2025.07.20
菜々緒インタビュー。「最初のお芝居はずっと泣いている役。へたっぴでしたけど、すごく楽しかった」【前編】
今回のゲストは大ヒットドラマの劇場版第2弾となる劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』(8月1日公開)に看護師・蔵前夏梅役で出演する菜々緒さんです。過酷な撮影現場の裏側から、菜々緒さんの意外なプライベートまでたっぷりお話を伺いましたよ。
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インタビュー/樋口毅宏 文/井上真規子 写真/トヨダリョウ スタイリング/倉田 強 ヘアメイク/浦上祐子(ARTS) 編集/森本 泉(Web LEON)

今回のゲストはトップモデルから女優に転身し、第一線で活躍を続ける菜々緒さんです。個性豊かなキャラクターを演じるたび、抜群の存在感で多くのファンを魅了してきた菜々緒さんの最新出演作で、大ヒットドラマの劇場版第2弾となる劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』が8月1日から公開されます。大規模な火山噴火が起きた南海の離島を舞台に、オペ室を搭載した特殊車両NK1を乗せたフェリーで、MERのメンバーが島民救助に向かうという壮大なストーリー。過酷な撮影現場の裏話から、菜々緒さんのプライベートまで、樋口さんがたっぷりお話を伺ってきました。
「夏梅を演じられたことはすごくありがたかった」(菜々緒)
菜々緒さん(以下、敬称略) ありがとうございます(笑)。よろしくお願いします。
樋口 劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』が公開されます。菜々緒さんは、ドラマシリーズ「TOKYO MER」(2021年放映)から看護師長・蔵前夏梅(くらまえ・なつめ)役を演じられていますが、すごくいい役どころを得られているなと思いました。シングルマザーでありながら、人の命を救うために過酷な救命救急に挑んでいくという。
菜々緒 今までは、勝ち気な悪役みたいな強いキャラクターを演じることが多かったんですが、夏梅のような強さの中にも優しさがあって、信念をもって誰かのために頑張る女性を演じられたことは、すごくありがたかったです。

菜々緒 「こんなに大変な撮影は今までなかった!」って、全員口を揃えて更新しちゃうんです!
樋口 あれだけ物が倒れたり、瓦礫が転がっている中で撮影するのは本当に大変ですよね。手術シーンも、カメラを回すだけでどれだけの時間がかかっているんだろうって。
菜々緒 本当に。それで撮影に丸1日、丸2日かかったシーンがすごく短いシーンに編集されてたりするので、もう膝から崩れ落ちそうになります(笑)。
樋口 ワハハ(笑)。あの苦労が⁉ って。
菜々緒 そう! その連続ですね。
菜々緒 そうですね。血眼になりながらも頑張っているエネルギーみたいなものは、映像を通してみなさんに伝わっているんじゃないかなと。だから楽しんでいただけることを糧に頑張るしかないですね!

「自分の中に眠っていた男心がくすぐられた」(樋口)
菜々緒 そうですね。撮影現場はリアリティを追求してるので粉塵などで空気が悪かったりする場面もあって、
どうしても心身的な負担を感じる瞬間はあります。だから自己管理をしながら乗り越えるしかないんですが、そんな中でも座長の鈴木さんはいつも穏やかで、温かい空気感でいてくれるので本当に救いになっています。主演の方の立ち居振る舞いや雰囲気って伝播するんですよね。
樋口 そうですよね。MERはシリーズが進むたび、次から次へとチームに困難が襲ってきて壁はどんどん高くなっていきます。今回脚本だけ読みましたが、本当に絵になっているのか⁉ って心配になりました。
菜々緒 それ、私も毎回思ってるんですよ(笑)。ドラマでも、「これどうやって撮るの?」がまず最初に来るんです。「火山?え、どうやってとるの?」って。
菜々緒 だからこそすり合わせがすごく大切なんです。今回の劇場版では火山の噴火現場が舞台になっていて、実際には目の当たりにできない状況での撮影だったので、絵コンテを使いながらディスカッションで擦り合わせて芝居に落とし込んでいきました。
樋口 本当に綿密な計画の上に成り立っている作品なんですね。

「絶対にセーラームーンの座は譲らない」(菜々緒)
菜々緒 小さい頃は、レジ打ちをしている人がカッコよく見えていました。機械を操ってる感じに憧れて。幼稚園の時はセーラームーンにドハマりして、セーラームーンごっこでは「絶対にセーラームーンの座を譲らない女」になってました(笑)。他の役だったら絶対やらない! みたいな。
樋口 セーラームーンはめちゃくちゃ似合ったでしょうね。
菜々緒 いえいえ。でも、その時から我が強い女ではありましたね。
樋口 ワハハ(笑)。
菜々緒 幼稚園に行く前、毎朝お母さんにセーラームーンと同じ“うさぎちゃんヘア”にしてもらっていたんですが、(出来が)気に食わないと幼稚園で朝からギャンギャン泣いたこともあったり(笑)。こだわりが強かったんですかね。やりたいことは絶対やりたいし、欲しいものが手に入らないと悔しくて泣いたりしてました。
菜々緒 もういい大人なんで、さすがにそんなことはないかと思います(笑)。
樋口 先ほども菜々緒さんの撮影姿がめちゃくちゃカッコいいというお話をしたのですが、ここに至るまではやっぱりすごく努力されてきたんですか? それとも最初からできちゃった感じですか?
菜々緒 モデルのお仕事は20代からやっていて、やりがいも感じていたのですが、もっと自分らしくいられる場所を探していたのかもしれません。

