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2021.07.20

■山田孝之(俳優)後編

山田孝之「常に明日死ぬかもしれないと思う。だから今、できることをやる」

挑戦し続ける「カッコいい大人」たちをクローズアップする今回の特集。話題の作品に俳優として出演するだけでなく、自ら映画監督やプロデューサー、ミュージシャンとしても活躍するなど、社会に新鮮な驚きを与えつつ、クリエイターとしての可能性を広げ続ける山田孝之さんが登場、その後編です。

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文/井上真規子 写真/椙本裕子

さまざまな困難や環境の変化が続く現代で、覚悟をもって社会と対峙している「カッコいい大人」たちをクローズアップしていく特集「大人の“カッコいい”を取り戻せ」。第3シリーズでは「挑戦し続ける大人はカッコいい」をテーマに、果敢に挑戦を続ける方々にお話を伺います。

前回は業界を変革する試みに賭ける山田さんの想いを聞きましたが、後編では映画『はるヲうるひと』での熱演など俳優としての山田さんの仕事への取り組み方などを伺いました。

ポジティブじゃないと死んじゃうんです(笑)

── これまでお話を伺ってきて、山田さんはやるべきことを躊躇なくやられてきたという印象です。なかなかできないことだと思います。

山田 僕がやっていることを“挑戦”というなら、なぜ皆が挑戦できないかっていうと、失敗が怖いからですよね。でも、失敗も成功もすべて他者からの評価でしかないし、自分の中では失敗ではなくて、経験や学びなんです。やらなかったら得られないものだから、やったほうがいいですよね。どれだけマイナスからのスタートでも、経験を積み重ねていけば確実に成功に近づいていくと思います。
── とてもポジティブですね。

山田 ポジティブじゃないと死んじゃうんです(笑)。進めなくなっちゃいます。皆、人からの評価でネガティブになって動けなくなったり、動いたけど後悔したりするじゃないですか。でも、動いたんだから後悔しても仕方がないですよね。それより、どう良くしていくかってことを考える方がいいなって思いますね。

── 『キコキカク』※で、山田さんは明日死ぬかもしれないって思いが常に頭にあると話されていました。

山田 明日死ぬかもと思うようになったのは、17歳の時に出演した『漂流教室』※というドラマがきかっけでした。先生役の窪塚洋介くんが、生徒たちに「今を生きろ」って言う場面があるんですけど、それを聞いた時から明日死ぬかもしれないって思うようになりました。

明日、クルマに轢かれるかもしれないし、餅を喉につまらすかもしれない。だからできること、気持ちがワクワクすることを迷わずやっていきたいと思ってます。
※『キコキカク』:水原希子が自ら企画・出演・監修を行い、ゲストと多種多様な企画をチャレンジしていく番組。Amazon Prime Videoで配信中。
※『漂流教室』:荒廃した未来世界にタイムトリップした高校教師と生徒が過酷な環境下で生き延びようとする様を描いた楳図かずお漫画原作のSFドラマ。
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得太の記憶をどんどん捏造し続けると、得太になれる

──  6月に公開された映画『はるヲうるひと』で、山田さんは自身が演じた得太のことを、ずっと孤独で可哀想人だと思っていたそうですね。

山田 この作品を受けたのは、(佐藤)二朗さんの監督作品ということと、脚本がめちゃくちゃ面白かったから。そしてもうひとつ、得太というキャラクターのことを真剣に考えた時に、彼は二朗さんが十数年前にシナリオで書いた瞬間にこの世に生まれて、二朗さんが舞台の初演で演じてから、ずっとほったらかしにされてきた孤独な人だと思ったんです。

精神的な話になるんですけど、僕は物体としてあるものがすべてだと思ってなくて、シナリオの中で生み出された得太もこの地球上のどの次元かわからないけど、存在していると思っているんです。だから得太がどこかでぷかぷかと、ほったらかしにされているのがかわいそうだったので、僕がオファーを受けて得太にぐっと歩み寄りたいと思いました。
『はるヲうるひと』:俳優の佐藤二朗が主宰する演劇ユニット「ちからわざ」が2009年に初演した舞台を、原作者の佐藤自ら脚本、監督を担当し映画化。売春宿が点在する島を舞台に、行き場のない思いを抱える男女の姿を描く。山田さんは店を仕切る凶暴な哲雄(佐藤)の弟、得太を演じた。
──  佐藤二朗さんのインタビューで、山田さんが撮影現場で一日中泣いていたと話していて、山田さんは相当身を削っているのではないかと心配になりました。

