• TOP
  • PEOPLE
  • 昭和のいい女が愛したあの店、あの場所【1】高峰秀子の場合

2017.06.19

昭和のいい女が愛したあの店、あの場所【1】高峰秀子の場合

CREDIT :

文/川田剛史 写真(室町 砂場)/小澤達也(Studio Mug)

オヤジ世代の憧れた女性たちは、皆様、多彩な才能をお持ちでした。文才、演技力、ファッションセンスに知性……。平成生まれの女子にも、そんな昭和の女性の魅力は必ずやお手本になるはずです。とはいえ、くどくどと問わず語りにオヤジから「昭和」を口にするのは野暮。

昭和のいい女たちは味にうるさい方が多かったのをご存じですか? 彼女たちの愛した、名店の味を平成女子に案内しながら、さりげなく、「こんな女性、知ってる?」と、いい女たちの話を添えてあげるくらいが粋ってものでございます。

今回は3人の昭和のいい女が愛した名店の味をご紹介。まずは、大女優、高峰秀子さんのお気に入りだったあの店、あの場所へと参りましょう。
 高峰秀子さん(1924年~2010年)/日本を代表する女優として知られ、戦前から活躍。代表作に『浮雲』、『カルメン故郷に帰る』、『二十四の瞳』、『喜びも悲しみも幾歳月』、『名もなく貧しく美しく』などがある。エッセイストとしても活躍し著書多数。
高峰秀子さん(1924年~2010年)/日本を代表する女優として知られ、戦前から活躍。代表作に『浮雲』、『カルメン故郷に帰る』、『二十四の瞳』、『喜びも悲しみも幾歳月』、『名もなく貧しく美しく』などがある。エッセイストとしても活躍し著書多数。©主婦と生活社
PAGE 2

海外から戻るたびに求めたそばの味

高峰秀子さんは映画監督だった夫の松山善三さんとともに、夫婦そろってグルメとしても知られていました。和食、フレンチ、中華と守備範囲は幅広く、日本中を食べ歩いて本にまとめるほどの熱の入れようです。

なかでも、幕末に創業した東京・日本橋の「室町 砂場」は、彼女が足しげく通ったソバ屋。特に海外から戻ると江戸の風情が漂うコチラを訪れるのが彼女のお決まりでした。
  店内からは趣味の良い庭が楽しめます。高峰さんは先代のご主人とは仲が良く、レジ前でよく楽しげに会話を交わしていたそうです。
店内からは趣味の良い庭が楽しめます。高峰さんは先代のご主人とは仲が良く、レジ前でよく楽しげに会話を交わしていたそうです。
お目当ては天ぷら蕎麦(1550円)と玉子焼(650円)。天ぷら蕎麦は、きめ細やかな衣で揚げたかき揚げの乗ったスタイルで、シャリっとした歯ごたえとエビの香りがたまりません。
null
著書『旅は道づれ 雪月花』(中公文庫)には「天ぷら蕎麦を平らげ、残ったつゆを蕎麦湯で薄めて、みーんな飲んでしまう」と、最後の一滴まで堪能した様子が記されています。
PAGE 3
null

「室町 砂場」の蕎麦はうどん粉と蕎麦粉を2対8にした二八ですが、(天ぷら蕎麦などの)種ものはもり蕎麦と同じ黒みがかった麵、ざるには更科粉8割の麺と、蕎麦粉を使いわけています。(天ざるの蕎麦には更科粉を使用)

null
また、玉子焼は蕎麦つゆで巻いた深みのある味わいが魅力。職人気質を表すように整った四角四面の形状とほどよい甘さ、絶妙な柔らかさが自慢です。

甘い食べ物があまり好みでなかったはずの高峰さんも「甘さに弱い私もなぜかこの玉子焼だけは、大好き」(『旅は道づれ 雪月花』)と夢中にさせた逸品なのです。

さて、東京のお次は、名店のひしめく京都へ。高瀬川に沿った西木屋町通の一角に店を構える「瓢正」は、「瓢亭」で修業した先代が1952年に創業。川端康成も愛したことで知られる板前割烹の名店です。
PAGE 4
笹巻ずしはお持ち帰り用もあり、一人前5個折箱入り2350円。
笹巻ずしはお持ち帰り用もあり、一人前5個折箱入り2350円。
高峰さんを虜にしたのは、「瓢正」の名物として名高い笹巻ずし(お吸い物と水物付きで2800円・2017年6月現在)。こちらは笹の葉に包まれた鯛の寿司。

笹の包みをほどくと、なかから鯛のお寿司が顔を覗かせます。鯛の身の下に木の芽が挟まれているのがうっすらと透けて見え、上品なことこのうえなし。

高峰秀子さんと夫の松山善三さんは笹巻ずしを「瓢正」での食事のトリに残していたほど特別扱いしていました。松山善三さんの言葉を借りれば、笹巻ずしは「京都の最高、ナンバー・ワン」(『旅は道づれ 雪月花』)とのこと。
null

高峰秀子さんの愛した東と西の名料理。いかがでしたでしょうか? 高峰さんを魅了したお味も当然ですが、情緒にあふれたお店の雰囲気は平成女子の気持ちをも射貫くに違いありません。

■室町 砂場

■室町 砂場

室町 砂場

住所/東京都中央区日本橋室町4-1-13
営業時間/平日11:30~21:00(L.O.20:30)、土曜11:30~16:00(L.O.15:30)
定休日/日・祝
お問い合わせ/☎03-3241-4038

■瓢正

■瓢正

瓢正

住所/京都府京都市中京区西木屋町四条上ル三筋目
営業時間/12:00~L.O.14:00、17:30~21:00(L.O.20:30)
定休日/火曜
お問い合わせ/☎075-221-4424

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

登録無料! 最新情報や人気記事がいち早く届く! 公式ニュースレター

人気記事のランキングや、Club LEONの最新情報などお得な情報を毎週お届けします!

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

Web LEONの最新ニュースをお届けします。

SPECIAL

    おすすめの記事

      SERIES:連載

      READ MORE

      買えるLEON

        昭和のいい女が愛したあの店、あの場所【1】高峰秀子の場合 | 著名人 | LEON レオン オフィシャルWebサイト