菜々緒 東京ガールズコレクション(2009年)のミスコンでグランプリをいただいて、バラエティに出る機会がすごく増えたんです。その中のある番組の企画で私の母がサプライズで持ってきた手料理を、私が泣きながら食べたことがあって。それをドラマのプロデューサーさんが見て初めてドラマに出演する流れになったんです。
樋口 そうなんですね!
菜々緒 それで実際にお芝居してみたら、すごく楽しくて。へたっぴでしたけどやりがいを感じて、役者の道にガラッと軌道修正しました。自分の感じた違和感や直感はあながち間違いじゃないなって思いましたね。
「周りの役者さんのいい所をどんどん盗んで習得していった感じ」(菜々緒)
菜々緒 もつ煮込み(笑)。もつ煮込みを食べながら、うれしくって泣きました(笑)。
樋口 映画関係の人たちも、お母さんが作った料理を娘が泣きながら食べるというのは見たことあるでしょうけど、もつ煮込みというのはインパクトあったでしょうね。
菜々緒 ですよね‼ 漫画がドラマ化された作品※で、ずっと泣いてる役があって(笑)。その役に抜擢されたんです。
菜々緒 ありがとうございます。でも最初は本当に専門用語もまったくわからなくて、「台本のしろみ」(※)とか言われても、しろみ? って聞き返すような状態。現場で、周りの役者さんのいい所をどんどん盗んで習得していった感じでしたね。

菜々緒 吸収するのはうまいのかもしれないですね。
樋口 どんどん上がっていって、そのまま俳優をこなせるってすごいです。それにしても菜々緒さんって二次元だけの世界では収まらない人ですよね。声も圧倒的にいいじゃないですか。すごい男前。全人類を代表して言ってます!
菜々緒 こんなに褒められるなんて、すごいうれしいんですけど(笑)、ありがとうございます。
※後編(7/22日公開)に続きます。

● 菜々緒(ななお)
1988年10月28日生まれ、埼玉県出身。身長172cm。2009年より本格的に芸能活動を始め、ドラマ・映画・CM等幅広く活躍中。最近の主な出演作は、NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」、「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日系)、「Missデビル 人事の悪魔・椿眞子」(日本テレビ系)、「忍者に結婚は難しい」(フジテレビ系)、「無能の鷹」(テレビ朝日系)、劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』、映画『怪物の木こり』、『七人の秘書 THE MOVIE』など。7月4日に映画『キャンドルスティック』が公開。「NANAO OFFICIAL FANCLUB」はこちら。

● 樋口毅宏(ひぐち・たけひろ)
1971年、東京都豊島区雑司が谷生まれ。出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ケ谷』で作家デビュー。11年『民宿雪国』で第24回山本周五郎賞候補および第2回山田風太郎賞候補、12年『テロルのすべて』で第14回大藪春彦賞候補に。著書に『日本のセックス』『二十五の瞳』『愛される資格』『東京パパ友ラブストーリー』『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた』など。妻は弁護士でタレントの三輪記子さん。最新刊で初のノンフィクション作品となる『凡夫 寺島和裕。「BUBUKA」を作った男』(清談社)が好評発売中。雑誌『LEON』で連載した小説「クワトロ・フォルマッジ-四人の殺し屋-」も単行本化予定。
SNS/公式X

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』
2021年にTBS日曜劇場枠で放送された「TOKYO MER~走る緊急救命室」は東京を舞台に最新の医療機器とオペ室を搭載した緊急車両(ERカー)で、危険極まりない重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、負傷者にいち早く救命処置を施す救命救急のプロフェッショナルチーム「TOKYO MER」の活躍を描くドラマ。その劇場版第2弾として公開されるのが本作。TOKYO MERの活躍が高く評価され、全国の主要都市である札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡に新たなMERが誕生。その一方で沖縄・鹿児島では離島地域に対応できるMERの誘致活動が活発化。指導スタッフとしてTOKYO MERの喜多見チーフ(鈴木亮平)と看護師の夏梅(菜々緒)が派遣され、オペ室を搭載した中型車両=NK1を乗せたフェリーで、離島での事故や災害に対応する南海ERの試験運用が開始されていた。注目を集めた南海MERだったが、運用が決まってから半年間が経過しても、緊急出動の要請はゼロ……まったく実績をつくることが出来ず、廃止が決定的な状況となっていた。そんな中、鹿児島県・諏訪之瀬島で突如として火山が噴火! 大規模医療事案として南海MERの初出動が決まる。溶岩が村を焼き尽くし、多くの噴石が飛び交うすさまじい状況。噴煙のため、ヘリコプターによる上空からの救助は不可能。そして海上自衛隊や海上保安庁の到着も数十分後という絶望的な状況……。しかし南海MERは、島に取り残された79名すべての命を救うために、絶体絶命のミッションにい挑む。
8月1日(金)全国ロードショー
公式HP/劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
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