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2022.08.06

進化するマッチングアプリ最新事情。男女の出会いはどう変わるのか?

アメリカでは結婚したカップルの1/3以上が、出会いのきっかけはマッチングアプリなのだそう。もはやアプリ抜きには恋愛も結婚も語れなくなっている昨今、そのアメリカでアジア人向けのマッチングアプリを大成功させたのが時岡真理子さん。さて、どんな方なのでしょう?

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取材/野呂エイシロウ 構成・文/木村千鶴 

「アメリカでアジア人向けのマッチングアプリを開発して大成功している女性起業家がいるんだけど、興味ありますか?」とご連絡いただいたのは、LEON本誌の連載『それはまた誰かのハナシ』でもおなじみ、放送作家・コンサルタントの野呂エイシロウさん。「もちろんです!」ということで、さっそくご連絡をとっていただいたのが、ニューヨークにお住いのEAST MEET EAST, INC創業者・時岡真理子さん。

時岡さんは米国の大学を卒業後「日本オラクル」に入社。その後、30歳で単身イギリスへ留学し、オックスフォード大学でMBAを取得。DeNAの渡辺雅之氏と教育系モバイルの「Quipper」(2015年、リクルートに45億円で売却)社を共同創業し、2013年からはアメリカで、アジア人に特化したマッチングサービス「EAST MEET EAST」をスタートさせたのです。なぜアメリカでアジア人に向けたサービスを展開したのか、またアメリカでの男女の出会いやマッチングアプリ事情はどうなっているのか、とても気になるところです。

今回はリモートでニューヨークの時岡さんと繋いで、野呂さんにインタビューしていただきました。

アルゴリズムが選んでくる相手は全然マッチしなかった

野呂 時岡さん、今日はよろしくお願いします。

時岡 こちらこそ、よろしくお願いします。

野呂 早速ですが、時岡さんが開発された「EME hive」は、ライブ配信の機能がプラスされたマッチングアプリとして注目を集めていますね。しかもアジア人に向けたサービスということですが。

時岡 はい、弊社のアプリはアメリカ在住のアジア系のユーザーがメインマーケットです。サービスの内容は「ライブ配信型婚活サービス」という形で、写真と自己紹介のテキストでマッチする相手を探す一般的なサービスと、ライブ配信の機能が合わさったものになります。

野呂 サービスはアメリカ国内限定ですか?

時岡 いえ、言語は英語だけですがグローバルに展開しており、イギリスやオーストラリアなどの英語ができる国にいるアジア人の人は、みんなコネクトしてきています。現時点での登録者数は150万人以上、年齢で言うと、一番のスイートスポットは25歳〜35歳、特にライブ配信の利用者は若い層が多いです。
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▲ EAST MEET EAST, INC創業者の時岡真理子さん。
野呂 アメリカだけじゃなく世界中にいるアジア系の人がアクセスしてくるんですね。ところで時岡さんはなぜアジア人に特化して事業を立ち上げようと思ったんですか。

時岡 ロンドンで、DeNAの渡辺雅之さんと教育系モバイルの「Quipper」という会社を共同創業したのが起業としては1社目でした。その頃は仕事が猛烈に忙しかったんですが、プライベートでは落ち着きたくて、海外ではメジャーなマッチングアプリを使って婚活を始めていたんです。そこでは日本人男性とのマッチングを望んでいたのに、大きな意味でのアジア人としてくくられてしまうみたいで、婚活したい相手じゃない人ばかりをアルゴリズムで勧められて、うまくマッチできなかったんです。

野呂 アジアと言っても広いですからね。

時岡 そうなんです。この種のマーケットが巨大化している中で、ユダヤ教徒向けとかインド人向けとか、そういうのが成り立っているのに、なぜアジア人向けに特化したマッチングアプリがないんだろう、同じように苦労している人を助けたいな、と思って2013年にEME hiveの前身となる「EAST MEET EAST」というマッチングアプリのサービスを始めました。
野呂 ご自身の経験を基に事業を立ち上げたというわけですね。確かに海外で婚活や恋活をしようと思ったら、人種の壁は厚いかもしれない。特にアジア人男性の側からすると、白人の女性と付き合うケースってレアなんじゃないですか?

時岡 そうですね、アジア人女性と白人男性のカップルはまあまあいるんですけど、アジア人の男性と白人女性のカップルって圧倒的に少ない。ただ、BTSのおかげで今アジア人男性は大ブームになっています。

野呂 おぉ、BTS、恐るべし(笑)!
 
