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2019.11.12

【第1回ゲスト】玉城ティナ(女優)

「玉城ティナは一個の強靭な意志。暴力的な女王のようだった」

世のオヤジを代表して作家の樋口毅宏さんが今どきの才能溢れる美人に接近遭遇! その素顔に舌鋒鋭く迫る連載がスタートしました。第1回目のゲストは女優の玉城ティナさん。最近では珍しく映画を中心に活動し、彼女に出てもらいたい監督が列をなして待っているという注目の女優さんなのです。

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写真/中田陽子(maettico)  文/井上真規子 ヘアメイク/今井貴子

『さらば雑司が谷』『タモリ論』などの著書で知られる作家の樋口毅宏さんが、才能のある美しい女性の魅力を掘り出す新連載対談企画「樋口毅宏の手玉にとられたい!」がスタートしました。

初回のゲストは、飛ぶ鳥を落とす勢いで映画界に旋風を巻き起こしている若手女優の玉城ティナさん。樋口さんならではの鋭い舌鋒、視点で、話題の美女の魅力に迫ります。
今年、7月に『Diner ダイナー』、9月に『惡の華』、11月には『地獄少女』と立て続けにヒロイン、主演を務める映画の公開が続く玉城さん。『惡の華』では、強烈なドSキャラの美少女、『Diner ダイナー』では凶悪な殺し屋たちに翻弄されるメイド姿の可憐なヒロインと、映画ごとに多彩な顔を演じ分け、多くの世代を魅了する女優・玉城ティナの素顔とは?

「『惡の華』の仲村役は、この世のものじゃない感じ」(樋口)

樋口毅宏(以下:樋口)  「初めまして。作家の樋口と申します。今日は新連載の第1回目ゲストとして来ていただいてありがとうございます。玉城さんは僕の強い希望でキャスティングしてもらったんでお目にかかれてうれしいです!」

玉城ティナ(以下:玉城)  「こちらこそ、お呼びいただいてありがとうございます。よろしくお願いします」

樋口  「はじめに、先日拝見した映画『惡の華』での玉城さん演じる仲村佐和役には、本当に驚きました!  久々に、すごい女優が出てきちゃったなと。今年は、話題作への出演が目白押しですが、玉城さん自身はどう感じているんですか?」

玉城  「今年は、蜷川(実花)監督の『Diner ダイナー』、井口(昇)監督の『惡の華』など、ヒロインや主演の作品が続きました。どちらもすごく反響が大きかったですね。『惡の華』の仲村役は、私がこれまであまり触れてこなかったキャラクターなので、そこも皆さんから反応をいただきました。原作の押見修造さんは『完璧です!』と言ってくださって、ありがたかったですね」

樋口  「完璧以上でしたね!  玉城さん演じる仲村は、この世のものと思えない感じで。あんまりにもハマり役で、見ている側はティナさんって普段もこうなの?とか思ってしまう人がいると思う」
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玉城  「普段は、仲村ほどエキセントリックではないですよ(笑)。ただ、普通かと言われると、何が普通なのかよくわからないですけど。強いキャラクターに当てはめやすいのは、私自身にそこまで色が付いてないからかなと思います。受ける役を枠に当てはめていくという作業が得意なのかもしれないです」

樋口  「そういう役のキャラクターで誤解されたら嫌だな、とか思ったりしますか?」

玉城  「どう解釈されても気にしないです。世に出したものは皆さんの価値観で受け取ってもらえたらうれしいですし、仲村と私は別物なので」

樋口  「でもこんな若くから主演映画を何本もあるぐらいですから、生まれついての才能が一般の人とは違いますよね。ご自分でも、小さい頃から周囲と少し違うな、という感覚があったのでは?」

玉城  「それは特にないんです。ただ、14歳で沖縄から東京に出てきて、自立は早かったなと思います。沖縄は小さい島なので、当時は早めに出られてラッキーと思っていました。今は沖縄の魅力もよくわかりますが、沖縄だけというのはどのみち、なかったと思います」

樋口  「『惡の華』で、主人公たちが、映画では山の世界ですが、閉鎖された空間に閉じ込められて行き詰まって、飛び出したい、と願っていたという感じに似ている?」

玉城  「そうですね。多分地元でずっと生きていく人とそうできない人がいて、私は後者だったんだと思います」
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「女優は出会い。玉城に演じさせたい!と思う人と仕事がしたい」(玉城)

