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2025.06.20

新コレクション誕生の「ししいわハウス軽井沢」に世界の富裕層が注目する理由5

夏目前! 日本を代表する避暑地、軽井沢へ多くの旅行客が訪れています。なかでも、世界の富裕層から注目されているリゾートがあると聞き、「ししいわハウス軽井沢」を訪れました。

BY :

文・編集/秋山 都(編集者・ライター)
CREDIT :

写真/小浜みゆ

今、求められているラグジュアリーとは何か

軽井沢といえば、日本に数ある避暑地のなかでも一際高級な印象があります。その避暑地としての歴史を紐解けば、1886年(明治19年)、カナダ生まれの宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーがこの地を訪れ、その清澄な自然と気候に感嘆し、自身の別荘を建てたことがきっかけだとか。以来、政財界の要人や文人たちが避暑用の別宅を構え、華やかな別荘文化が開花しているのはみなさまご存知の通り。上皇・上皇后陛下の「テニスコートの恋」が芽生えたのも、旧軽井沢にある「軽井沢会テニスコート」(会員制)でしたね。
ししいわハウス軽井沢
▲ 空中回廊がユニークなデザインアクセントにもなっている、坂茂さん設計による「ししいわハウス軽井沢」。
と、ラグジュアリーな雰囲気が漂う軽井沢で今、世界の富裕層から注目されているホテルがこちら「ししいわハウス軽井沢」。3つある宿泊棟をすべて合わせても30室ほどのブティック(小規模な)リゾートです。軽井沢には、日本のバブル期に一世を風靡した有名ホテルチェーンや、日本オリジナルの温泉リゾートなどもありますが、なぜ今ここに富裕層が集まるのか……注目してみると、新しい宿泊棟が出来ていたり、ウエルネスに力を入れていたりと、さらに進化していました。そこで今回は、その新しい魅力から、世界の富裕層が今求めているものは何か、紐解いていきたいと思います。
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◆ししいわハウス軽井沢(長野県・軽井沢)

まず簡単に振り返りますと、「ししいわハウス」は2018年に坂茂(ばん・しげる)さんが設計したパビリオン「SSH No.01」で開業しました。22年には同じく坂さんによる「SSH No.02」が完成し、その魅力については本連載でも一度ご紹介しています。そして、今回注目したいのは23年に完成した「SSH No.03」。
ししいわハウス軽井沢
▲ 焼杉の外壁がシックな存在感を放つ「SSH No.03」は西沢立衛さんによる設計。

【理由1】)細部まで貫かれる建築家の美意識

こちらはSANAA*¹の一員としても知られている西沢立衛(にしざわ・りゅうえ)氏が設計。坂さんと言い、西沢さんと言い、いずれもプリツカー賞*¹を受賞した当代髄一の建築家です。かつて安藤忠雄氏、隈研吾氏など有名建築家が手がけたホテルはいくつも例がありますが、建築家の世界観を細部に至るまで表現したリゾートはここが日本で初めてかと。

プリツカー賞やヴェネツィア・ビエンナーレなど、建築分野の国際的な賞・展覧会が注目され、建築家個人の知名度が世界的に高まっている現在、建築は単なる機能的空間をつくるのではなく、文化を体現するアートとしても注目されています。なかでも木・紙・土など自然素材を使いながら、過剰な装飾を避ける和の美をつくりあげる日本の建築家は世界的にも評価が高いことから、彼らの作品にステイしたいと思うのは自然な流れなのでしょう。なお、今後の「ししいわハウス」を手掛ける人として妹島和世さんや石上純也さん、またスタジオムンバイ*³なども決定しているというからすごい。
註1) 建築家。建築界の国際的なアワード。坂茂氏(1957-)は2014年に、西沢立衛氏(1966-)は2010年に受賞。
註2) サナア。妹島和世氏と西沢立衛氏による建築家ユニット。
註3)インド・ムンバイ近郊を拠点とする建築事務所で、ビジョイ・ジェイン(Bijoy Jain)氏が1995年に設立。
ししいわハウス軽井沢
▲ 2階建て10室の「SSH No.03」は縁側や回廊でつながり、昔の日本家屋を思わせるつくり。
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【理由2】あえて「できない」「やらない」という余白を残す

「SSH No.03」は、縁側や回廊、中庭によってつながる客室10室とヴィラ1棟からなる構成。西沢氏が自らデザインしたチェストやミニマルな家具が置かれた各部屋は大きな窓から陽光が降りそそぎ、周囲の森や中庭など自然との一体感が味わえる心地よい空間です。
ししいわハウス軽井沢
▲ 10棟の客室は、洋室や和室などひとつずつ趣が異なりますが、それぞれ岐阜県から取り寄せたという高級ヒノキがふんだんに使われています。
ここで注目したいのは、調度やサービスが過剰ではないという、一種のさりげなさ。たとえば、高級リゾートにありそうな大理石やゴールドの装飾はここにはないし、バトラー(執事)サービスもなし。客室に露天風呂がついているわけでもありません。インルームダイニングはなく、朝食は「SSH No.01」のレストランまで歩いていく(徒歩3分ですが)必要があります。ではここになにがあるか? と聞かれたら、それは静寂と自然との調和、そして余白。

