2026.09.15
人気急上昇「カナメストーン」は非モテ系お洒落男子!? 「自分の気分が上がればいいんです」
『M-1グランプリ2025』ファイナリストとして一躍注目の人となったカナメストーン。大のお洒落好きとしても知られますが、なんと、ふたりの私服コレクションをまとめたスタイルブック「無限服2026」が発売されることに! こだわりのお洒落論を語ってもらいました。
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文/安岡将文 写真/トヨダリョウ 編集/森本 泉(Web LEON)

「好きなものを着て、面白くあればいい」。
『M-1グランプリ2025』ファイナリストのカナメストーン。芸人として活躍する2人は、実は大の服好きでもあるのです。ヴィンテージやミリタリー、アメリカントラッドを中心に、それぞれのこだわりで服を集め続けてきた彼らが、今回スタイルブック「無限服2026」(主婦と生活社)を刊行。ファッションとの出会いから、芸人としての表現、そして今回のスタイルブックについて話を聞きました。
笑いもオシャレも、好きなものに囲まれたい
── まずは今日、おふたりが着ているものを教えてください。
零士さん(以下、零士) パンツとシャツは、恵比寿のPTアルフレッドで買ったものです。ジャケットはエンジニアドガーメンツで、ベルトも同じく。靴はG.H.バスで、セプティズとキャシディとのトリプルコラボです。時計はキャシディで買ったスマートターンアウトのミリタリーウォッチ。もちろんリボンベルトです。
山口 誠さん(以下、山口) シャツがエンジニアド ガーメンツ、ベストがナイジェル ケーボン。パンツもナイジェル ケーボンで、靴はムーンスターです。ベルトはソルトイン ウォーターで、これは零士から誕生日プレゼントでもらいました。
── おふたりともファッションの趣味がかなり近いですよね。もともと同じブランドが好きだったんですか?
零士 最初のきっかけはキャシディ(※)です。もう今はなくなってしまいましたけど、15年くらい前から通い始めて、一緒に少しずついろんなブランドを知っていきました。
※「原宿キャシディ」は1981年に原宿でスタートしたアメカジを中心とした老舗セレクトショップ。2026年1月末で閉店した。仕入れ販売担当を務めていた八木沢博幸さんはアメカジ好きなら知らない人はいない名物販売員だった。

── キャシディに通うようになったきっかけは?
零士 僕ら、漫才する時の衣装がもともと古着だったんです。お金もないからそれが普通だと思っていたんですけど、ある時、作家さんに「汚いよ」って言われて(笑)。
山口 「こっちはこだわりを持って、蘊蓄も知っているんだけどな」って思いつつ、とはいえ汚いと思われていいことないので、古着以外の服も買ってみようかなと思ったんです。
零士 その頃に雑誌を見ていて、「この服、カッコいいな。どこに売っているんだろう?」って調べたら、キャシディだったんです。さらに雑誌を読んでいくと、カッコいいと思った服が全部キャシディで紹介されていて、「何、この店。すごくない?」ってなって、じゃあ行ってみようとふたり人で行ったのが最初です。
── おふたりは長い付き合いなんですよね。
零士 17年一緒に住んでいます。
山口 もうほとんど夫婦みたいなものですよ。
零士 キャシディに行ってからは、いろんなブランドや服について教えてもらいました。「ここがいいんですよ」「これはこういうところからデザインが来ていて」みたいな話を聞いているうちに、どんどん深くハマっていきました。
山口 「服ってこんなに奥深いんだ」って。

── おふたりともアメリカントラッドがお好きですが、少し方向性は違いますよね。
山口 僕はどちらかというとヴィンテージやミリタリーが好きです。かなりミリタリー寄りかな。
零士 僕もミリタリーは好きですけど、今日みたいに1点取り入れるくらい。どちらかというと、トラッドやプレッピー色が強いですね。
── 世代的には、おふたりが10代の頃は今とはかなり違うファッションが流行っていたと思います。
零士 いわゆるお兄系が全盛でした。だから、よくここにたどり着いたなと思います(笑)。でも、僕らはもともと天邪鬼なんですよ。流行っているものがあると、逆にそっちには行きたくなくなる。
山口 まぁ、芸人のサガですね。
何を着てもいい、好きなものに素直であれば
── ヴィンテージやアメトラって、こだわりの強い人が多いジャンルですよね。周囲から何か言われることはありませんでしたか?
山口 それは全然ないですね。

零士 そもそも僕ら自身が、人の服装に対して「それは違う」とか言わないんですよ。後輩が何を着ていても、心から「それ、めっちゃいいね」って思います。もちろん「メイド・インどこですか?」とか、気になることはありますよ。でも、それを使って「お前、なんでこれ着てんの?」っていうのは、お笑いのネタとしてやることはあっても、本気で人の服を否定するのは違うと思うんです。
山口 だって、服って自由じゃないですか。何を買ったっていいし、何を着たっていい。そこは自分たちの中でもブレないですね。
── 最近は芸人さんにもファッション好きを公言する人が増えていますよね。
零士 ファッションの感覚と、お笑いでの表現って、どこか似ているんじゃないかなと思います。
山口 確かに。
零士 ファッションって自己表現じゃないですか。お笑いもそう。今はInstagramやYouTube、SNSで舞台の上だけじゃなく、芸人のパーソナルな部分まで見られる時代になりました。だから、服も含めて、その人自身の表現になっている気がします。
── もしコントをやるとしたら衣装はやっぱり自分で考えたいですか?
零士 そうですね。この人物にはこの服のほうがいいんじゃないかって。
山口 もしミリタリーのコントをやったら、めちゃくちゃうるさいと思いますよ。例えコントの内容と関係なくても、「このポケット、この年代に合わないよ」とか言い出すかも。