樋口  「ルックスも優れているし、人から見られる世界に入るだろうという予感はあったんじゃないですか?」

玉城  「別になかったです(笑)。自分のことを特別可愛いとか思って生きてきたわけじゃないんで……」

樋口  「そうなんですか!? これ、どう突っ込めばいいかわからないけど(笑)。初めて見に行った映画とか、女優になろうと思った契機みたいなものはあったんですか?」

玉城  「初めての映画は覚えてないです(笑)。最初はモデルとしてスタートして、その過程で今の時代は色々選択肢をもっているべきじゃないかと考えるようになって。学校の芸能コースでは、周囲が当たり前のようにお芝居をしていて興味をもったのもありました。単純に女優という職業が面白そうと思ったのも大きいと思います」

樋口  「監督や俳優で、お気に入りの人はいますか?」

玉城  「デビット・フィンチャー監督の作品はよく見ます。あと、ラース・フォン・トリアー監督なんかも好きですね。最新作がドギツかったのであまり言いたくないんですが……」

樋口 「ほぉ! それは意外で驚きました。デビット・フィンチャー監督は僕も好きです。『セブン』とか『ファイト・クラブ』とか。ラース・フォン・トリアー監督だと何が好きですか?」

玉城  「ニコール・キッドマン主演の『ドッグウィル』です。セットを設けずに、線が描れただけの録音スタジオで演じるという実験的な映画。17歳の頃に観て、すごく記憶に残っています。アジアなら、イ・チャンドン監督がいいなと思います。つらい境遇の役でも、女優を綺麗に撮ってくれるから」

樋口  「『シークレット・サンシャイン』とか、まさにそうですよね。主演のチョン・ドヨンも魅力的でした」

玉城  「『シークレット・サンシャイン』はお気に入り映画3本に入るくらい好きです!  チョン・ドヨンが輝いたのも、やっぱり監督がすごいんだろうなって。女優というお仕事は、やっぱり出会いです。玉城に演じさせたい!と思ってくださる方とお仕事がしたいですね。『惡の華』の仲村役が来た時、はじめは驚きましたが、周りからはぴったりと言われて。じゃあそうなのかなって(笑)。演じられて楽しかったですね」

樋口  「井口昇監督とは幸福な出会いでしたね」

玉城  「そうですね。井口監督のことはとても信用していて、撮影中も絶対的存在でした。演出はある程度任せてくれて、『これはどうですか?』と提示することが多かったです」

樋口  「演技指導とかはありましたか?」

玉城 「セリフの言い回しや、イントネーションの指導はありました。でも、教室の中で激しく動いたり、叫んだりというシーンは、ほとんど自分で考えてやっていましたね」
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「私はある種の“痛覚”みたいなものが欠如しているのかもしれない」(玉城)

樋口  「今後は、どんなキャラクターを演じていきたいですか?」

玉城  「“こうあるべき“を決めすぎてしまうと、可能性が広がらないかなと。『惡の華』の仲村さんみたいに、予想外のところから来た役がハマったりすることもあるから、できるだけ選択肢がある状態に自分を置いて、そこからいいものを、今の自分のベストな役柄に取り組んでいきたいです」

樋口  「『惡の華』が評判を呼んで、イ・チャンドンやラース・フォン・トリアーから出演依頼が来たらどうしますか(笑)? 実際、あり得ると思いますよ」

玉城  「全然、なんでもやります!」

樋口  「え~!  ラース・フォン・トリアーですよ!?(一同爆笑)  今まで、ビョークなどの主演女優がみんな精神科に送り込まれている……」

玉城  「作品のためなら大丈夫です。殺されるわけじゃいないし(笑)。私はもしかしたら、そういうある種の“痛覚”みたいなものが欠如しているのかもしれないです。やるべきものと決まってしまえば、やるしかないと思ってしまう」

樋口  「強いです!  やっぱりそこらへんの女優さんとは違いますよ(笑)。いつからそうなのでしょう?」

玉城 「この仕事は、まったく会ったことのない人にも色々言われる職業なので、そういうのは仕方ないと受け入れるようになりましたね。ただ、強靭なメンタルをもっているわけではないので、メンテナンスは必要です。仕事をする上で精神的なガタがきたことはないかな」
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「そろそろ泣いてスッキリさせておこうかな、とか思って泣きます」(玉城)

樋口  「落ち込むこととかあるんですか?」

玉城  「沖縄の血なのか、根が楽観的ですね。周りからもよく言われます。問題に直面したら入り口では悩むんですけど、寝たら“まあいっか”となって忘れていたり。凄く落ち込んだら、泣いてスッキリします(笑)」

