2017.06.19
昭和のいい女が愛したあの店、あの場所【1】高峰秀子の場合
- CREDIT :
文/川田剛史 写真(室町 砂場)/小澤達也(Studio Mug)
昭和のいい女たちは味にうるさい方が多かったのをご存じですか? 彼女たちの愛した、名店の味を平成女子に案内しながら、さりげなく、「こんな女性、知ってる?」と、いい女たちの話を添えてあげるくらいが粋ってものでございます。
今回は3人の昭和のいい女が愛した名店の味をご紹介。まずは、大女優、高峰秀子さんのお気に入りだったあの店、あの場所へと参りましょう。
海外から戻るたびに求めたそばの味
なかでも、幕末に創業した東京・日本橋の「室町 砂場」は、彼女が足しげく通ったソバ屋。特に海外から戻ると江戸の風情が漂うコチラを訪れるのが彼女のお決まりでした。
「室町 砂場」の蕎麦はうどん粉と蕎麦粉を2対8にした二八ですが、(天ぷら蕎麦などの)種ものはもり蕎麦と同じ黒みがかった麵、ざるには更科粉8割の麺と、蕎麦粉を使いわけています。(天ざるの蕎麦には更科粉を使用)
甘い食べ物があまり好みでなかったはずの高峰さんも「甘さに弱い私もなぜかこの玉子焼だけは、大好き」(『旅は道づれ 雪月花』)と夢中にさせた逸品なのです。
さて、東京のお次は、名店のひしめく京都へ。高瀬川に沿った西木屋町通の一角に店を構える「瓢正」は、「瓢亭」で修業した先代が1952年に創業。川端康成も愛したことで知られる板前割烹の名店です。
笹の包みをほどくと、なかから鯛のお寿司が顔を覗かせます。鯛の身の下に木の芽が挟まれているのがうっすらと透けて見え、上品なことこのうえなし。
高峰秀子さんと夫の松山善三さんは笹巻ずしを「瓢正」での食事のトリに残していたほど特別扱いしていました。松山善三さんの言葉を借りれば、笹巻ずしは「京都の最高、ナンバー・ワン」(『旅は道づれ 雪月花』)とのこと。
高峰秀子さんの愛した東と西の名料理。いかがでしたでしょうか? 高峰さんを魅了したお味も当然ですが、情緒にあふれたお店の雰囲気は平成女子の気持ちをも射貫くに違いありません。
■室町 砂場
室町 砂場
住所/東京都中央区日本橋室町4-1-13
営業時間/平日11:30~21:00(L.O.20:30)、土曜11:30~16:00(L.O.15:30)
定休日/日・祝
お問い合わせ/☎03-3241-4038
■瓢正
瓢正
住所/京都府京都市中京区西木屋町四条上ル三筋目
営業時間/12:00~L.O.14:00、17:30~21:00(L.O.20:30)
定休日/火曜
お問い合わせ/☎075-221-4424