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2018.10.01

いま、酔狂を極めた美食イベント「DINING OUT」が支持される理由

食を通じて地域に残された美しい自然や文化、地産物を再編集し、新たな価値としてその土地の魅力を味わう野外レストランイベント「DINING OUT(ダイニング アウト)」。9月8日に鳥取県八頭町で行われた「DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS」をリポートする。

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文/森本 泉(LEON.JP)

例えばあなたが彼女を食事に誘うとする。その日は特別な記念日で何かスペシャルなサプライズを用意したいと思う。そんな時、あなたなら、彼女をどんな店に連れて行くだろうか?

バブルの頃、「ちょっとラーメン食べに行こうか」と彼女を誘ってそのまま飛行機で札幌に連れて行く……みたいな与太話を聞いたものだが、ここではないどこか、それもできるだけ日常と離れた場所へ誘うというのは、いつの時代にもとても魅力的なおもてなしであるには違いない。

「日本のどこかで数日だけオープンするプレミアムなレストラン」を標榜する、「DINING OUT(ダイニング アウト)」の発想も、本質的にはこれに近いのではなかろうか。もちろん、こちらのサプライズは、比較するのも憚られるほど、洗練され凝りに凝っているのだけれど。

中世貴族の宴席のような特別に計画された贅沢

「DINING OUT」で食事をするのは既存の店ではなく、基本、大自然の中だ。風光明媚な観光地であったり、歴史的な名所旧跡であったり。本来、食事をするスペースではない場所が、その日のためだけにレストランになる。しかも、シェフは毎回、日本を代表する、まさにトップクラスからの人選。そのシェフが当日のためだけに100人ものチームを編成し、長い時には半年もかけて食材と場所をリサーチし、特別なメニューを考える。

なんという贅沢。中世貴族の宴席のような、そんな非現実的な催しがすでに10回以上も続いているのだから驚く。しかも1回の参加費用がひとり15万~20万円にもなるというのに、そのチケットは、毎回、すぐにソールドアウトになってしまうというのだ。
すでに伝説とも化しつつある「DINING OUT」。その第14回目が、9月8日(土)、9日(日)に、鳥取県八頭(やず)町で開催された。幸運にも参加の機会を得た「DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS」の様子をここにご紹介したい。

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今回は鳥取出身、ミラノで活躍する徳吉洋二シェフが凱旋

日本の原風景を感じながらいただく注目シェフのイタリアン

今回の開催地、八頭町は鳥取県の中東部、鳥取砂丘コナン空港からクルマで40分ほどの緑の豊かな山あいの町だ。どこからでも天の川が見られると言われるほど空気が澄み、日本の原風景のような田園地帯が広がるこの町には、今も数多くの古い寺院や古墳が残っている。地元には、いわゆる因幡の白兎とは異なる「白兎伝説」が伝わっており、この地が霊的にも特別な地だったことが伺える。

注目の料理人はイタリアンの徳吉洋二さん。彼は今回の舞台となった鳥取の出身で、現在はミラノで自らの名を冠したレストラン「Ristorante TOKUYOSHI」を切り盛りしている。この店、オープンから10カ月でミシュラン一つ星を獲得という、今、最も注目されているシェフのひとりだ。
徳吉洋二シェフ。昨年開催された北海道ニセコでのDINING OUTでも料理を振る舞い、今回が2度目の登場となる。
徳吉さんが目指す料理は「クチーナ・イタリアーナ・コンタミナータ」(混成されたイタリア料理)と呼ばれるもので、地域の食文化や伝統までを踏まえたうえで、さまざまな混成のアイデアが試みられるのが特徴だ。土地の伝統料理を調べ、生産者の声に耳を傾け、自身の足で現地の情報を仕入れて料理と対峙する。その手法は今回も十二分に活用されたようで、彼は3カ月前から鳥取を訪れ、地元を精力的に歩き回ったという。

この日の特別なディナーに与えられたテーマは「Energy Flow-古からの記憶を辿る-」。八頭という土地に古来より漂う“生命力”や“自然の神秘”を食を通じて感じてもらうことを目指したそうだ。
食事の会場となったのは一面の田んぼを抜けた山の中腹にある古刹、清徳寺の境内。後醍醐天皇のお手植えとされる大銀杏など巨木が多く残る静かな寺だ。おそらく普段は、夜になればまったく人気のいない寺に、この日は数十名のスタッフが集まり厨房を設営。その奥には40名分の特別シートが用意された。客はそれぞれに最終の行き先も知らぬまま、空港やホテルから用意されたレクサスに乗り込み、この会場へとやってくる。
巨木と寺庭の草木に囲まれた会場は、晴れていれば満天の星が望めただろうが、当日はあいにくの雨。急遽設営されたテントの下での食事となったけれど、スタッフの完璧な段取りと接客サービスのおかげで、約3時間にわたるフルコースの間、雨を意識させられることは一度もなかった。

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ひと皿ひと皿に驚かされる渾身のイタリアーナ・コンタミナータ