時岡 とはいえ、2020年の国勢調査でも明らかになっていますが、アジア人の新婚の人は、70%以上がアジア人同士です。日本人はそもそも単一人種なので、自国にいるとそんなに意識しないですけど、アメリカで生まれて育った人とか、幼少期からずっとアメリカにいるような人は、自分と同じカルチャーを持った人と結婚したいという意識が強いんです。私も、“夕食はやっぱりピザやバーガーじゃなくて似たようなアジア食を食べる人がいい”と思いましたから。

野呂 確かに(笑)。結婚するとなると、文化の違いは気になりますよね。

時岡 現在はアジア人だけではなく、ラテン系や黒人、LGBTQなど、あらゆるマイノリティの方にも向けて事業を拡大しています。
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野呂 それは素晴らしい。ところで、なぜマッチングアプリにライブ配信機能をプラスされたんですか? 日本にも一般の人が配信者になるライブ配信のアプリはいくつかありますが、マッチングアプリと融合されたものは聞いたことがないです。

時岡 始めた頃はライブ配信はしていなかったんですが、2018年頃だったか、中国人のユーザーさんから「中国に帰った時にはライブ配信のアプリを使う」と聞き、調べてみると何千億円という時価総額のアプリになっていることがわかったんです。当時、アメリカにはアプリでライブ配信を行うというアイデアがあまりなかったし、マッチングで使うとすごくいいなと思って。それが転機となりました。

野呂 写真とプロフィールのテキストだけでは、実際に会うとイメージと全然違う人が来るってことありますよね。

時岡 そうなんです(笑)。ライブ配信はルックスで嘘をつけないですし、あと、話し方で性格などもわかりやすいんです。それで導入したところ、ユーザーさんのアクティビティが圧倒的に伸びました。
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出会いにおいてマッチングアプリはすでに社会インフラ

野呂 ところで今、アメリカでのマッチングアプリ事情ってどうなっているんですか? 国土も広いし、効率を考えても利用する人は多いとは思いますが。

時岡 コロナ禍は大きなきっかけでしたが、終息に近づいた今でも、アメリカでは生活全般でインターネットを利用するスタイルがニューノーマルになってきています。仕事もリモート中心で、スーパーでの買い物も全部デリバリー。人との出会いもやっぱりそうですね。アメリカでは結婚したカップルの1/3以上が、出会いのきっかけはマッチングアプリ。今ではマッチングアプリが社会のインフラ状態になっています。

野呂 そりゃすごい。アメリカではマッチングアプリで出会うのが大常識とは聞いていましたが、すでにインフラとはね! 

時岡 サービスの内容もさまざまで、一般的なものに加え、シニア向けや離婚した人に向けたものまであります。

野呂 なるほど。でもライブ配信となると、コミュニケーション能力が高かったり、見た目に自信があったりする人達が使うものなんじゃないのと思うんですが。アメリカ在住のアジア系の人たちも、気軽に利用しているのでしょうか。
▲ 「EAST MEET EAST」のアプリ画面。
時岡 アメリカは前提としてわりと顔出しがOKなカルチャーかな、とは思います。日本人は元々シャイというのもありますし、前に出ることで叩かれるんじゃないかという、社会的な背景があるとは思うんですが、アメリカではそれがないので。日本人でも長期的に在住している人にとっては、抵抗が少ないというのは感じています。

野呂 なるほど。でも配信はマストではないんですよね?

時岡 はい。見てくれる人がアクティブユーザーの40%ぐらい。自ら配信している人は5~10%ぐらいでしょうか。

野呂 それでも、けっこう高い数字ですね!

時岡 そう思います。ライブ配信には配信者さんと視聴者さんがいるので、必ず全員が配信する必要はないんです。特に男性は見る専門、コメントやバーチャルギフトでコミュニケーションするという人もたくさんいます。なので会話が上手じゃなくても毎回自分が配信した時に見に来てくれて、一生懸命さが伝わってカップルが成立するようなこともあります。華やかなソーシャル、社交性の高い人ばかりの世界ではないです。
野呂 クラブハウスみたいなところだと、あまり物欲しそうにしているのは憚られるけど、こちらはそもそもがマッチングアプリだから、そこも目的がはっきりしていて良いですよね。

時岡 そうなんです。みんな、わかって来ている人たちですから(笑)。

野呂 ライブ配信はマッチングのためだけに利用されているんですか。日本にある一般的なマッチングアプリは、同性間での閲覧ができないようになっていると聞きますが、EME hiveのライブ配信もそうですか。

