魔裟斗に聞く! 41歳の最強ボディとメンタルの整え方とは!?【前編】

K-1の世界王者を目指し、18歳の頃から自分のカラダと心に向き合い続けてきた魔裟斗さん。2009年の引退から10年以上が経過したが、41歳になった現在も引き締まった体型を維持し、撮影では見事な肉体美を披露してくれた。本番の試合に向けてコントロールが厳しかった選手時代より、肉体としての迫力は増しているようにも見受けられる。

男としては、中年に差しかかる成熟の年頃。若々しさを保ちつつ、渋さに磨きをかけ始めた魔裟斗さんのカラダとの向き合い方とは？ 【前編】では、日々のトレーニングと食生活について聞いた。

── 現役時代と変わらない、むしろそれ以上に磨き抜かれた肉体美を作り上げるモチベーションは、一体どこから湧いてくるのでしょうか？

魔裟斗　選手を引退する時に決めていたのが、引退後も同じ姿を維持しようということでした。（取材日の前日に亡くなった）サッカーのディエゴ・マラドーナが、引退後にまったく現役時代とは別人のような姿で現れたのを見た時も衝撃を受けたんですよね。ああなったらいけないなと思ったんです（笑）。僕は2009年の12月31日に最後の試合をやったのですが、年明けの1月4日にはジムに通い始めていましたね。
 
── 予想に違わず、高い美意識をずっとお持ちのようですが、体型維持のために注意していることはありますか？

魔裟斗　僕が重視しているのは体重で、体脂肪率は特に測っていません。これまでの経験から理想の体重は76キロ前後で、現役時代からずっと維持しています。ただボディラインについては、中年になったら少し肉がついているぐらいでいいと思っていて。若い頃は男性も女性も細マッチョを好む傾向があると思いますが、それも年齢とともに変わっていくじゃないですか。

ちなみに、僕は毎晩お酒を飲んでいます。昨日もシャンパンを1本開けました（笑）。厳しく節制しているように思われるかもしれないですが、全然そんなことなくて。ストレスなく、毎日を楽しんでいますよ。

── 意外と自由に過ごしていらっしゃるようで、親近感が湧いてきます（笑)。では、41歳になった現在は、どんなトレーニングをされていますか？
 
魔裟斗　毎朝、ランニングで10キロ走っていますね。18歳で選手になってから23年間、ランニングは欠かさずに続けてきました。朝食を食べた後に10時から走りに行くので、僕にとってのランニングは、みなさんが会社へ出勤するのと同じ。もはや仕事みたいなものですね（笑）。

あとは週2回、ウエイトトレーニングもしています。筋肉を鍛えると、男性ホルモンが分泌されて若々しさの維持にもつながるんです。僕は毛量や髪質が若い頃とほとんど変わらないですが、トレーニングの効果がかなり出ているんじゃないかと思っていますね。

── 毎朝10キロのランニングとはさすがですね。面倒に思ったりすることはないのでしょうか？

魔裟斗　そう思うこともありますが、ルーティンなので走らないという選択肢はないんですよね。それにトレーニングをしないと、力を持て余してしまうので。しっかりと運動すれば、早い時間に眠くなるので自然と早寝早起きになるし、睡眠の質も良くなります。僕は毎晩9時には寝ています。お酒を飲んでいるということもありますが、毎晩どうやってベッドまで行ったか覚えていないくらい寝入りがいい（笑）。そのまま9時間たっぷりと寝て、朝は6時に起きます。皆さんもトレーニングをすれば、自然と健康的な生活になっていくと思いますよ。
 
それから僕の場合は、鍛えることがそのまま仕事に繋がっていて。今までも「好きなことを突き詰めてそれが仕事になる」という人生をずっと送ってきました。もともと運動は好きなことでもあるので、これからも行けるところまで行こうと思っていますし、トレーニングは病気になるまで続けていくつもりです。

── しっかりと運動すれば、寝入りも良くなり、睡眠の質も上がると。とてもシンプルで合理的ですね。ウエイトトレーニングの方法も教えてください。

魔裟斗　ダンベルを使わずに、自重（自分の体重）を使ったトレーニングをメインでやっています。僕は筋肉が付きやすい体質ということもあって、ウエイトを使うとカラダがどんどん大きくなってしまうんです。するとカラダが重くなり、走るのもきつくなってしまう。走った時にカラダが重いと感じたら、ベストの体重や筋肉量のキャパを超えているとわかります。走った時の感覚も含めて、やっぱり76キロがベストなんです。
 
