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2017.08.07

日帰りドライブで、真夏の涼を求めて"地下探窟"へ行ってきた

真夏でも平均気温3℃に8℃! 涼しい、というか「さむ~い」鳴沢氷穴、大谷資料館へいざ!

CREDIT :

文/川田 剛史 撮影(鳴沢氷穴)/田中 勉

暑い夏を涼しく過ごせるプールや屋内でのデートも一巡しちゃった。そんなあなたにひとたび足を踏み入れるだけで、驚くほど涼しいユニークな2つのスポットをご紹介します。しかも、ともに歴史的・学術的な価値があって、あなたの博識ぶりを披露するにはうってつけの場所。では、あのコに涼しいどころか寒~いと言わせる名所へとご案内~!

◆ 鳴沢氷穴/山梨 

探検家気分を味わえる富士山エリアの名所

氷の壁
まずご紹介するのは青木ヶ原樹海の東の入口に位置する「鳴沢氷穴」です。こちらは竪穴型の洞窟で、地質学上の価値が高く天然記念物に指定されています。864年、富士山の側火山長尾山の噴火の際、古い寄生火山の間を灼熱に焼けた溶岩流(青木ヶ原丸尾)が流れ下ってできたのが、この二つのトンネル式になった洞窟です。

最初に入洞料金を払い、入り口で施設内と安全面などのレクチャーを受けたら次にヘルメット(貸出無料)を装着! いっぱしの探検家気分で、氷穴の入り口へと向かいます。今回はベテランネイチャーガイドの小野 巌さんにご案内いただきました。
氷穴入り口
地上から地下へ降りる階段の途中に突然涼しい空気が体を包み、気分はいやがうえにも盛り上がります。
エントランス
円形状になっているエントランス部分。壁に沿ってぐるりと回り、徐々に降りていきます。
氷穴内
氷穴内の温度は通常0~3℃くらい(平均温度は3℃)。入ってすぐなのに、たちまち体は冷えてきます。氷穴内はgの字のようなルートになっていて総延長153m。一方通行&途中追い越し禁止ですのでご注意を。
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彼女の頭上にも気を配ってあげるべし

最初の難関が(高さ91cm)、溶岩トンネルのなかでも一番通路が狭い部分です。ここで小野さんに教わった小ネタをひとつ。本来、光のない氷穴内部に植物は生えないのですが、照明の設置された場所の周りだけは苔が生えているのです。ぜひチェックを。
氷穴 最深部
部分的に身体をかがめたり、しゃがんだままのカニ歩きなど、悪戦苦闘の末、最後の階段を下りてようやく地上から21m下に位置する最深部に到着。さあ、ここから氷が拝めますよ。
地獄穴
最深部にあるのが「地獄穴」。人の立っているところよりもさらに深い竪穴が続いています。嘘か真か、伝説では江の島の洞穴まで続いているとか。科学万能の現代においても、いまだ穴の奥がどうなっているかは解明されていません。
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氷の壁
「地獄穴」の先に今度は「氷の壁」が現われました。とても真夏と思えない空間です。氷の壁は冷蔵庫のなかった時代の氷の貯蔵法を再現したものです。江戸時代にはここから江戸のお殿様に天然氷が献上されていました。
氷柱
氷の池
「氷の壁」を抜けると次に見られるのがファンタジックな「氷柱」。天井から滴り落ちた水滴が凍って筍のようになった自然の芸術です。天然の氷は冬期にでき、初秋くらいまで見られます。また、氷柱見物をしている足下は「氷の池」という約3mの厚みのある天然の氷。こちらもお見逃しなく。(気候、洞内の温度などにより、一年中氷があるわけではありません)
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ハイライトである「氷柱」ゾーンを越えたらあとは地上に向けて急な階段を上ります。氷穴内の見学は一周約15分(混雑時は30~40分程度になる場合もあります)。エントランスに戻り、外界が見えてきても、まだまだ涼感が続いているのは氷穴ならではの魅力。

鳴沢氷穴内部の寒さの理由は?

さて、一通り見物を終えたところで、「鳴沢氷穴」の基礎知識をQ&A形式でお教えしましょう。

Q.どのように氷穴が出来たのでしょう?
A. かつて富士火山の各所から流れ出た溶岩にはガスが含まれていました。その外部(表面と底面)が先に冷えて固まり、中に熱く柔らかい溶岩が閉じ込められました。その後、中のガスや熱い溶岩が外に吹き出て、あとに残った空間が氷穴をはじめとする富士山麓一帯にある洞穴です。

Q.どうして中が寒いのでしょうか?
A.青木ヶ原樹海のどこかに氷穴につながる狭い隙間があると考えられています。そして、その隙間の先に広い地下空間もあるはずです。狭い隙間に流れ込んで温まった空気は中で急に広い空間に出たときに膨張。膨張すると、空気の温度が下がります。また、地表の雨が地下に滲み込んで、氷穴内の上の壁が冷えます。これが氷穴内の温度が低い理由です。※諸説あります