時岡 いえ、ライブ配信の場合は、グループ交際的な感じで誰でも入れるので、大学のサークルのようなものをイメージしてもらえるといいです。EME hiveはマッチングサービスなので、そもそも「ここで誰かと出会いたい」という思いのある人が、ひとりで利用するもの。なので同性・異性は問わないし、配信してる人も普通の人です。
野呂 必ずしも男女の出会いだけが目的ではないんですね。

時岡 はい。EME hiveのコンセプトは、共通の文化、コミュニティを通じて、大切な友人、恋人に巡り合えるというものです。もちろん配信で知り合い、結婚したユーザーさんカップルもたくさんいますが、それ以外に、世界中のアジア人とつながって生涯の友人ができたという人も大勢います。
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恋愛にバーチャルの世界が入ってきてもいいと思う

野呂 日本では恋愛や結婚に関心のない若者が増えていて、20代男性の7割、女性の5割が恋人も配偶者もいないとの内閣府の調査発表があったのですが、アメリカではそういう傾向って見られませんか。

時岡 そこはやはり、圧倒的に日本の方が大きな問題なんじゃないかと思います。5月にイーロン・マスクが「出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ消滅する」とツイートして話題になりましたが、アメリカはそこまで出生率が低いわけでもなく、やっぱり傾向としては日本の問題なのかなと思います。

野呂 恋愛に積極的になれないなんて、僕には信じられないけどね(笑)。

時岡 でもそういう状況について言うなら、今後はメタバース(仮想空間)内でアバターなどのバーチャルな世界を使用した恋愛にも可能性があるのかなと思っています。シャイで恋愛には積極的になれない方などに寄り添ったサービスが、ライブ配信の延長線上にあってもいいのではないかと考えていたところです。
野呂 いきなり1対1の婚活アプリで、プロフィールと写真をバンっと前に出して……というのはちょっとハードルが高く感じるし、億劫になってしまう人の気持ちはわかります。入り口としてバーチャルの見た目を使えるのであれば、家の中でくつろいだ状態でできるわけじゃないですか。リラックスした状態であれば本音で話せるところもあるのかな、とは思ったりもします。

時岡 確かにくつろいだ状態で話ができるのはいいですよね。実は、実生活ではおとなしく引っ込み思案な人が、ライブ配信のコメント欄で面白く活躍して、注目されている場面をよく見るんです。恥ずかしさがあるならば顔出しはせずに、自分流のアバターでバーチャルに出会えるのはいいアイデアかなと。話せば性格もわかるし、ルックスで差別されることもないですし。

野呂 バーチャルの世界には新しい恋愛の形の可能性を感じますね。恋愛の概念もどんどん広がっていっていいと思うんです。今の時代、コミュニケーションの手段はさまざまですし、リアルに出会って付き合いが進んでいく形だけが恋愛ってわけじゃないですからね。
時岡 そうなんです。テクノロジーを活用して、多様な考えや個性に合わせて人と人が出会えるような、そういう仕組みにスケールすることで、若い人たちの恋愛離れに一石を投じることができるかもしれません。国の少子化対策としても、もう少しテクノロジーを活用した形で、具体的な施策というのが、もっと出てくるといいなと思っています。

野呂 少子化対策として恋愛を勧める、これは面白いかもしれない。今日は貴重な話をありがとうございました!
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● 時岡真理子

1979年生まれ、兵庫県出身。高校卒業後、米国の大学に進学。卒業後、日本オラクルに入社し、30歳の時に英国へ留学。オックスフォード大学にてMBAを取得後、モバイルeラーニングアプリ運営会社 「Quipper」を共同創業。2013年にアジア人向けマッチング・ライブ配信サービス「EastMeetEast」(現、EME hive)をスタートさせる。2019年からアステリア株式会社の社外取締役に就任。

● 野呂エイシロウ

1967年愛知県生まれ。愛知工業大学卒。放送作家・戦略的PRコンサルタント。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。『ザ! 鉄腕DASH!!』『奇跡体験アンビリバボー!』『ズームインスーパー』などにたずさわる。30歳の時から“戦略的PRコンサルタント”としての仕事をスタート。クライアントには「SoftBank」「ライフネット生命」「GROUPON」をはじめ国内外の企業150社以上があり、“かげの仕掛人”として活躍している。著書に『副業は、自己PRがすべて。──「稼ぐ人」が実践する成功戦略』(プレジデント社)、『なぜか「好かれる人」と「嫌われる人」の習慣』(総合法令出版)など。

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