2025.05.11
「実は生肉天国!ワルシャワの“タルタルステーキ”が自由すぎて面白い」ポーランドに行きたくなる20のメモ
前回からお伝えしている「ポーランドに行きたくなる20のメモ」の8つ目は、タルタルステーキについて。現地のレストランでは、ポーランド牛を使ったタルタルステーキが前菜の定番です。その美味しさの理由と、個性豊かなタルタルステーキを食べられる8軒のレストランをご紹介。
BY :
- 文/大石智子(ライター)

メモ8:実は生肉天国!ワルシャワの“タルタルステーキ”が自由すぎて面白い。生肉ウォッカも初体験!
・ タルタルステーキは自由演目!店ごとに個性がまったく異なる
・ 旬の食材が多用され、タルタルステーキが季節を表す
・ 生肉の相棒はポーランド産ウォッカ
・ 思いついたその日にさくっと気軽に食べられる
次項にて、その背景をお伝えしていきます。
豊かな牧草地で育つ肉牛を、欧州のシェフも賞賛
ポーランドの肉牛は小規模生産者が多く、店に届くまでの供給網がシンプル。ブッチャーが優秀で、シェフの好みに合った肉質を手頃に効率よく仕入れられるそうです。
「もともとポーランドは生乳の生産が盛んで、肉牛でもホルスタイン種が扱われています。そんななか、いま欧州で高い評価を得ているのは、ホルスタイン種と肉牛をかけ合わせた交雑種。味わい深い赤身をもち良質な脂肪分も蓄え、でも脂肪は多すぎない。なぜなら、牧草を食べて伸び伸びと育っているからです。ポーランドは大陸性気候で、雨が多く牧草地が豊か。そして重要なのは、夏の間に牧草を確保して、牛を屋内に入れる寒い冬の間も、刈りとった良質な牧草を食べさせていることです」
そんなポーランド牛はステーキも美味しいですが、正直、現地でより魅せられたのがタルタルステーキ。なぜかと言えば、これまでのどの国よりもタルタルが“自由”だったから。タルタルステーキというと、ケッパー、玉ねぎ、卵黄、マスタードといった王道の材料に基づくものが大多数。しかしポーランドでは、生肉をベースに各店が好きなものをのせ、肉のカットも様々。タルタルの幅広さで言えば世界随一かもしれません。
元々ポーランドは豚肉の消費量が牛肉より多いですが、外食産業でいえばタルタルステーキは主流な前菜。そこで、現地で食べ歩いた8軒を以下ご紹介します。ちなみにポーランドには予約困難店が少なく、大半が当日または前日予約で入りました。
◆ alewino
ワインが豊富なビストロのタルタルは、薬味の加減が絶妙

そんな店のタルタルステーキは、昨年秋の場合、西洋わさびとチャイブ、胡桃、きのこ、にんにくが最高の脇役集団。西洋わさびの清涼感とマヨネーズのコクが赤身肉に相性抜群です。挽肉くらいなめらかな肉に、胡桃の歯応えがよいアクセントとなっていました。素直に美味しい。そこにスペイン「エンビナーテ」のグルナッシュ主体のワインを飲めたのも好ポイント。

◆ butchery & wine
街随一のステーキハウスは生肉まで流石のクオリティ



◆ Koneser Grill
タルタルステーキに魚介を合わせていたステーキハウス



◆ U WIENIAWY
客席の隣で生肉が切られていくパフォーマンスに注目!

大人数で来る客も多く、10 人前のタルタルが隣で作られるなんて光景も珍しくありません。日によってはトランペットやバンドの生演奏も開催。生肉×生調理(ワゴンサービス)×生演奏が揃えば、躍動感はひとしおです。

◆ Le Braci
美味しくならないわけがないイタリアン仕立て



◆ elixir by Dom Wódki
タルタルステーキとウォッカの共演で「肉カクテル」が完成

皿上で自分が混ぜるスタイルも個性的で、最初にほぼ肉だけの味を試せたのはここだけ。肉だけでも素直に美味しい。そして混ぜ、ウォッカを飲むと、もはや口内調理で完成するウォッカベースの肉カクテル。ピアノの生演奏も行われ、ポーランド牛、ウォッカ、音楽を一度に楽しめるので、初ワルシャワなら満足度の高い店となりそうです。

◆ Rozbrat 20
1つ星レストランのアミューズまでタルタルステーキ



◆ Delicja Polska Restauracja
空間もタルタルもロマンティックな仕上がり


次回は、ワルシャワの意外なカクテルやミュージアムの見どころについて。
