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2020.08.03

■三浦崇宏/The Breakthrough Company GO代表取締役×石井洋/LEON編集長

【対談】広告界の風雲児が語る、カッコいい大人論

いま広告・PR業界の風雲児といえば、この方、The Breakthrough Company GO 代表取締役 PR/CreativeDirector三浦崇宏さんです。掟破りの広告で話題をさらってきた氏ですが、著書「言語化力」や「人脈なんてクソだ」、Twitterでつぶやかれる「パンチラインの効いた言葉」には多くのファンがいます。そんな三浦氏に聞きました「大人のカッコいいってなんでしょう?」

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写真/大森 直(tablerock) 文/井上真規子

カッコつけないことこそ、カッコいい!

先の見えない混沌とした現代にあっても、覚悟をもって社会と対峙しているカッコいい大人を編集部の目でピックアップし、ご紹介していく今回の特集。まず最初にご紹介するのは、「これまでの広告会社ではできないことをやる」という信念のもと、2017年にThe Breakthrough Company GOを創設したクリエイティブディレクターの三浦崇宏さんです。
ドラマ化もされた人気漫画「左利きのエレン」と朝日新聞とJINSのコラボでブームを起こした朝日新聞のプロジェクト、企業向け社会課題解決型の広告サービスや、コロナ渦で困窮する企業や自治体にアイデアとノウハウを無償提供するプロボノ活動を行うなど、数々の挑戦で話題を集めてきました。

さらに個人のクリエイターとしても、カンヌライオンズや日本PR大賞など多数の受賞歴を持つ、広告界でも注目の若き獅子です。業界の常識を打ち破り、情熱と覚悟を持って挑戦を続ける三浦さんは、まさに編集部が思う「カッコいい大人」そのもの。社会人として、リーダーとして、オトコとして、カッコいい大人であるために、三浦さんは何をモットーにしているのか? 石井洋編集長が聞いてみました!
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怖い大人ってまだたくさんいて、僕は怖い大人にたくさん触れておくべきだと思ってるんです(三浦)

石井 「本日はありがとうございます! 今回、カッコいい大人に話を聞きたいというところから、僕らの中で三浦さんが真っ先に浮かんできて。LEON.JPを読んでいる働き盛りの世代に、三浦さんの発信する言葉や実行力に感化されてほしいと思って、今日はお話を伺いに参りました」

三浦 「それはありがとうございます。うれしいですね!」

石井 「まず伺いたいのは、三浦さんが思うカッコいい大人像、もしくは実在のカッコいい人を教えていただきたいです」

三浦 「わかりました。ちなみに、大人ってレオンでいうと何歳くらいなんですか? 僕はいま36歳なんですけど、レオン世代からしたらまだまだひよっこですよね、きっと」

石井 「確かに若い方ですけど、レオンだと下は30代から、上は60代まで幅広く考えていますね」

三浦 「そうなんですね。僕が大人と接してよく思うのが、特に60代の人って、臆せず危険なことをさらっと言ったりするな、と。こないだ対談させてもらった糸井重里さんや見城徹さん、秋元康さんとか、自由にやって成功している人たちってみんな60代以上なんですよ。彼らは後輩からすると、いろんな意味でちょっと怖い(笑)。こういう怖い大人って、まだたくさんいて、僕は怖い大人にたくさん触れておくべきだと思ってるんです」

石井 「なるほど〜、確かにその世代の人たちってパワーとバイタリティがすごいし、ある種なんでもありな部分を感じることはありますね」
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三浦 「僕はよく、クリエイターの世代論を語るんですが、世代ってすごくあると思っていて。60代は、戦後の焼け野原でインターネットもない時代に育って、好きなことをやれてきた人たち。で、50代はジャンルを確立した人たちです。僕の周りでいうと、テレビの鈴木おさむさんや、デザインの佐藤可士和さん、PRの嶋浩一郎さん。良くも悪くもジャンルに縛られながら、責任感を持って大人をやっている。彼らが切り拓いてくれたおかげで、僕ら30代が活躍できるようになりました。ただ、40代は元気がないように思います」