それぞれに工夫が凝らされた繊細で美しい料理に舌鼓

さて。待ちに待った料理だが、それはそれは素晴らしいものだった。アミューズからデザートまで計13皿。料理にはそれぞれペアリングが用意され、数種のワインから日本酒、ビール、日本茶まで、すべてをいただくとかなりの量になるのだが、酒好きにはこの上ない幸せな時間となった。

最初に出てきたのはアミューズの「鳥取ハタハタのスナック」。トーストしたパンの上に油で揚げたトロハタハタと薬味が載っている。ハタハタといえば、秋田を連想するけれど、実は、鳥取こそ漁獲量第1位なのだ。そしてこの時期のハタハタは産卵期を迎えて脂が乗って最も美味しいという。これは最初から期待が高まるというものだ。
その後も意表を突いたピザ風の前菜から、地元で水揚げされたアコウ、地元農園の野菜サラダ、そして牛肉の炙り、チーズ、リゾット、鹿や鮎などなど、すべて地元にこだわった料理が次々と運ばれてくる。あるものは素材の魅力をそのまま生かし、あるものは魔法のように繊細な調理が施され、いずれも美しいひと皿となって目の前に供される。
ひと品ずつは写真を見ていただきたいが、徳吉さんの料理は、それぞれがビジュアル、味わい、食感の緩急に富み、決して食べる者を飽きさせない。まさに食のエンタテインメントで、我々を驚かせ、笑顔にしようという彼の強い愛を感じずにはいられない。

「DINING OUT」は地域再生のための特別な起爆剤

この「DINING OUT」、客にとっては究極の食の喜びであり驚きであるのだけれど、一方で開催される地方にとっては地域再生のための大切な試みのひとつでもある。いま、東京2020を前に、国や自治体は海外からの訪問客に対して地域の魅力をアピールすることに躍起になっている。

しかし、実のところ、多くの地方都市にとっては外国人観光客よりも、まずは日本人観光客誘致が先決なのだ。日本人観光客が継続的に訪れなければ、地域は活性化しない。そして「DINING OUT」はそのための特別な起爆剤としても注目されている。
左がホスト役のアレックス・カーさん。右は今回のサービス統括を務めたレストランプロデューサーの大橋直誉さん。

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関わったすべての人がプライドをもてるイベントに

今回のホスト役、アレックス・カーさんは長年、東洋文化を研究してきた人で、日本の昔の美しさが残る景観を観光に役立てるためのプロデュースもおこなっている。その著書『美しき日本の残像』では失われゆく日本の美しさを嘆いたアレックスさんだが、そこで彼が問題にしていたのは、誰の意思も何の計画性もないまま、みすぼらしく定型化していく日本の町並みや地方の姿だった。

本の出版から25年を経ているけれど、事態は好転したのだろうか。残念ながら、今も多くの自治体が地域再生を掲げながらB級グルメやご当地キャラクターなど、横並びで将来性もセンスも感じられない企画に予算を投じている。

B級ではなくすべてをA級に設えることに意味がある

そんななか、大衆受けを狙わずあくまで本物を提供することにこだわってきた「DINING OUT」は明らかに異彩を放っている。地道に日本の素晴らしさを発掘し、B級ではなくA級を、まがいものでなく本物を求めて、高いクオリティと洗練されたスタイルでこれを後世に残していこうとする「DINING OUT」の試みに、アレックスさんが期待を寄せるのも当然だろう。

彼によれば「DINING OUT」の役割は、「地方にプライドを植えつけること」だと言う。そしていま、まさに「DINING OUT」は関わったすべての人々がプライドをもてるイベントとなっている。主催者にとっても、客にとっても、協賛する地方にとっても、皆がその価値を感じあえるwinwinのイベント。だからこそ続けられるし、続ける価値がある。
催しの最後に揃って客に挨拶するスタッフ。八頭町や周辺の地域から約100名が集まった。しかし急ごしらえとは思えない抜群のチームワークでイベントを盛り上げた。
今回は、訪れた人すべてが「鳥取ってすごい!」とその地域の潜在能力の高さに驚いたことだろう。その素晴らしさを知った人々がまた伝え手となって、地域の魅力を発信していく。その連鎖が新たな事業や来訪者の増加に繋がることで、地域は徐々に活性化されていく。継続は力なり。最近は似たようなイベントも増えてきたけれど、本家として、ますます多くの人々に喜びと驚きを広く与えていってほしいと思う。

「DINING OUT」に協賛を続けるLEXUSに試乗!

「DINING OUT」のクリエイティブなチャレンジに共感し、LEXUSは第2回以降ずっとサポートを続けている。ホテルや空港からの客の移動手段として、毎回、東京からわざわざ多くのクルマを持ち込んでいるという熱の入れようだ。いまや自動車会社もメルセデスやBMW、アウディなど海外のプレミアムブランドは、どこも文化的な活動に力を入れている。LEXUSも富裕層の方々と価値観を共有する機会を得るという意味で、この協賛には意味があると考えるようだ。
当日はLEXUS LC500hを運転する機会を得た。昨年販売が開始されたLCは、LEXUS初のFセグメントのクーペモデルであり、革新的なデザインが話題となった。スーパーなクルマではあるのだけれど、普通に乗って取り回しもよく、実に快適なドライブを楽しむことができた。価格は1352万2000円~。

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