2017.07.21
知りたい! 最新ホテルの評判とこれからオープンする注目のホテル
ホテル業界の専門誌『月刊ホテル旅館』編集長の金澤達也さんと、LEON界隈随一のホテル好きライター大石智子に、この1年に開業した話題のホテルや、今後オープンが予定されている注目のホテルについて語ってもらいました。
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文/小槌 裕子

“ホテルは大人の遊び場”と称してさまざまな使い方を提唱してきたLEONとしても、ホテルが増えることは大歓迎。そこで業界の専門誌である『月刊ホテル旅館』編集長の金澤達也さんと、LEON界隈随一のホテル好きライター大石智子に、この1年に開業した話題のホテルや、今後オープンが予定されている注目のホテルについて語ってもらいました。
さまざまな工夫で素晴らしい世界観を演出する星のや東京
金澤 やはり、星のや東京のインパクトは大きかったですね。都心のビルに日本の旅館をどう表現するかという、誰もしたことのない試みを形にしたわけですから。玄関で靴を脱ぐというのは、いかにも旅館っぽいですが、都心のビルでは窓を開けても美しい景色が楽しめるわけではないですし。かなり難しい挑戦だったと思います。

金澤 デメリットをメリットに変える工夫が随所に施されていますね。頭上高くに空が望める露天風呂とかも。
大石 あれは星のや軽井沢の温泉と似ていますが、都心のほうがしっくりくる感じがしましたね。

大石 私はここのシーツが好きなんです。5つ星ホテルのシーツはイタリアのフレッテ社のものが最高級のお決まりみたいなところがあって、でもここのシーツは国産オリジナル。それもフレッテ社の場合400番手が多いんですが、星のやは500番手とさらに高い。つまりそれだけ緻密で滑らかなんです。あのしなやかな気持ちよさはクセになりますね(笑)。
都会の絶景を実現したふたつの都市型ラグジュアリーホテル
金澤 どちらも高層階からの眺望が大きな売りになっていますね。既存のホテルももちろん窓は大きいけれど、全面ガラス張りのようなホテルはあまりないので、そこは都心の景色を楽しむという意味でも差別化のポイントになるでしょう。

金澤 それが、わざわざ都心のホテルに泊まる醍醐味ですね。
大石 なんか宙に浮いてるような感じなんです。すごい浮遊感(笑)。恋人とふたりで何もせずにくつろぐのに最高なんじゃないかと思います。

大石 あの赤プリ跡地っていうのも、大人のオトコ心をくすぐりますよね(笑)。ところでコンラッド大阪はどうですか?
大石 それはいいですね。私の周りでも評判いいです。

客室はすべて33階以上で、眺望の素晴らしさは絶品です。しかもどの部屋も50平米以上あって、それで4万円台からという値付けは、コンラッドというラグジュアリーブランドでは非常にお値打ちだと思います。
歴史を取り入れたフォーシーズンズ京都とレジデンス型のアスコット丸の内

個人的にここで一番いいと思ったのは、庭に面して本格的な数奇屋造りの茶室がありまして。そこが夜だけ、日本酒とシャンパンの楽しめるバーになるんです。庭と池を眺めながら飲めるっていうのは贅沢だなと。

金澤 そうですね。最近の日本のホテルだと畳の和洋室を設けていますが、外資系だと畳敷きの部屋まではいかないですね。障子風とか和のテイストは取り入れてくるけど、やはりお客様も外国の方が多いということもあって、洋室の機能性を重視している気がします。
大石 なるほど。ところで、今年の3月にアスコット丸の内東京という、滞在型のホテルがオープンしましたけど、こちらはいかがですか?

大石 昨年、同じ丸の内にオークウッドプレミア東京も開業しましたけど、そういうレジデンス型のホテルはこれからも増えるんでしょうか?

長期滞在は外資の役員クラスとか、使う人は限られるかもしれないけれど、短期利用も可能ですからね。外国人観光客でも富裕層だと1週間から10日ぐらいの滞在が普通なので、家族で泊まったりするのには、むしろシティホテルより楽かもしれません。今後も増えていく可能性が高いんじゃないでしょうか。
ここ2~3年で全国に開業予定の注目のホテルとは

大石 それは楽しみですね。
金澤 しかもハイアットは2020年に金沢にも2つのホテルを建てる予定で、ひとつは銀座と同じセントリック。もうひとつはハイアットハウスと言って、これも日本初進出となりますが、中長期滞在型のホテルとなります。

金澤 そうなんです。他には都内だと2020年にマリオットが銀座と虎ノ門の2カ所にラグジュアリー・ライフスタイルホテルのエディションを開業すると発表がありました。これはライフスタイルホテルの元祖と呼ばれるMORGANS NEWYORK(モーガンズニューヨーク)をプロデュースしたイアン・シュレーガーと建築家の隈研吾がタッグを組むという点でも非常に注目です。

金澤 はい。ほかにもマリオットは今年の秋にデザイナーズホテルブランドのモクシー東京錦糸町とモクシー大阪本町も開業します。こちらは20~30代の若者に向けたデザインコンシャスなホテルになりそうです。
あとはアコーホテルズがプルマン東京田町という日本初進出のブランドホテルをオープンします。アコーは、近年、日本ではイビスというバジェットホテルを中心に展開していたのですが、今回のプルマンはアコーの中でもかなりラグジュアリーな位置づけなので楽しみですね。


金澤 さきほどの金沢もそうですが、ほかには奈良ですね。実は奈良は47都道府県で一番宿泊施設が少ない土地だったんです。観光に行くにしても、皆、泊まりは大阪か京都で。ホテルも奈良ホテル以外はホテル日航奈良とか数える程しかありませんでした。
それが、これもマリオットなんですけど、2020年に日本初進出となる最高級ホテルブランドのJWマリオットホテル奈良を開業することになったんです。また、明日香村に星野リゾートがホテルを建設するという話もあります。他にも奈良には今後面白いホテルが増えるんじゃないでしょうか。
大石 そうなんですね。それは楽しみです。今日はありがとうございました。

● 金澤 達也
「月刊ホテル旅館」編集長。1979年生まれ。2003年、立命館大学法学部卒。2004年、株式会社柴田書店入社。「taste magazine」編集部に配属。2005年、「月刊ホテル旅館」編集部に配属。2017年より編集長。
● 大石 智子
出版社勤務後フリーランス・ライターに。ホテル、飲食店、インタビュー取材を行う。「東京カレンダー」ではホテル連載を担当し、GQ Blogでは海外のホテルネタを更新中。最近のお気に入りのホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE」。