石井 「僕も40代ですが、それは出版業界を見渡してもそうですね。そこを盛り上げていきたいというのも、今回の企画意図としてあります。ほぼ日の対談は僕も拝見しまして、伝わってくる部分もありましたが、糸井さんは怖い大人だったと(笑)」

三浦 「糸井さんは広告の先輩ですが、業界を卒業されてから、現役の広告クリエイターとはあんまり対談してないはずなんです。それで、僕のファンだというほぼ日の編集者に呼ばれて、うれしいなと思って糸井さんのところへ伺ったら、君は誰?っていう空気で(笑)」

石井 「その空気は確かに感じました(笑)。でも、実は糸井さんは三浦さんのなんたるかをある程度知りつつ、あえてホームで繰り広げたのかな?と思ったり」

三浦 「用意周到な方なので、もちろんある程度は予習されていたと思います。ただ、それ以上にあのクラスの方なので、一瞬で僕の実力も見抜かれたと思います。僕は柔道をやっていましたが、組みあった瞬間に相手の実力って大体わかるんです。そういう感じだと思います」

石井 「それは、達人の域ですね」
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嶋さんは、カッコつけることが、いかにカッコ悪いことかってことかがわかっている人(三浦)

三浦 「それで話を戻しますが、僕がカッコいいと思う大人は、先ほども話に出ましたが博報堂ケトルを立ち上げた嶋浩一郎さんなんです。僕は博報堂出身ですが、嶋さんは元々会社の先輩で師匠筋にあたる人です。仕事を一緒にしたことはないのですが」

石井 「嶋さんは、僕も何度か食事に行かせていただきました。面白い方ですよね」

三浦 「僕が思う嶋さんのカッコいいところは、カッコつけないところ。僕の今の部下が入社前から、たまたま嶋さん行きつけの京都のバーで顔見知りになっていたらしくて、入社するまで嶋さんのことを“バーによくいるパンが好きなおじさん”だと思ってたんですよ(笑)」

石井 「(笑)」

三浦 「あと産業医の大室正志さんも、嶋さんのことを、本ばっかり読む仕事しない社員で、たまに得意な分野にハマると頑張る特命係長みたいな存在だと思ってた(笑)。つまり、彼は人に『俺ってすごいだろ?』って話を絶対しないんです。僕と初対面の時も、仕事の話すらしなかった。最年少で博報堂の執行役員になるほど、社内では大エースのすごい人なのに。カッコつけることが、いかにカッコ悪いことかってことがわかっている人なんです」

石井 「お〜!いただきました! 確かに僕がお会いした時も、ずっと寝台列車の話をされてました(笑)。そういう、実はすごい人なんだ、って気づかされた時に感じるカッコ良さって、確かにありますよね。でもそれって、いちばん喧嘩が強い人のパターンじゃないですか?」

三浦 「そうそう、漫画に出てくる超強いおじいちゃんキャラみたいな(笑)。僕は臆病だから、ついぽろっと『俺は』を言っちゃう。飲み屋で知り合った子とかに、『俺やるよ?』的な。それが本当に恥ずかしいことだって数年前から気づいているのに、臆病だから言ってしまうんです」

石井 「嶋さんには、それがまったくない」
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三浦 「そう、だから嶋さんは本当にカッコいいなぁと思うんです。自分は経営者になった今も、あの境地には全然至れてないです。ただ、そこを目指す一方で、自分には“かますこと”がむしろ必要な場面もあると思ってて。『君は誰?』から始まることも、まだたくさんありますから」

石井 「そうですね。カッコつけないことが、嶋さんのカッコの付け方かもしれないですね」

三浦 「でも勘違いしないで欲しいのは、嶋さんは決して言いたくないわけじゃないんですよ。だって、よいしょするとうれしそうだし、僕と2人の時とかはちょっとだけどやってくる(笑)。『こないだ、オレ、いい仕事したな〜、あれ』って。あれ、言いたいんじゃん!みたいな(笑)」

石井 「本当はかましたいけど、かまさない(笑)」

三浦 「それっていかに、自意識をコントロールするかだと思うんです。嶋浩一郎の『かましたい欲はあるけど、それを出さないことこそがカッコいい』という自意識は、非常に重みがあります」

