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2017.09.01

銀座の若旦那に聞く、もっとディープな銀座の楽しみ方

前編では銀座のイケメン若旦那3人に、銀座でデートをするためのオススメのお店や寄ってみたいスポットについて伺いましたが、後編では引き続き若旦那3人に、銀座のディープな魅力や銀座の流儀、そして変わっていく街への想いについて語っていただきました。

CREDIT :

文/井上 真規子 写真/岸本 咲子

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日々進化し続ける唯一無二の街、銀座。その魅力を街の若旦那3人に語っていただく対談の後編です(前編はこちら)。
 
神木俊行さんが店主を務める6丁目の「BAR yu-nagi」に、「松崎煎餅」八代目の松崎宗平さん、「銀座もとじ」二代目の泉二啓太さんが集合。前編では、銀座デートのオススメ店や寄ってみたいスポットについて。後編では、さらにディープな銀座の魅力や銀座の流儀、そして変わっていく街への思いについてお話を伺いました。
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銀座には時間帯やエリアによっていろんな顔がある

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左から「銀座もとじ」の泉二さん、「松崎煎餅」の松崎さん、「Bar yu-nagi」の神木さん
泉二
銀座って、いろんな顔をもっているんですよね。昼の顔や夜の顔、そして場所によってもそれぞれの顔があって。1丁目から8丁目まで、交差点ごとにそれぞれ雰囲気が違って面白いですよね。違う街と言ってもいいくらい。
 
松崎
とくに晴海通りを挟んだ1丁目から4丁目と、5丁目から8丁目で別れている感覚があります。
 
泉二
「いちよん」と「ごっぱち」なんて言ったりして。僕はお店が4丁目にあって、「いちよん」が拠点なので、6丁目の「Bar yunagi」まで来るのはけっこう大変(笑)。別世界です。
 
神木
僕ら銀座の人間は、晴海通りを「川」と呼んだりします。「川を渡るの面倒くさい」なんて言いますね。みんな信号待ちをしたくないんですよね(笑)。僕がいる6丁目は夜の区画なので、一般の人は入りづらいかもしれないですね。とくに、並木通りは別格です。
 
松崎
はじめて夜の「ごっぱち」を歩いた時は、ちょっと大人になった気がしましたね(笑)。
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泉二
でも声をかけられないのは、まだまだだなと思ったり(笑)。並木通りはやっぱり華やかだし、大人の街ですよね。
 
松崎
あれこそが銀座だと思いますね。
 
泉二
でも実は、裏の方には意外な面白い店もあるんです。久兵衛の真後ろにある「バーあるぷ」は、銀座らしからぬアンダーグラウンドなバー。とても雰囲気があって好きです。8丁目「トリバコーヒー」ビルの4階にある「GINZA MUSIC BAR」もかなりいいですよ。
 
松崎
そうそう。昼は喫茶店でトリバコーヒーが飲めて、夜はミュージックバーになるんですよね。壁一面にアナログレコードが並んでいて、DJがそこから選んでかけてくれる。
 
泉二
いいスピーカーを置いていて、音がすごく良いんです。夜中の3〜4時くらいまで寛ぐこともありますよ。ハウスの大御所DJも回しにくるくらい隠れたツウの遊び場なんです。知ってないと、なかなかたどり着けない穴場なお店ですね。
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銀座は、お店の雰囲気やTPOを大切にする街

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松崎
7丁目、8丁目がいわゆる夜の銀座のイメージだとすれば、一方で新橋演舞場付近には「金田中」のような、一見さんお断りの料亭もあって、それがまた銀座の面白さだったりもしますが。
 
神木
あの一角は銀座のなかでも、雰囲気がまったく違いますよね。政治家さんたちの極秘接待が行われるような場所ですから、僕らも正直、緊張しますね。
 
泉二
僕は家業もあって普段から着物を着ているんですが、あのあたりは着物を着て行くだけでも緊張します。目立つというか、逆に見られている感じがしてなんとなく怖いですね(笑)。
 
松崎
普段はドレスコードをあまり守らないのですが、「金田中」だけは父親に何を着ていけばいいのか聞きました。気にしなければならないルールがあって、そこを含めて楽しむのが良いのかなと。でも銀座という街全体でいうと保守的ではないし、最低限のところを守れば、あとは楽しく遊べると思うんです。もちろんお洒落して行きたいと思わせる街でもあるんですけれど。
 
神木
TPOは大切だと思いますね。確かに高級ブランドショップなら、きちんとしていかなければ良いサービスが受けられないこともあるので。でも、自分の店では服装だけでお客様を差別することはありません。むしろ平日に私服の人たちって、スーツを着る必要がない社長の方々だったりしますから。だから、ドレスコードがすべてではありません。
 
松崎
確かにそういうことよりも、マナーのほうが大切。人に不快感を与える格好をしないとか、お店の雰囲気を壊さないとか。そういうこともTPOですよね。たまにいるんですよね、空気を読まずに得意げに大声で話している人たち。それは、あまりカッコよくないですよね(笑)。
 
泉二
いますね。上には上がいる街だってことをわかっておいた方がいいと思いますね。服装よりも、モラル的な部分が求められているんです。
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若い人にこそ、銀座に遊びに来てほしい