山田 最後に得太が感情を溢れさせて泣く場面があるのですが、それを撮影した日はずっとそういう状態でした。もう、めちゃくちゃ削ってますよ。だって自分にありもしない感情で、全力でその場面にもってくわけですから。

撮影期間は、映画の世界がメインになってくるし、ずっとそのことばかり考えているので精神が分裂してくるんです。というか、させるんですね。そうすると不安定になるのは当然で、でも不安定でいいんです。そこまでいかないと、見た人の気持ちをバコンっと揺さぶるものはできないですから。
©2020「はるヲうるひと」製作委員会/全国にて公開中
── 得太という役に没入するために、どうやって感情を作っていったのですか?

山田 台本に書かれていることが得太のすべてではないので、まずは自分の記憶を消して、それから得太として、彼とおかあちゃんとの記憶を自分でどんどん作っていくんです。それを撮影中ずっと続けるんですけど、泣いた日はもう一日中それをやり続けました。撮影の合間に、一瞬、山田孝之に戻ってインスタグラムとか見ても、得太の気持ちが深すぎて戻れないんです。

だからカットがかかって、スタッフとかが入ってきても、得太になり続けて「誰だこいつら、勝手に入ってきやがって、俺がこんな状態なのに無視してる。結局俺は一人なんだ」って、状況を全部使うんです。崩れてるカステラが机に置いてあったら、「おかあちゃんとこれ食べたな。おかあちゃん好きだったな」とか思う。そうやって得太の記憶をどんどん捏造し続けると、得太になれるんです。
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やりたいことが多すぎてキャパオーバーな状況です

── これからやりたいことがあれば、教えてください。

山田 やりたいことだらけですし、たくさん魅力的なお話を頂くんですけど、すでにキャパオーバーな状態なので、心を鬼にしてお断りしてます。というのも、30代に入っていろいろなプロジェクトに誘って頂いて、俳優以外のことをやり始めたんですけど、完全にキャパオーバーになったんです。そうなると結局人任せになって、皆に迷惑をかけてしまうじゃないですか。だから一歩手前で、ちゃんと数を絞っておかないとダメだなと気づいて。

とりあえず、他人の結婚式のビデオは断るっていうところから始めました。面識のない人のビデオコメントの依頼も受けてて、どうやって2分間、知らない人たちを笑わそうかと思ったら、内容を固めるのに時間がかかるんです。それが結構な負担になっていると思ったのでやめました。無駄な時間は削ろうと思って、30代になってからゲームアプリも消しましたね。最近は、息抜きでYoutubeを見たりするようにはなりましたけど。
──  Youtubeといえば、はじめしゃちょーさんの動画で、映画観の「間引き席」を広告枠として売るという試みをされていました。

山田 もともと、『ゾッキ』のPRとして話をもらって、ドッキリを仕掛けたら楽しいと思った時に、どうせ仕掛けるなら映画業界全体のためになることはないかなと思って考えたんです。映画館は席を間引かなくちゃいけないとなって、売り上げが半分になったら苦しいですよね。僕もミニシアターを救うプロジェクト「save the cinema」に寄付したりしたんですが、結局一瞬の助けにしかならないので、もっと何かできないかなと思っていました。

こういう手法って、企業の広告やバスのラッピングとかにも応用できると思っていて。『ゾッキ』はイオンシネマでも放映してるんですが、例えばイオンシネマで映画を見た人に、イオンでの買い物が割引になるQRクーポン付きチラシを配るとか、そういう話もしているんです。いろんな可能性があると思うので、そういうこともこれからどんどん考えてやっていきたいですね。

山田孝之(やまだ・たかゆき)

1983年10月20日、鹿児島県生まれ。1999年に俳優デビュー。TVドラマ『WATER BOYS』『世界の中心で、愛をさけぶ』『白夜行』『信長協奏曲』『山田孝之の東京都北区赤羽』、映画『クローズZERO』『闇金ウシジマくん』『50回目のファーストキス』『はるヲうるひと』など数々の作品に出演。映画『ゾッキ』(2021年)で竹中直人、斎藤 工と共同監督を務めた。Netflix配信ドラマ『全裸監督』(2019年)、『全裸監督シーズン2』(2021)も大きな話題に。
HP/TAKAYUKI YAMADA OFFICIAL (stardust.co.jp)

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