── 舞台の衣装にもファッションへのこだわりが反映されていますね。
零士 僕は衣装をオーダーして作っています。僕がいつも着ているオレンジのジャケットですが、実はキャシディで売っていたアメリカのサウスウィックのブレザーを参考にして作ってもらいました。
キャシディの名物販売員である八木沢さんが僕らの衣装をテレビで見てくれたんですけど、パターンが同じなので勘違いして「サウスウィックってオレンジも出したんだ」と言ってくれたことがありました。それはめちゃくちゃうれしかったです。自分が好きで買っているものが、衣装としてもつながっている。それが面白い。結局、漫才をやる時も気分が上がったほうがいいんですよ。
山口 だから、身につけるものも全部、気分が上がるようにしたい。誰かに気づかれなくても、自分の気分が上がればいい。
── ファッションをネタにした漫才はいかがですか?
零士 やるなら愛がないと嫌ですね。テレビだと、どうしても揶揄するような漫才になりがち。でもYouTubeやライブなら、ファッション好きの人しかわからないような、かなりニッチなネタもできます。
山口 そういう仕事があったらやりたいですね。服好きばかりが集まるライブとか。
零士 ただ、絶対に嫌な気持ちにはさせたくない。愛があるからこそ笑える、というのがいいんです。

家中が服だらけ。でもどれも捨てるつもりはない
── 今回のスタイルブックに各自のコレクションが掲載されていますが、かなりの量ですね。
山口 もう家中、服だらけです。2階建ての一軒家なんですけど、もし別のところに引っ越すことになっても、今の家は物置として残したいくらい。
── 収納が大変そうですね。
零士 工夫というほどではないですけど、全部目に入るようにはしています。「これ持ってたのに、忘れてた」ってなるのがもったいないんですよ。一着一着、ちゃんと見えるようにしておきたい。
山口 だから自然とスペースが必要になるんです。
零士 番組で家をリフォームしてもらったこともあって、押し入れに太い棒をつけて、ハンガーを全部かけられるようにしてもらいました。本当にショップみたいになっています。
── それだけ大事にしていると、手放すのも難しそうです。
零士 そうですね。そもそも捨てられないタイプですから。袋に入ったまま置いておきたいものもあるんですよ。「今季は着ないけど、来年まで寝かせよう」みたいな(笑)。

── そこまで多いと、費やした金額もかなりになるのでは?
山口 昔はもう、ほぼ借金でした。服は全部、「売れた時の自分への前借り」みたいな感覚。先輩から「金がないのに格好ばかり気にするな!」って怒られたこともありました。
零士 でも僕らは昔から、遊びやお酒にあまりお金を使わなかったんですよ。全部服に費やしていました。お金が入ってからも、普通だったらモテるために服を買ったり、いいブランドを買ったりすると思うんですけど、僕らは単純に自分たちのテンションを上げるための服が欲しい。今は昔より買えるようになったので、それはうれしいですね。
山口 秋冬のシーズンも楽しみです。「セーター買えるぞ!」って。
好きなことをこれからもとことん突き詰める
── 今後、ファッションでやってみたいことはありますか?
零士 お笑いをやりきって、おじいちゃんみたいになったら、自分たちの好きなものだけを集めた服屋さんができたら最高だなと思います。

山口 確かに。今の家をそのままショップにしてもいい。
零士 思えば、お笑いをやる前の中学生くらいの頃から、「服屋さんもいいよね」ってふたりで話していたんです。だから、昔から思っていたことが少しずつ実現してきている感じはあります。
── 今回のスタイルブックも、夢の実現の一つですね
零士 好きなものを形にできたのはとてもうれしいです。撮影はほぼ自宅や地元で行いました。地元が大好きだし、これからもそれは変わらないと思います。でも、あくまでも僕らは芸人。芸人として多くの人を笑わせることが目標です。
山口 テレビなどに出させていただくことで、好きなブランドのショップの人から「この間、ウチの服を着て出ていましたね」って言われるのはすごくうれしい。それを味わうためには、もっと芸人として活躍しないと!

● カナメストーン
山口 誠(やまぐち・まこと/左)と零士(れいじ/右)によるコンビ。ともに1986年茨城県生まれ。中学時代からの同級生である二人が、2010年に結成。2025年に開催された『M-1グランプリ2025』では、敗者復活戦から勝ち上がりファイナリストに。毎週土曜日更新のPodcast番組『カナメストーンのカナメちゃん村』に出演するとともに、YouTubeチャンネル『しゃれこめカナメストーン』でも配信中。
カナメストーン スタイルブック『無限服2026』
『M-1グランプリ 2025』のファイナリストとして注目を集め、活躍の場を広げているカナメストーン。ふたりは大のファッション好きで、服を買うためにコンビ合わせて一時は約750万円の借金を抱えていたことも……。そんなカナメストーンの初の書籍となるスタイルブック。撮影は、彼らの後輩の実力派コント師でカメラマンとしても高く評価されている、かが屋の加賀翔が担当。コンビで暮らしている自宅『無限虫(ムゲンデ)』で撮影した200点以上に及ぶ彼らのお気に入りアイテムをたっぷり掲載。さらに、カナメストーンの地元・茨城県鹿嶋市でもロケを敢行。今回のために組んだコーディネートで、思い出の地を巡ります。
定価/3300円(税込)
発売日/2026年9月11日(金)
判型/B5判
ページ数/96ページ
発行/主婦と生活社
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