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2020.07.31

ダンヒルの「サムライブルー×浮世絵」コラボで話題! アーティスト、アンドリュー・アーチャーってどんな人?

先日発表されたサムライブルーのアートワークは、まさかの浮世絵テイスト! 斬新なビジュアルは、公式スーツを手がける「ダンヒル」と、オーストラリア出身のアーティスト、アンドリュー・アーチャーとのコラボレーションによるもの。日本オタクだと噂の彼に、制作にまつわるエピソードや、自身の創作について聞いてみた。

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文/矢吹紘子

サッカー日本代表と聞いて、真っ先に思い浮かべるべきは、実はスーツかもしれません。思い返してみてください。公式記者会見やインタビューで着用するスーツ姿が、どのメンバーも、いつもビシッと決まっていますよね。それもそのはず、サムライブルーの“スーツ番”はあの「ダンヒル」。1893年にロンドンで創業したメンズラグジュアリーブランドが、過去11年にわたりデザインを担当しているのです。

最新コレクションは、都会的なストライプと、チームカラーを意識した品のあるネイビー、おなじみのベルグレイヴィアシルエットが際立つツーピーススーツ。モダンでありながら、勝負師たちの秘めた情熱をも感じさせる「勝負服」のデザインです。
そして先月、そのイメージビジュアルが公開。それがまた、イカしてます。メインビジュアルは、日本の伝統的な富士山や桜を背景に、代表チームのオフィシャルスーツを身に着けた、歌舞伎役者さながらの粋な男たちがズラリと。スーツに甲冑という、斬新さ極まるレイヤードスタイルの3人の侍に、神の加護や導きを象徴する3本足の八咫烏(やたがらす)。

浮世絵タッチのアイコニックなイメージの数々は、日本的でありながら、同時にどこか開けた目線も感じさせます。それもそのはず、手がけたのは豪州メルボルンを拠点に活躍するアーティスト、アンドリュー・アーチャー。

サッカーと浮世絵、一見すると結びつかない要素を、独特の感性でミックスし、アートとして作り上げるその手腕には思わず脱帽。一体どんなクリエイターなのか? 妙に気になり、早速インタビューを敢行しました。
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情熱を注げる“何か”を組み合わせることが自分らしさにつながる

そもそもアートに興味を持ったきっかけは、スケートボードのデッキのグラフィックと、トレーディングカードの「NBAカード」。でも学校に通ったわけでもなく、完全に独学なんです。正直にいうと、高校の美術の授業で落第して、中退していて。ドロップアウトした後3年くらいは、働きながらとにかく何かを作るという生活を送りました。いつか芽が出るように、実践あるのみ、って自分に言い聞かせて。その後、幸運なことに色々なところから声をかけてもらうことが続き、10年以上、アートで生計を立てることができています。

浮世絵は、私にとってはインスピレーションの宝です。お気に入りの作家は歌川国芳。資料としていつでもみられるよう、彼の作品を含め、様々な浮世絵の画集をコレクションしていますし、浮世絵に興味を持っている人たちとも情報交換をしたりもして、常に知識をアップデートしています。

光栄なことに、昨年ウィ―ンの「オーストリア応用美術博物館」で、自分の作品が40点あまり、国芳の浮世絵と並んで展示されるという機会に恵まれました。まさに夢がかなった瞬間でした。
▲THE GREAt GAME-波 (c)Andrew Archer
浮世絵をモチーフに取り入れるのは、欧米ではとりわけ珍しいので、よく「どうしてこのスタイルに行き着いたの?」と聞かれます。その答えは、自分が情熱を注げるものを組み合わせた結果、のひと言につきますね。

ちなみに過去に発表した作品は、日本のクライアントや日本の何かをテーマに発注されたものではない場合がほとんどなんです。でもやっぱり、自分の好きなものが表に出てくるんでしょうね。例えば「アウディ」の広告用のイメージビジュアル「Planet RS7」。具体的にリクエストされたわけではないのですが、結果的に浮世絵を思い起こさせる植物や風景の描写を取り入れたデザインに仕上がりました。

過去の文化だけでなく現代のポップカルチャーにも注目していて、DJ Krushや村上春樹など、尊敬するアーティストも数え切れないほど。それらをミックスする方法は自分の中の永遠のテーマと言えるかも。
▲Kentizan (c)Andrew Archer
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日本人のクラフツマンシップへのひたむきな姿勢に共感を覚えます