石井 「そのカッコ良さって、嶋さんとキャラは違えど三浦さんにも感じますね。著書やSNSを拝見すると強気なイメージに映るけれど、お会いしたらとても礼儀正しくて想像とは全然違う」

三浦 「ありがとうございます。僕も含めて、表に出る人で臆病じゃない人って実はいないと思うんです。その中で“自分のカッコいい”をどういう形で追求できるか。繊細かつ丁寧に自意識をコントロールしないと自意識に食われちゃうし、かといって、ある程度なければ前には進めません。だから30歳をすぎたら、自分の自意識とどう戦うかが、大きいテーマになってくると思います」

石井 「自分なりのカッコいいを追求していく上で、自意識をどうコントロールしていくかが重要になると」

三浦 「出典は別にあると思いますが、元プロレスラーの前田日明が『カッコいいということは、なんてカッコ悪いんだろう。カッコ悪いというのは、なんてカッコいいんだろう』と言っていて。カッコつけないことこそ、最高のカッコつけだなと僕は思います。まだうまくできていないですけど、頑張っていきたいですね」
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呼ばれてないお座敷について、現役の芸者が語るのは本当に恥ずかしいこと(三浦)

石井 「一方で、僕がカッコ悪いと思うのは、誰かを落として自分を上げるスタンス。しかもそれを、表明しちゃってる人までいる。いいじゃねーかよ、そんなの。って思っちゃいますね」

三浦 「誰かを批判している暇があったら、自分のできることをやるべきですよね。僕はSNSでも絶対に人を批判しないようにしてます。よく炎上した広告とかについて、三浦さんはどう思います? とか聞かれるんですけど。言いたいことはたくさんあるし、褒めるのはいいですが、『俺だったらこうした、ここがよくない』とかっていうのは、めちゃくちゃカッコ悪いなと」

石井 「本当にそう。安全圏から地味な小石だけ投げて、チクチクやるのって本当にカッコ悪い」

三浦 「呼ばれてないお座敷について、現役の芸者が語るのは本当に恥ずかしいことだし、道端でうんこするよりカッコ悪い(笑)。お前、そもそも呼ばれてもないよ?っていう」

石井 「リングに上がってすらないですからね」

三浦 「そうなんすよ。それについては常々自分でも気をつけてますし、その姿勢は会社のメンバーにも伝わってるんじゃないなかと思います。自分の場合は、仕事で証明していくしかないと思ってます」

石井 「僕は、三浦さんから『リングに上がってから』ってスタンスをすごく感じてて。今日いるこのリングもそうですけど。三浦さんは自分でリングを作っちゃうし、誰もいないところにもリングを作ろうとするじゃないですか。コロナ禍で困窮する企業や自治体にアイデアとノウハウを無償提供するプロボノ活動「プロブレ」もそう。売上規模の大きい会社ではできないことを、GOでやります!って、社名そのままのことをやったところがすごい価値だなと」

三浦 「本当にそうっすね。そのあといろんな会社が真似してくれたのも面白かったです。まずは自分に何ができるか? ってことに集中するのがすごく大事。かますのも全然いいんですけど、自分ができないことを言っても仕方ないじゃないですか。じゃあ、お前はできるの? ケツ持てるの? っていうことを、常に自分に問いかけ続けてますね」
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コロナ禍で「カッコいいことってすごく大事なんだ」ってみんなが気づいた(三浦)

三浦 「それと、僕は今回のコロナで良かったこともあったなと思ってるんです。『カッコいいことってすごく大事なんだ』ってみんなが気づいたことです。コロナについての演説で、世界中のリーダーが話す映像が流れました。イギリスのエリザベス女王やボリス首相、ニューヨークのデブラシオ市長とか、ニュージーランドの政治家ジャシンダさん……。みんな、めちゃくちゃカッコ良かったですよね。だから、人々は彼らの言うことに従ったんだと思います。カッコいいから、素敵だから、ついていこうと」

石井 「それは本当にそうですね。とてもエモーショナルでした」

三浦 「だから今回のことで、日本に政治家になりたい若者が増えたんじゃないかな。カッコ良くて、きちんと結果を出している世界中の政治家や偉い人を見たから。転じて日本の政治家は、正しいことを言って頑張っているかもしれないけどカッコ悪い。これでは人がついてこない。人がついてくるかどうかは、理屈じゃなくて感覚や感性ですから」

