2026.10.26
第21回 真木よう子【vol.01】
美しい人、真木よう子。「役に入るとなりきってしまうので、危ない役の時は持っていかれないように脳をだますんです」
大人の女性の美しさに迫るグラビア連載「美しい人」。今回ご登場いただいたのは真木よう子さんです。10代でのデビュー以来、類稀な演技力で常に観る者の心を鷲づかみにしてきた真木さん、昨年43歳で第2子を出産後も次々と話題作に出演。その激しさと切なさを併せもった独特な美しさの秘密とは?
- CREDIT :
写真/野口貴司 スタイリング/藤井希恵 ヘアメイク/石川美幸 文/渡邉朋子 編集/森本 泉(Web LEON) プロデューサー/Kaori Oguri

▲ カーディガン6万9300円/エズミ (リ デザイン)、ネックレス2万2000円、イヤリング1万3200円/ともに マナ ローザ ジュエル (マナ ローザ)、ドレスはスタイリスト私物
多くの俳優やタレントをプロデュースし、自身女優でもある小栗香織さんをプロデューサーに据え、豊かな人生経験を持つ女性たちの、内面から醸し出される“大人の美しさ”に迫る、ファッションと融合した新しいグラビア企画「美しい人」。
今回ご登場いただいたのは俳優の真木よう子さんです。10代で仲代達也さん主宰の無名塾に入るとすぐに頭角を現し、以降、類稀な演技力で常に観る者の心を鷲づかみにしてきた真木さん。昨年43歳で第2子を出産後もすぐに復帰し、変わらぬ存在感で活躍を続けています。その激しさとはかなさを併せもった独特な美しさの秘密に迫りました。



▲ 左腕バングル1万4300円、右手人差し指リング 2万2000円/ともに マナ ローザ ジュエル (マナ ローザ)、シューズ14万8500円/ジミー チュウ



【Interviwe01】
「賞をいただいけることはうれしいけど、尊敬するたった1人の人に「よかった」と言われるほうがきっと私はうれしい」
── 真木さんは小学生の頃からお芝居に興味があったそうですね。
真木よう子さん(以下、真木) 勉強が大っ嫌いだったというのもあるんですけど、きっかけとしては当時、安達祐実さんがいろいろな作品に出られていて、同い年ぐらいの女の子がお芝居をしている姿を見て、私もこのお芝居という仕事をやりたいなと思って。そこからお母さんには、意味もなく勉強するよりお芝居がしたいと言っていました(笑)。
── すでにお芝居を仕事としてみていたんですね。そこまでお芝居が好きだった?
真木 子供の頃からテレビとかドラマが好きでよく見ていて、いろんな役者さんをまねて、覚えたセリフをその人になりきって言ってみたりするのがメインの遊びだったんです。でも、兄弟にバレたら絶対バカにされると思って、一人の時にやっていました(笑)。
── 具体的に芸能界を目指したのは中学卒業後ですよね?
真木 小学生でお芝居をしたいと思っていた時に、同級生から「中学校までは国の義務教育というのがあるけど、高校からは学校に通うか自分で決めていいらしいよ」という情報が入ったんです。それなら私は絶対に中学校で終わりにする! と思って(笑)。勉強も一応するにはしたけどまったく興味がなかったし、テストの点数を見てもめちゃくちゃ頭悪かったですもん(笑)。
それで無名塾を受けたんですけど、親も私もたぶん受からないだろうと思っていたので、一応、高校も受けていたんです。ところが無名塾に入れていただけることになったので、受かった高校に「すみません」って謝りに行ったのをすごく覚えてます。

── ご両親からの反対はなかったんですか?
真木 やっぱり父親はすごく反対しましたよ。せめて高校を出てからにしろって。自分でもなんでそこまで(自分の決断を)疑わなかったのか、10代の根拠なき自信としか言えないんですけど、私はやりたいと思ったら絶対にやらせてほしいという子だったので(笑)。
── 念願だったお芝居の世界に入ってみて、すぐにおもしろさを感じたのですか?
真木 とても厳しい世界だし、昔の戯曲を読んで、仲代(達也)さんに披露するために自分でレッスンをしたり発声練習をしたりで1日が終わるので、なかなか大変だったとは思うんですけど、苦しいとか嫌だなと思ったことは一回もなかったです。
── どのようなところにお芝居の楽しさを感じたのでしょうか?
真木 わからないけれど、昔からお芝居がストレス発散みたいになっているようなところはちょっとあったと思います。だって大人になったらみんな、イラッとすることがあってもそのまま怒りをぶつけたりできないじゃないですか(笑)。でもお芝居って台本に書かれている通りに喜怒哀楽を出せるので、発散の場でもあったりするんです。それが、私にはすごく性に合っていたんだと思います。

