2025.05.10
第5回 常盤貴子 【vol.03】
美しい人、常盤貴子。「夫とはタイプが全然違うけど、だから面白く暮らせているんだと思います(笑)」
大人の女性の美しさに迫るグラビア連載「美しい人」。第5回目に登場いただくのは常盤貴子さんです。かつて連ドラの女王とも呼ばれいくつものトレンディドラマでヒロインを演じた常盤さん。今も幅広く活躍する一方、旅や日々の暮らしを自在に楽しむ姿が支持を得ている常盤さんの「美」の秘密とは?
- CREDIT :
文/渡邉朋子 写真/野口貴司 スタイリング/𠮷村結子 ヘアメイク/板倉タクマ 編集/森本 泉(Web LEON) プロデュース/Kaori Oguri




【interview 03】
夫はとにかく話しかけてきます、たとえヘッドホンをして台本を読んでいても(笑)
常盤貴子さん(以下、常盤) 連ドラが続いた後、しばらくは映画のお仕事が多くなって、その中で大林宣彦監督や東陽一監督というザ・映画人みたいな方たちとご一緒することで、監督が作り出す世界の一部になれる喜びが自分の中で強くなっていきました。

それは、私自身が監督の大ファンで、一ファンとしても素敵な新作を観たい、という思いがあったからだと思います。だから使えるものがあったらなんでも使ってくださいという意識に変わってきた気がします。

常盤 そうなのかなぁ。でも、確かにお受けする、お受けしないは「人と人が出会うかどうか」なので真剣に考えます。1回信じたものはとことん信じて突き進むけれど、そこまではすごく悩みます(笑)。
── そういう意味では、劇作家で演出家でもある夫の長塚圭史さんの作品であれば信頼関係もできあがっていて、迷うこともなさそうですね。
常盤 でも、最初は「お金ないんだけど出てくれないかな?」でしたからね(笑)。

常盤 よく取材とかで「舞台、映画、ドラマの違いって何ですか?」って聞かれていたんですが、私自身もよくわかってなかったんです。でも、舞台を知ることによって、特に夫の舞台を知ることによって、舞台ってこうだからおもしろいんだと思えたところはあって。というのは、例えばお茶を飲んでいるシーンがあったら、映画だとそこにマグカップとかがないと成立しないじゃないですか。だけど舞台だと、カップを持つ動作をしたら、お客さんがそこにカップを見てくれる。そういうお客さんと演者との信頼関係の中で成り立っているのが舞台なんだなと知ることができたんです。

そういう意味で、夫にはすべての意識を変えてもらえたというか。だから舞台ではそういう、ならではの面白さを感じられる作品をやりたいと思うようになったし、夫の舞台はそのようなものが多いんですね。長屋のシーンと言っても、長屋のセットを組むんじゃなくて、「ここは長屋です」って誰かが言うことによって、長屋として見せるみたいな。そんな風にお客さんを信じて世界を作っているところが楽しいなって。

常盤 あります。実際問題、家のこともあるのでね。例えば地方に1カ月行くとなると何かとお願いしなくてはいけないことも出てきてしまうし。特に舞台のことに関しては、当然私より詳しいので、私は割と相談するし、逆に向こうに映像の依頼が来た時には、私に相談をしてくれることもあります。

常盤 全然しますよ(笑)。でもお互い尊重しあっているので、聞かれたら答えるっていうくらいですかね。
── ご結婚されたことでご自身の中で変化したと思う部分はありますか?
常盤 私、本当に不器用で昔から台本を読むのも無音じゃないと読めなかったんです。だから何かをやってる時に話しかけられるのも得意ではなかったんだけど、彼は陽気に喋りかけてくるんですよね(笑)。たとえ話しかけられないように大きなヘッドホンをつけて台本を読んでいても話しかけてくるの(笑)。このヘッドホンが見えないの? って思うけど、彼には……見えてないんでしょうね(笑)。おかげで心強く台本を読めるようになりました(笑)。

常盤 彼は音があっても全然大丈夫なんですよ。私が話しかけてもまったく無反応で、「あ、今集中してるんだな」と諦めて違うことをしていると、おもむろに「じゃあ、それでいいよ」とか言われて、今のは何の返事? みたいなことがあったり(笑)。
タイプは全然違うんだけど、だから面白く暮らせているんだと思います(笑)。お互いがお互いの影響を受けて。私もちょっとずつ変わってきたかなと思います(笑)。

● 常盤貴子(ときわ・たかこ)
神奈川県生まれ。1991年に女優デビュー以来、「愛していると言ってくれ」、「Beautiful Life」など数々のヒットドラマのヒロインを演じる。2004年に『赤い月』で第28回アカデミー賞優秀主演女優賞、2015年には『野のなななのか』で第29回高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞。ほかにもドラマ「カバチタレ!」、「天地人」、「まれ」、「やすらぎの郷」、「グッドワイフ」、「御上先生」、映画『間宮兄弟』、『魂萌え!』、『20世紀少年』、『花筐/HANAGATAMI』、『海辺の映画館―キネマの玉手箱』、舞台『マクベス Macbeth』、『王将-三部作-』など出演作多数。現在、KBS 京都・BS11・TOKYO MX「京都画報」(ナビゲーター)、NHK E テレ「おとな時間研究所」(司会)に出演中。

俳優・常盤貴子さんによる撮り下ろし・書き下ろしのフォトエッセイ。常盤さんの衣食住を紹介しています。フォトグラファーの撮影によるカラーグラビアも一部盛り込みつつ、エッセイ部分はすべて常盤さんが撮影した写真で構成。また、文章もご本人によるもので、飾らない人柄があらわれた、時にクスッと笑える内容に。「暮らし」「おしゃれ」「美容と健康」「心の栄養」「仕事と私」の5つのテーマを7万字超の文章で綴っており、読みごたえもたっぷりです。
5月16日発売 主婦と生活社刊
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