになった。

これに先立ち、アメリカでは「Apple Heart Study」を実施し、Apple Watchを通じた不整脈の検出を大学との共同研究で実施してきた。そして今回新たに、聴覚、女性の健康、心臓と活動の3つの新しい領域の研究を、アメリカで行うことが発表された。

2018年モデルのApple Watch Series 4以降、世界中で販売される製品に、ハードウェアとしての心電図機能は備わっている。医療機器として承認を受ける必要があるため、当初はアメリカでECGアプリが利用できるようになり、この1年で英国・ドイツ・フランスをはじめとする欧州諸国や東欧の国々、香港やシンガポールなどでもECGアプリが利用可能となった。

同様に、もともと備わっている心拍計を使って、イレギュラーなリズムを検出して通知する機能も、ECGアプリ利用可能国でのみ有効となる。特にこの機能は心筋梗塞などの早期発見に役立つとされている。しかし日本では、ECGと不整脈検出機能が使える状況にない。
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緊急電話機能で救われた命があったことを、Appleは冒頭のビデオで強調したが、海外から渡航してきた場合、日本では時計単体での緊急連絡機能が利用できない(筆者撮影)
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「命を救う機能」が省かれた理由

そして2019年に発表されたもう1つの機能もまた、命を救う機能だが、日本では除外されてしまった。その機能は、国際緊急通話(International Emergency Calling)だ。

もともと、Apple Watchには、サイドボタンを長押しすることですぐに緊急であることを連絡できる機能があり、昨年からは、転倒と思われる強い衝撃を検出し、1分間Apple Watchの画面に応答しなかった場合、自動的に緊急連絡を行う転倒検出機能を搭載した。
今回発表された国際緊急通話機能は、iPhoneが手元になく、Apple Watchのセルラーモデルのみを装着している場合でも、単体で緊急通話ができる仕組みだ。Apple Watchは国際ローミングに対応していないが、緊急通話だけは対応できるようにしようというアイデアだ。

日本ではローミングしていないデバイスが回線ネットワークを通じて発信できないという理由から、海外から渡航してきた人のセルラー版Apple Watch単体で、日本での緊急通話発信を行うことがかなわないのだ。

命に関わる機器を適切に管理することは重要であり、認証の手続きは行われるべきだ。また通信についても、効率的な運用を行ううえでの管理は必要なことといえる。しかし、結果として、新しいアイデアや効果的な技術への対応がすでに大きく遅れてしまっている現状があり、この点は改善が必要となっているのではないだろうか。
当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です

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