オーナーであるフェイ・ホワン氏は、ニューヨークと香港でシティグループやリーマン・ブラザーズなど誰もが知る金融機関で要職を歴任した成功者です。その彼に「なぜこれほどミニマルな空間とサービスにしたのですか?」と尋ねたところ、「ちょっと不自由なくらいが創造的だし、ラグジュアリーでしょ」という示唆に富んだ答えが返ってきました。まさに、過ぎたるは及ばざるがごとし。このサービス過多になりがちな時代にあって、世界の富裕層も「足るを知る*⁴」喜びに気づいているのかもしれません。
註4) 「吾唯知足(われただ足ることを知る)」は中国の思想家、老子の言葉。
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【理由3】長野の旬を味わうローカル・ガストロノミー

“足るを知る”新しいラグジュアリーは、「ししいわハウス軽井沢」内のレストラン「SHOLA」でも大いに感じられました。富裕層向けだからと言って、わかりやすくフォワグラやキャビアなどの高級食材が使われているわけではありません。地方だからこそ経験できる味わいに目を向けるローカル・ガストロノミーは日本にも定着していますが、ここ「SHOLA」も同様。地元の食材生産者に寄り添い、一緒に持続可能なレストランの在り方を追求しています。
岡本将士シェフはTRUNK HOTEL/TRUNK HOUSE(東京)の料理長を務めた後、2022年に「ししいわハウス軽井沢」のエグゼクティブシェフに就任。飾らない料理を信条に、長野産の旬の恵をふんだんに使ったモダン・ジャパニーズ×フレンチは、まさにここでしか味わえないローカル・ガストロノミーとして高評価を得ています。
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【理由4】自然との調和を楽しむウェルネス

これまで「ししいわハウス軽井沢」のバスルームは各ゲストルーム内のお風呂のみでしたが、今回オープンした「SSH No.03」には「Bath House」がお目見え。45分単位で大きなヒノキ風呂を貸切利用でき、清々しい「香りと自然光の中で心身を解きほぐせるのは最高の贅沢! 伝統的な指圧やマッサージの施術を受けることもできます。
ししいわハウス軽井沢
▲ ヒノキの香り高い浴槽の貸し切り浴室「BATH HOUSE」。「SSH No.03」の各ゲストルームにもヒノキの浴槽が設えられている。
ここでも感じることができるのは、軽井沢という自然と共生を楽しむ姿勢。たとえばテクノジム社製のトレッドミルはありませんが、軽井沢の樹々が茂る緑道をいつもより少し歩幅広めに歩くのは最高に気持ちよいし、ジャクジーがなくても、陽光の差し込むヒノキ風呂で小鳥のさえずりを耳にしていると、思わずまどろむほどリラックスしてしまいます。何事もエクストリームではなく、ほどほどに……今は力の抜けたラグジュアリーを世界の富裕層たちも求めているのだと感じます。
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【理由5】オーダーメイドのアクティビティ

ここまで「ししいわハウス軽井沢」が世界の富裕層たちから注目されている理由を考察してきました。最後はアクティビティについて、です。軽井沢らしくテニスや乗馬などのアクティビティプログラムがさぞ豊富に用意されているだろうと思ったら……。
ししいわハウス軽井沢 
▲ まだ雪が残る初夏の浅間山をトレッキング。気持ちいい!
この日は浅間山へのトレッキングが準備されていました。小一時間ほど歩くと聞いていたので、気軽に体験してみたところ、意外にハード! 聞けば「ししいわハウス軽井沢」でのアクティビティは基本的にゲストのリクエストベースで組み立ててくれるのだそうです。スキーや登山、乗馬はもちろん、隠れた滝めぐりなど、軽井沢に通じたエキスパートが同道してくれるから、安全&安心。アクティビティまでゲストのニーズに応じる余白を残し、かつプライベートで楽しめるのも、やはり世界の富裕層から支持される秘密のひとつだと感じます。

クリエイターの美意識が感じられる空間、自然との共生、地に足のついたサステナブルな食事、そして過剰にならずに余白を残すサービスとホスピタリティ……「ししいわハウス軽井沢」には新時代のラグジュアリーが見事に体現されていました。
ししいわハウス

● ししいわハウス軽井沢

住所/長野県北佐久郡軽井沢町長倉2147-40
客室数/「SSH No. 01」11室、「SSH No. 02」… 12室、「SSH No. 03」 10室 + キャビンヴィラ1棟
料金/¥83,490~(税サ込み。1室1泊2名。)
予約・問い合わせ/reservation@shishiiwahouse.com
0267-31-6658
*JR「軽井沢」駅からタクシーで20分、しなの鉄道「中軽井沢」駅からタクシーで5分。パーキングあり。

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