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松崎
実は銀座って、元をたどると若者の街だったようです。美空ひばりさんが1960年代に歌った「銀座音頭」の歌詞を聞くと、「銀座は若い街〜」って歌ってる(笑)。いまは確かに大人の街なんですけど、そういう時代を経てできてきた街だから、チャレンジする精神を応援する傾向がいまでも残っているのかもしれないと思いますね。
 
泉二
最近では、「GINZA SIX」や「東急プラザ」が次々にできて、街並みがまた変わりました。個人的には、数年前にできた「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」の存在なんかもすごくうれしかったですね。
 
松崎
「GINZA SIX」や「東急プラザ」の誕生は、銀座という街にとって新しい一歩なのかなと思っています。銀座には専門店が多いですが、この2つにはいろいろな商業施設に入っているお店が多く、見せ方もすごく渋谷や六本木的。その新しい存在が銀座の人たちに受け入れられるか、あるいはいままで渋谷や六本木にいた若い人たちがこれを機に銀座に来てくれるのか。どちらか一つでも叶えば、もっと面白くなるなと思っています。
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神木
商売をしていくうえでは、やはり若い人たちに来てもらわないと続きません。バーのお客様は年齢層が高くなりがちなので、そういった意味でも若い方に来ていただけるのはうれしいですね。お支払いいただく金額は多くなくても、将来的にも通っていただけたらそれでいい。街にとってもいいことだと思います。
 
松崎
最近は外国人観光客の方たちが増えたこともあって、確かに街の雰囲気も変わり続けていると思います。僕は10歳の頃は4丁目に住んでいましたが、当時に比べてやはり若い人が増えました。有楽町からの流れもありますよね。
 
泉二
若い年齢層がターゲットの「有楽町マルイ」や「ルミネ」、「マロニエゲート」の存在も大きいでしょうね。そこに来た若い人たちが、そのまま銀座にも来るようになったわけですね。そういえば僕が高校生の頃、信号待ちをしていたら、後ろの女子大生に「高校生が来る街じゃないよね」と言われたことがあって。「お~い! キミたちより銀座知ってるから!」と心の中で突っ込んだ記憶がありますね(笑)。
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変わり続ける銀座の未来について

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神木
いろんなお店について話してきましたけど、結局銀座ってそういうひとつひとつの質のいいお店が集まって成り立っている街なんですよね。僕らもまずは自分の本業を頑張っていくことが、銀座の街を活性化させていくことにつながっていくと思っています。
 
松崎
街がないと商売は成り立たないけれど、その逆も然りで、商売があるから街が活性化していくのだと思います。新しい商業施設が次々にできて街並みが変わっても、それぞれの店がしっかりと将来について考え、できる限りのことをやっていけば、銀座のこれまでの流れから大幅にブレることはないと思います。
 
泉二
そうですね。個々で頑張っている小商店が集まって銀座が成り立っているから、みんなで考えて変わっていけばいい。
 
神木
いまは、僕らの上の世代の旦那衆が銀座という街に熱い思いをもって街づくりを行っています。誰かひとりがリーダーとして方針を決めるということではなく、みんなで話し合って少しずつ銀座を変えていくということだと思います。
 
泉二
そして、やはり若い人に遊びに来てもらわないと街の魅力がなくなっていってしまいます。いままでの銀座も、これからの銀座も、新しい人やものを受け入れつつ、守るところは守って、代謝していくという体質はずっと変わらずに続けていかなくてはいけないと思います。
 
松崎
欲をいえば、もっと銀座に遊ぶところが増えたらいいなって。いまでこそ、グルメや商業の色が強くなってきていますが、映画館やギャラリーもたくさんある文化の街でもあるじゃないですか。だから、そういうイメージが戻ってきたらいいなとも思います。たとえば、「GINZA SIX」の能楽堂がすごく流行って人が集まったり、イベントや祭りができるような広場ができたり。エンタテインメント要素が増えたら銀座という街の幅も広がって、若い人たちももっと遊びに来てくれるんじゃないかって思いますね。

● 松崎 宗平(まつざき・そうへい 株式会社 松崎商店 八代目 代表取締役副社長)

IT企業にて、グラフィックデザインやWEBデザインに従事した後、2006年に株式会社 松崎商店に入社。代表取締役副社長に就任し、新たな取り組みを開始。2016年、松陰神社前に「地域密着」をコンセプトにした新しい「松崎煎餅」をオープンし、話題に。すずらん通りに移転した松崎煎餅本店の統括も行う。

銀座 松崎煎餅
http://matsuzaki-senbei.com/

● 泉二 啓太(もとじ・けいた 「銀座もとじ」 二代目)

高校卒業後、ロンドンの大学でファッションを学び、帰国。2009年に銀座もとじに入社。現在は、統括マネージャーとして活躍中。海外での経験も活かし、日本人を最も美しく見せる着物の奥深さや作り手の思いを伝え、作り手とお客様を結ぶ存在を目指す。農林水産大臣賞を受賞した雄だけの純国産蚕品種「プラチナボーイ」による商品開発を手掛ける。

◆ 銀座もとじ
www.motoji.co.jp/

● 神木 俊行(かみき・としゆき 「BAR yu-nagi」店主)

大学卒業後、地元のJAに入職。美味しい青果に出会い、「有名な生産地でなくとも、優れた生産者の青果は銀座でも勝負できる」という信念を持って、バーテンダーへ転向。2007年「BAR yu-nagi」をオープン。「食べるカクテル」をコンセプトに、美味しい青果を使ったカクテルを提供している。

BAR yu-nagi
http://ginza-bar.com/

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