2022.04.02

featuring 太田裕康

こだわりロイヤル オークとGMTマスターと

お洒落な男性なら誰もが素敵な時計を持っているものです。そこでこだわり男子に、こっそり愛用時計にまつわるエピソードをインタビュー。実に興味深いエピソードがアレコレと飛び出します。

CREDIT :

写真/小澤達也(Studio Mug) 文/T.Kawata 構成/長谷川 剛(TRS)

洒落者が選ぶオーデマ ピゲは薄さがカギ

ユナイテッドアローズにおける最高峰のメンズ・クロージングコレクションとして誕生したザ ソブリンハウス。そのブランドディレクターとして活躍中の太田裕康さんは、非常に多趣味で知られる方です。

実は収集癖があるそうで、十数本もの時計を所有するとのこと。今回は、コレクションの中でも特に出番の多い3本を拝見しました。

クオーツだからこその強みを装いに活かす

最初に登場したのがオーデマ ピゲのロイヤル オーク。といっても、こちらはプロゴルファー、ニック・ファルドの全米・全英での優勝を記念した特別なチャンピオンシップ限定モデルです。

かねてより、太田さんはクオーツのロイヤル オークを探していたそうで、知人の紹介で7年ほど前にこちらのヴィンテージを購入されました。
▲ ブレスレットはタンタルとステンレスのコンビで、前者は防さび性が高く、肌荒れしにくいなどの特徴があります。クオーツゆえ、「ゼンマイを巻く必要がないのが思いのほか楽」と太田さん。
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▲ 全体をブルートーンでまとめたスタイリング。スーツはウールリネン素材でリネンの艶感、ほどよく浅めのブルーの色調、ジャケットとシャツに馴染むマットなネクタイの質感など、ディテールにも注目です。そんな装いにでしゃばらないロイヤル オークが好相性なのです。スーツ16万5000円、シャツ3万3000円/以上ソブリン、ネクタイ2万4200円/アルクーリ、シューズ23万7600円/ジョンロブ、チーフ6600円/フラテッリ ルイージ(すべてユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)
「実はクオーツなんですよ。自分のお客様が、ゴールドのオーデマ ピゲをお使いになっていらして、お聞きしたら、それがクオーツでした。以来、気になっていて。すごく薄くて、ドレスシャツのカフスを邪魔しなくて、非常に使いやすいんです。

スーツはもちろん、カットソーとウールパンツ、スリッポンといった大人のカジュアルスタイルにも合わせています。もともと、私はイエローゴールドやピンクゴールドの時計は身に付けません。まず、洋服に目を向けてもらえる、控えめなシルバー系の色味が好みなんです」
▲ 裏面にはチャンピオンシップの刻印がある。
太田さんのロイヤル オークに目を留めたお客様や取引先の方から、質問されることも少なくありません。現在、ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店には、ショップインショップとしてヴィンテージウォッチのコーナーがあることから、「そちらをご紹介して5、6個は販売しましたよ」と、周囲にも魅力が伝わっています。
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これまた男子の憧れ、GMTマスターが登場

つづいて登場したのが、ロレックス GMTマスターです。

「1970年のレファレンス1675で、ベゼルがいい具合に日焼けしていますでしょ? 味もあって好きな時計です。スーツにもジャケットにも合わせますが、今回、持参した時計の中では、一番カジュアル度が高い。春夏だったら、ウールよりもコットンスーツに合わせたい。ほかにデニムやスリッポン、ハイゲージのニットポロなんかとも好相性です」
▲ 太田さんは、この時計をお付き合いの深いお客様の後輩から譲り受けました。入手以前に、日本ロレックスで文字盤が交換されたらしく、文字盤に傷はなく、針の蓄光も健在です。
そんな太田さんに、このロレックスにまつわる思い出をお聞きしたところ、逸話がありました。それはナポリでの出来事。

「ハイゲージの黒いニット、トロピカルウールのパンツ、スリッポンに合わせていたら、ホテルでその姿を見かけたご高齢のマダムから『あなた、カッコいいわね~』と褒められたんですよ。でも、そのあと、周囲から『狙われるから(時計を)すぐに外しなさい!』とも言われました(笑)」
▲ カジュアル度が高い時計ということで、太田さんにお手本となる時計を軸としたカジュアルコーディネイトを選んでもらいました。ニットはジョン スメドレー、パンツはデ ペトリロが、それぞれザ ソブリンハウスのために制作したものです。また、コートはシーラップによるソブリンの別注品です。コート8万8000円/シーラップ フォー ユナイテッドアローズ、ニット4万4000円、パンツ3万5200円/ともにソブリン(以上ユナイテッドアローズ 六本木店)
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永遠不滅のドレスウォッチの頂点も所有

最後に太田さんが取り出したのは、パテック フィリップのカラトラバ。そうです、誰もが憧れるドレスウォッチの頂点です。こちらは7、8年ほど前に、知人から譲り受けたもので、1960年代後半から1970年頃のモデルと推定されています。
▲ 詳しい方に聞いたところ、名品とされるムーブメントが搭載されていることが判明。太田さんは入手してすぐに、ベルトをオリジナルと同様の光沢のあるクロコダイルのベルトに交換しています。バックルの素材は、ケースと揃え、ホワイトゴールドです。
「以前から、どうしてもカラトラバが欲しくて、愛車を売ってでも……、と考えていたところ、知人のお父様が30~40年くらい前に購入なさったものを譲ってもらえる機会がありました。

上品なニットとウールパンツなどに合わせることもありますが、ケースの素材がホワイトゴールドなので、フォーマルシーンでの着用が一番多いですね」

「時計はファッションの一部」が太田さんの信条

さらにうかがうと、ほかにもジャガー ルクルト、タイメックス、スウォッチ、アップルウォッチ、ハミルトン、ロンジンなど、太田さんのコレクションはバラエティ豊か。

ただし「その時の装いにフィットして、邪魔をしないデザインがチョイスの基本です。ジャストナウなデザインのものは、あまり買いませんね」とポリシーには揺らぎなし。
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ご自身を時計マニアではないと言い切る太田さんにとって、時計は着こなしに寄り添うアクセサリーとの考えが強いようです。

そんな時計への思いもあって、ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店の中にあるヴィンテージウォッチのコーナーは、心情にしっくりとくる場所のひとつ。取り扱うのは、いかにもマニア好みの王道のモデルではなく、ピアジェなどデザイン性が魅力のブランドのもの。ネオヴィンテージをキーワードに、ユナイテッドアローズの洋服に合うものばかりがセレクトされています。

「正直に言うと、時計専門店で買うのが苦手なんです。六本木ヒルズ店のコーナーは、マニアが集う専門店と違って、女性でも時計を選びに行ける雰囲気になっています。私もよく足を運ぶし、品揃えの相談にも乗っているんです。やはりショッピングは楽しいものでなくてはいけません」と太田さん。

昨今、時計を選ぶ際、専門的な視点や、投資価値が先行しがちになっています。太田さんのように洒落者の感性を大切にし、ファッションの一部として時計を楽しむ心を忘れずにいたいものです。

● 太田裕康 (ソブリン ブランドディレクター)

1969年、東京に生まれ、神奈川県で育つ。高校を卒業後、ファッション専門学校であるエスモード ジャポンに進学。学生時代からユナイテッドアローズでアルバイトをはじめ、95年に入社。ザ ソブリンハウスには立ち上げ当初からスタッフとしてかかわる。現在は買い付けや企画など多方面で活躍。


■ お問い合わせ
ユナイテッドアローズ 六本木店 03-5772-5501

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