石井 「日本では吉村さんのリーダーシップが注目されましたけど、基本的には日本の政治家をカッコいいと思えない人がほとんどでしょうね」

三浦 「もちろん感性や感情に偏って民衆が動くのは、結果的に地獄に進んでいく可能性もあって、リスキーなことでもあります。ただそれを認識しつつも、人々に影響力を与え、社会を動かすために、カッコいいということがとてつもなく重要だってことがわかったわけです。実際、リーダーがカッコ悪いと裏切られた気分になりますよね。なんでこんなやつについて行かなきゃいけないの? って」

石井 「国民や世界に等しく訪れたものに対して、みんながある程度いい方向に動こうとしたのは、あのエモーションがあったからでしたよね」

三浦 「そうです。みんな、カッコいい人についていきたいし、それが正しい正しくないを越えていく。だからリーダーがカッコつけることは義務であり、仕事すること以上に大切だと思うんです。マネジメント本を読んでどうでもいい小手先のスキルを身につける暇があったら、話し方や行動、ファッションまで、自分なりのカッコいいを突き詰めていくべき。そうすれば部下にもちゃんと伝わるはず。その部分が、日本のリーダーたちが世界のリーダーから学ばなければいけなかったことなんじゃないですかね」
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石井 「それって覚悟や矢面の話と似てますよね。20代、30代から、自分なりのカッコつけ方を極めようとする意識を持っていれば、最終的にカッコいいと言われるオヤジになれそうな気がしてきます」

三浦 「そうだと思います。ただ、リーダーって恐ろしいことに後ろ姿しか見てもらえない。だからこそ、カッコつけなくちゃいけないんです。後ろ姿ってすぐだらしくなくなるから」

石井 「この人、実はビビってんなとか見透かされますよね」

三浦 「背中はコントロールできないですからね。一生懸命やらないと。そういえば、こないだ博報堂時代の先輩に『三浦って後ろから見た方が太ってるね』って言われましたけど(笑)」

石井 「そういうカッコいいってことも含めて、三浦さんは今後どうなっていきたいですか?」

三浦 「今は、言わないカッコ良さはまだかなと思いつつ……。個人的には、先の話になりますが占い師みたいになりたいなと。政財界の大物が困ったら、みんな相談に来る人っているじゃないですか。たとえば首相に『オリンピック2021年の開催どう思う?』って聞かれて『やめた方がいいと思うよ〜、そんな気がする』って答える人、みたいな(笑)」

石井 「フィクサーとかじゃなく、占い師なんすね!(笑)」

三浦 「クリエイティビティやセンス、ユーモア、豊かさとか、理詰めではない、人々の気持ちに立った文化的な判断軸で大きい意思決定に関わるような仕事をしたいんです。もちろん、今の会社でも文化を発信する側の人間として、理屈と効率だけではないものこそが人々を豊かにする、ってことを証明し続けていきたいですね」

石井 「そういう意思決定をする人って、日本の政治や経済に全然いないような気がします。ファッション業界も、意思決定する側に人がいないからコロナで苦労したって話もあって。意思決定側に、感性や豊かさが大事って言ってくれる偉い人がいたら違ったんだろうなと僕も思っていました。三浦さんがいつか占い師になるのを楽しみにしていますね!」

● 三浦崇宏(みうら・たかひろ)

The Breakthrough Company GO 代表取締役 PR/CreativeDirector。2007年 博報堂入社、マーケティング・PR・クリエイティブの3領域を経験、TBWA \HAKUHODOを経て2017年独立。「表現をつくるのではなく、現象を起こすのが仕事」が信条。Cannes Lions、PRアワードグランプリ、ACC TOKYO CREATIVITY AWORDS グランプリ/総務大臣賞など受賞多数。著書『言語化力(言葉にできれば人生は変わる)』(SBクリエイティブ)がAmazonのビジネス書ランキングで1位に。近著に『人脈なんてクソだ(変化の時代の生存戦略)』(ダイヤモンド社)。東京大学、早稲田大学、筑波大学などで講師実績あり。

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