涼の楽しさだけでなく、富士山麓一帯のことを知るために鳴沢氷穴とお隣にある富岳風穴ではネイチャーガイド(有料、完全予約制)をお願いすることができます。「デートはふたりっきりが楽しいに決まってるでしょ」なんて思っていたら大間違い。小野 巌さんをはじめ、優秀な専門家の解説は、あとあとまでふたりの楽しい会話のネタになりそうなお話が満載ですから。

今回お世話になったのはこの方

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◆ 小野 巌さん 日本自然保護協会 自然観察指導員

昭和一桁生まれのネイチャーガイド。お話し好きとあって、ジョークを交えながらの解説は聞く者を引き込みます。年間約200日、ガイドをこなす大ベテランです。

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ここで小野さんに教わった豆知識の一部をご紹介

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「富士山エリアにはあらゆる動物がいるのに、猿だけがいません。その理由は川がないから。猿は川遊びができない場所は好まないのです」

「溶岩は磁鉄鉱なので、この周辺の石(元は溶岩)は磁石にくっつきますよ(と小野さんは手元の磁石で実演してくれました)」

「青木ヶ原樹海の中は方位磁針が狂って使えなくなるっていうでしょ。あれは間違いです。地上から1.5mも持ち上げれば普通に使えますのでご安心を」

「富士山の正面をどことするかは諸説ありますが、定説は忍野八海からの眺めです。これが左右の傾斜のバランスが一番よいのです」

「樹海の名の由来は地面の高さに関係なく樹木の先端が同じ高さが海面のように揃っている点。高度1万2000mを流れるジェット気流が地上近くにも影響していて一定の高さになると、樹木はそれ以上伸びません。さらに木の先端がすべて東方向に曲がっているのも気流の影響です」

※各ネタは諸説あります

ただ涼しいだけでなく、洞窟探検や意外と知らなかった富士山にまつわるアカデミックな知識まで得られる点は大きな魅力といえそうです。
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◆ 鳴沢氷穴

住所/山梨県南都留郡鳴沢村8533
お問い合わせ/☎0555-85-2301
URL/www.mtfuji-cave.com

●料金/大人350円
※営業時間と営業日は時期により異なるため、ホームページで要確認。営業時間は天候・洞内状況により変更になる場合あり。ネイチャーガイドツアーは詳細、料金をホームページで確認の上、電話(☎0555-85-3089)で予約してください

◆ 大谷資料館/栃木 

映画のロケにも使われる非日常空間

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次に足を運びたいのが栃木県の「大谷資料館」。この資料館は1919年から 1986年までの約70年をかけて、大谷石を掘り出していた地下採掘場跡を公開している施設です。1979年に一般に公開され、1980年の「とちの葉国体」の時には、現在の天皇陛下と皇后陛下も行啓されたという名所。
大谷資料館内観
巨大な地下空間は深さが約30mあり、広さは野球場が一つ入る2万平方メートルというから驚かされます。坑内の年間平均気温は8℃前後。もちろん上着の準備をお忘れなく。
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大谷資料館内観
入場後、階段を下りていくと、ひんやりとした内部は整然としていて非常に神秘的な雰囲気を漂わせています。壁には手で石を彫っていた時代のツルハシの跡などが残されていて、歴史のロマンもたっぷり。
大谷資料館内観
この寒さの理由が気になりますよね。ということで、大谷資料館の鈴木洋夫 館長に館内温度の理由をうかがってみました。

「元々、石の中の温度が低いためだと思います。おそらく3~4°くらいでしょう。外気温により地下の温度も上下しますが、真冬に外気温がマイナスになっても地下はマイナスにはなりません。宇都宮は、真冬の昼間の気温が5~10℃位にまで上がるためだと思います。また、真夏に外が30℃を超えても地下は、12~13℃までしか上がりません。残暑が厳しく9月過ぎまで暑かった時に1度だけ15℃になったことがありました。普段は10月末から乾燥してきますが、その時ばかりは11月末まで地下坑内が濡れていました」
大谷資料館内観昔の写真
大谷資料館内観昔の写真
上の2枚は手彫りで石を掘り出していた時代のもの。150kgもある石を人が背負い運搬していました。
現在、資料館はコンサートや美術展、演劇場、 地下の教会として、また写真や映画のスタジオとしても利用されています。このことからもデートにもうってつけの非日常的な空間であるとお分かりいただけるでしょう。大谷資料館のホームページには「撮影実績」として、撮影の行われた映画やテレビ、PVなどがリストアップされています。事前にこれらをチェックしてから足を運ぶのも楽しいのでは?

◆ 大谷資料館

住所/栃木県宇都宮市大谷町909
営業時間/4月~11月9:00~17:00(最終入館16:30まで)、12月~3月9:30~16:30 (最終入館16:00まで)
定休日/無休(4月~11月)、火曜(12月~3月)※火曜が祭日の場合、翌日休館、12月26日~1月1日 ※臨時休館の場合あり
お問い合わせ/☎028-652-1232
URL/oya909.co.jp

●料金/大人800円

まだまだ続く夏の熱さを忘れさせるうえ、現実離れした気分まで味わえるふたつの施設、いかがでしたか? 都会的なデートもいいけれど、涼とロマンの両取りできるこんな場所なら、きっとふたりの忘れられない思い出になるはずですよ。

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