私のアジア熱は、10代の頃にはもう始まっていました。特に食べ物や伝統文化、そして芸術。欧米のそれとは異なるエネルギーや豊かさは、唯一無二ですから。アートを生業とするようになってからは、とりわけ日本美術の歴史に惹きつけられ、独学で学びを深めていきました。そして日本の人たちの、クラフツマンシップへのひたむきな姿勢に対して、ますます強い敬意と共感を抱くようになったんです。
なぜ日本かというと、実は私が歴史オタクなことも関係しているかもしれません。アジアに住んでいたこともあって、その時に日本へも頻繁に旅しました。これまでに、おそらく13回くらいかな。日本は私にとって特別な場所。たくさんの人々と出会い、よき友人にも恵まれました。

私の旅はかなりフリースタイルで、行き当たりばったり。途中下車をしては、そこで一日を過ごす、みたいな感じ。東京にいる時は博物館や書店で何時間も過ごして資料を読んだり、史跡を訪れたり。去年の冬に行った長野と、その途中で立ち寄った沿線の田舎町は格別でした。

行ってみたい場所や食べてみたい料理は、まだまだ数え切れないほどたくさんありますが、また気軽に旅行ができるようになったら、福岡にしばらく滞在してみたいですね。あと沖縄にも。
▲A Dream at Dusk — Washington Post   (c)Andrew Archer

毎回、これが最後の作品になる気持ちで向き合っているんです

今回の「ダンヒル」とのコラボレーションは、とてもやりがいのあるものでしたし、自分の方向性にもフィットしていたと思います。私はもともと大のスポーツファン。バスケットボールは「心の友」ですが、他にもスポーツ全般が好きなんです。なぜかというと、スポーツは私たちに愛やエネルギー、友情や健康をもたらすから。

一方で、昔から服飾デザインの物作りへの興味も持ち合わせていて、なかでも「ダンヒル」を支えるクラフツマンシップは素晴らしいものだと常々感じていたんです。だからアートワーク制作のオファーを頂いた時は、「よし、やるぞ!」と胸が熱くなりました。自分が情熱を注いでいるものが、はっきりとリンクしていましたから。
そこからは、ブランド側と何度も話し合いの機会を持ちました。全体テーマについてはもちろん、日本の浮世絵の歴史をアピールするにはどうすればいいかや、ビジュアル的にどのようなタッチにするべきかについても。

「ダンヒル」のチームは、最高の作品を生み出せるよう、献身的にサポートしてくれました。私の作品を熟知していたし、日本サッカー協会(JFA)ともうまく橋渡しをしてくれたのもありがたかったですね。

私はどんなプロジェクトも「自分の最後の作品になるかもしれない」という気持ちで臨んでいます。「ダンヒル」とのコラボレーションは、サッカーとファッション、そしてアートの世界を自分なりにつなぎ、力の限りを出し尽くした最高作にしたいと思っていました。コンテンポラリーな感覚と伝統美のバランスをとるのは常に大きな挑戦なのですが、今回は達成できたのではと感じています。
▲SHOGUN KGー将軍狼  (c)Andrew Archer
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スポーツと日本のカルチャーをつなげる作品を作り続けたい

新しい企画の依頼があったら、何を伝えることが求められているのか、そしてそれが自分のパッションと結びついたものかをまず考えます。常に6種類ほどのプロジェクトを同時進行していて、今現在でいうと、パラリンピックと「ブリヂストン」とのコラボレーションや、ミュージシャンのアルバムカバー、NBAに絡んだ作品など。

パラリンピックは、アスリートたちの東京大会へのそれぞれの道のりにフォーカスした作品になる予定。いちスポーツファンとしては、この上ない幸せです。

その一方で、時間に余裕がある時は、日本の文化や歴史をバスケットとリンクさせたパーソナルな企画「Edo-Ball」も進めています。2014年から続けていて、作品をまとめたビジュアルブックも作ったくらい、私にとっては大切なプロジェクトなんです。

「ダンヒル」とサッカー日本代表とのコラボレーションもそうですが、スポーツと和のカルチャーをつなげる橋渡しは、これからも意欲的に取り組んでいきたいですね。

●Andrew Archer (アンドリュー・アーチャー)

ニュージーランド・オークランド出身。メルボルン在住。ポップカルチャー、シュルレアリスム、アジアの文化に触発された独特のスタイルが世界的に評価される。これまでに「Nike」「ブンデスリーガ」「ソニー・ミュージック」「ニューヨークタイムズ」など様々なクライアントとコラボレーション。パーソナルプロジェクト「EDO-BALL」のビジュアルブック『EDO BALL THE ART OF BASKETBALL』が発売中。https://www.andrewarcher.com

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