── これまで転機になったと感じる役や作品はありますか?
真木 特定の役というより、演じてきた役が真木よう子というものを構築してくれたような気がしているんです。それは前の事務所のおかげでもあるんですが、おそらく私に降りてきていない案件もたくさんある中で、私がやってきた役って警察官とか先生とかが多くて。
10代とか子供の頃って、テレビで悪役をやっている人はその人自身も悪役に思えちゃうじゃないですか。だから、若い頃から見え方としてあまりよろしくない役は避けるというか、考慮してくれていたんだと思います。
── 確かに真木さんはカッコいい役を演じているイメージがあります。
真木 わかりやすい言葉で言うと「正義」とか「やさしさ」とか「強さ」を持った役をというのがたぶんあったのだと思うんです。だから、真木よう子もそういうイメージになっていった感じがします。でもそうなると、だんだん私もそういう人間になってきて、倫理的にありえないような事件が起きたりすると、黙っていられない性格になっちゃったり(笑)。本来の私はどういう人間だったのか、もしかしたらこの先、わからないまま死ぬかもみたいになっちゃうんですよ(笑)。
── 役の性質や性格が真木さん自身のキャラクターにもかなり影響してくるんですね。
真木 役をやっている時はそうですね。もちろん持っていかれたらヤバいような役の時はブレーキをかけますけど、別にこの子の考え方は間違ってないよねと寄り添える役だったら、その役をやっている期間はその子の思考に時間を割くことが多いです。

── 真木さんは難しい役を託されることも多い印象がありますが、そういう時はどのようにメンタルを保っているのでしょうか?
真木 例えば『さよなら渓谷』の時にした対策は、私が演じたかなこちゃんがおそらく聞きそうにない音楽を聞きまくって踊りまくるとか(笑)。全然聞きたくなくても、そうやって一旦、役を自分から離してあげないと、同じようにドーンと落ちてしまって危なくなってしまうので、役は私じゃないということを認識させるよう脳をだますみたいなことはしますね。
── 『さよなら渓谷』などは普通の人だと躊躇してしまうような濡れ場シーンもありましたが、そこに抵抗などはなかったですか?
真木 やっぱり作品を壊したくないという気持ちが強くあって、ここでそういう行為が行われるという流れが見えて、それがこの作品に必要だなと思えたのでまったく抵抗はなかったです。むしろ、そこで私が脱がないことで話の流れに無理が出るようなことになるぐらいなら、私はやりたいんですよ。逆に、脱ぐ必要がないところで脱いでいるよねと思ったらもちろんお断りしますけど。

── 2014年には、その『さよなら渓谷』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、『そして父になる』で最優秀助演女優賞を受賞されました。ダブル受賞はなかなかないことで、真木さんの実力が高く評価された結果だと思います。ご自身としては賞を目標にお芝居をしているわけではないと思いますが、当時は結果をどのように受け止めていましたか?
真木 もちろん評価されることはすごくうれしかったです。でも、こんなことを言うのはおこがましいですけど、あの時の助演女優賞はたまたまのタイミングだったんじゃないかなと (笑)。『さよなら渓谷』は、もちろん絶対に賞を狙いに行くぞ! という事を前提で演じたわけではないですけど、本当に過酷な思いをしたので、選ばれたらうれしいなと実は思っていて。
そうしたら助演のほうで名前を呼ばれたから、“マジか……主演はなくなったな”とちょっと勝手に落ち込んで(笑)。まさかダブル受賞なんて考えていないので、もらえると思っていなくて普通にうれしかったです。
── 賞を受賞することで、役者としての自信を得られたりするものなのでしょうか?
真木 すごく言い方が難しいんですけど、たとえば「ダブル受賞をされた真木よう子さんです」みたいに紹介をされることにはすごく抵抗があるというか。もちろん賞をいただいけることもうれしいのですけど、その実績を今の私の価値だと第三者に当たり前のように紹介される事に違和感がある。というか。私個人としては、100万人にダメだと言われても、自分が尊敬するたった1人の人に「よかったね」と言われるほうがきっとうれしいし、価値があるんです。たぶん、そういうことなんだと思います。

● 真木よう子
1982年10月15日、千葉県生まれ。2001年、映画『DRUG』でデビュー。2006年、『ベロニカは死ぬことにした』で映画初主演。『ゆれる』では山路ふみ子映画賞新人女優賞を受賞。第37回日本アカデミー賞では『さよなら渓谷』で最優秀主演女優賞、『そして父になる』で最優秀助演女優賞をダブル受賞し、2013年度の映画賞を総なめにした。ほかにも映画『モテキ』、『源氏物語千年の謎』、『脳内ポイズンベリー』、『海よりもまだ深く』、『孤狼の血』、『焼肉ドラゴン』、『ある男』、『アンダーカレント』、ドラマ『龍馬伝』、『SP 警視庁警備部警備課第四係』、『週刊真木よう子』、『運命の人』、『最高の離婚』、『MOZU』、『問題のあるレストラン』、『セシルのもくろみ』、『ボイス110緊急指令室』、『ネメシス』、舞台『パラサイト』など多くの話題作に出演。現在は『ライフトレード』(テレビ東京木曜24時45分〜)に出演中。11月6日には『星の教室』が公開され、11月8日からWOWOWにて『連続ドラマW 恩田陸 ユージニア』(日曜22時〜)がスタート。
※掲載商品はすべて税込み価格です
■ お問合せ
こちらの記事もいかがですか?