ウエイトトレーニングを始めて、筋肉が増えたり、重いものを持てるのが楽しくなって、トレーニングそのものにはまってしまうことってありますよね。僕もそれでカラダが大きくなりすぎて、今より４キロぐらい増えてしまった時期がありました。まさに、ウエイトトレーニングの落とし穴ですよね。自分の目指す体型を決めて、達成したらその体重できっちり管理していくことが大切なんです。

── 自重でここまでの肉体を作り上げることができるなんて、正直驚きました。ボディラインは逆三角形を目指してトレーニングする人も多いと思うのですが、魔裟斗さんの理想は？
 
魔裟斗　ボディメイクでいえば、確かに逆三角形が理想です。ただ僕の場合は、キックボクシングの足を上げる動作で腹斜筋（ウエストの横の筋肉）が付いてしまっているので、肩を鍛えてもあまり逆三角形にはなれないんです。そもそもスポーツ選手は体幹がしっかりしているのでウエストが太く、くびれは作りづらいですね。
 
僕は夏にタンクトップをよく着るので、やっぱり肩だけは大きくしたくて、肩を鍛える時だけダンベルを使っています。

── 一般的に歳を重ねると、若い頃と同じように体重を維持するのは難しくなりますよね。魔裟斗さんはどのように管理されていますか？
 
魔裟斗　まずは毎日必ず体重計に乗ります。だから食べ過ぎたりして体重が増えても、すぐに気づくんです。1日で増える体重って多くても1〜1.5キロぐらいなので、食事を少し減らすなどすれば簡単に落とせます。久々に体重計に乗って予想以上に体重が増えていたりすると、調整は簡単ではなくなってきますから。
 
そして食事は、朝と昼に炭水化物をたくさん食べます。「炭水化物は太る」ってよく言われていますが、僕の体感としてはまったくそんなことなくて。朝食はいつもトーストとスクランブルエッグ、ソーセージ、ヨーグルト、コーヒー。昼は、ラーメンだと2人前、焼きそばなら3人前とか余裕で食べます。炭水化物を抜くと一瞬、体重が減って痩せた気になるんですけど、実は水分が減っているだけ。その後、体重はなかなか落ちないんです。

── 炭水化物を食べてもいいということに、喜ぶ読者も多いと思います。
 
魔裟斗　僕はたくさん運動するので、エネルギー源として炭水化物（糖質）がより多く必要なんです。炭水化物が十分に摂れていないと、運動中に調子が出なかったり疲れやすくなったりします。カラダを動かせなければ脂肪も燃えませんから、やっぱり炭水化物は必要ですよね。ただ夜に炭水化物は極力摂らないようにしています。会食でも、お酒だけ飲んで食べ物は少しつまむ程度。朝と昼にガッツリ食べているので、夜はそんなにお腹が空かないんです。それでも夜更かしをすればお腹が空いてきますから、早く寝ることも大切ですね。

以前は甘い物が好きでしたが、それって炭水化物が足りていない証拠なんです。最近はしっかり摂っているので、あまり食べなくなりました。よく炭水化物を抜いて、スウィーツを食べている女性がいますが、本末転倒ですよね。朝と昼にしっかりと食べれば間食も欲しなくなりますよ。
 
あと、僕は油っぽいものを食べるとお腹を壊してしまうので避けています。脂質のカロリーは糖質の2倍以上あるので太りやすいですし。タンパク質に関しては特にこだわりがなくて。普通に食べていれば、筋肉をキープできるぐらいの量は満たしているじゃないかな。お酒に関してはシャンパン、ワイン、ビール、焼酎、なんでも飲みます。ただアルコール度数が高いお酒はカロリーも高めなので、飲むのを控えるようにしています。

節制しすぎずライフスタイルを楽しみながら、ルーティンとしているトレーニングを淡々とこなす。人間のサーカディアンリズムにも則った、シンプルかつ合理的に肉体管理を実践する魔裟斗さん。その姿勢は、彼の自然体で芯の通った生き方そのものにも通ずる。

【後編】ではメンタルの整え方について質問をぶつけてみた。乞うご期待！

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