樋口  「どんなことで泣くんですか?」

玉城  「そろそろ泣いてスッキリさせておこうかな、とか思って泣きます(笑)。でもやっぱり欲深い人間なので、見つけて欲しいとか思うんですかね。“ここではないどこか病”をずっと患っているので」

樋口  「そろそろスッキリさせるって、エステじゃないんだから(笑)。でもやっぱり海外の作品に出てそのまま向こうに行ってしまいそうだな~」

玉城  「それもアリですね」

樋口  「息抜きはどうやって?」

玉城  「寝るだけの日を作ったり、読書や映画鑑賞も好きでよくします。あとは海外が好きなので、休みは旅行に行きますね。休みはきちんと取るようにしているんです。自分の時間がなくてアウトプットばかりだと疲れるし、仕事も中身のないものになってしまいそうなので」

樋口  「海外だと最近はどこに行きましたか?」

玉城  「ロシアのモスクワとサンクトペテルブルグです。建築が好きなのですが、ロシア建築には圧倒されました!土地は広大だし、建物も桁外れに大きくて。時の権力者たちが作ったものがそのまま残っているのを見ると、“どこででも生きていけるかな”という気持ちになりますね」

樋口  「ロシアか〜! 女性では初めて聞いたかも。確かに、日本だけの狭い世界の中で生きているとココしか見えなくなってくるけど、世界の色々なところに行けば、考え方や価値観、生き方も一つじゃないんだなと気づきますよね」
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「玉城さんの理想に近づけるわけはないけど、なんとか精進したいなと」(樋口)

樋口  「話は変わりますが、僕は玉城さんにバラエティ番組とかに出ないで欲しいと勝手に思っているんですよ(笑)。今の、素顔がわからないファンタジーな玉城さんでいてほしい!」

玉城  「ハハハ。私はバラエティで喋っても、あまり素顔がわかるタイプではないと思いますけどね」

樋口  「確かに。あと、結婚するなら映画監督とか俳優さんとかで、頼むからIT社長とだけは勘弁して欲しいんですけど……」

玉城  「勝手ですね(笑)。それって職業だけで人を判断していません?」

樋口  「その通りです……(反省)。じゃあ、こういう男は嫌いとかあったら教えてください。気をつけたいと思います。玉城さんの理想に近づけるわけはないんですけど、なんとか精進したいなという。気持ち悪くてすみません!!」

玉城 「いえいえ、気持ち悪くないです(笑)。彼氏とかで言えば、話し合いができない人が苦手かな。解決すべき問題をそのまま放置するような、自我だけで生きてきたような人。外見は、黒髪が好きです(笑)」

樋口  「チャラい男はダメですか(笑)。でも映画業界だと、自我の塊みたいな変な人ばっかりじゃないですか」

玉城  「自我というより、プライドある人がいいですね。自我があって、それを自分の作品に消化したり、色々なものに変換できていればいいと思います。消化せずにそのまま女性に押し付けてくるような人は嫌ですね」
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「一人で立ち飲み屋も行くし、家でラーメンも食べます」(玉城)

樋口  「女優として食生活にも気をつけていますか? お酒も好きそうに見えますが?」

玉城  「最近、お腹が空くとイライラすることに気付いて(笑)。欲望には忠実に生きないとダメなんだなと。普段は、外食も自炊も両方します。休みの日はほとんど家から出ないので自炊かな。外食は、ラーメン屋さんとか立ち飲み屋も一人でも全然行きます。家でもサッポロ塩ラーメン食べたり(笑)」

樋口  「一人で立ち飲み屋!? 掃きだめに鶴じゃないですか! 今、玉城さんがサッポロ塩ラーメン食べているところを想像しちゃいましたよ。それを想像しながら、こっちもサッポロ塩ラーメン食べられます(笑)」

玉城  「ハハハ。お酒はワインが好きですね。家だとハイボールをよく飲んでます。それで、飲みながら映画見て『この画角カッコいい~』とかテレビに向かって話しかけてます」

樋口  「ハイボール?玉城ティナが?(笑)。しかし画角チェックしている時点で、監督目線的ですね」

玉城  「作品は完成されているものだから手を加えたいとは思わないですけど、“揃ってるな~”と感心したり」

樋口  「玉城さんには、いい映画に出続けて欲しいなと思います。海外のものも含めて。玉城さんがもっている華とか才能って、鍛えてどうにかなるもんじゃないですから」

玉城  「私は物にも人にも執着がなくて、集めたりしないんです。綺麗だから買うとかありますが、たとえそれを無くしても落ち込まない。唯一、自分に執着しているくらい。まだ自分に期待ができている分、頑張ろうかなと思います」

樋口 「これからも応援させてください!」
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【対談を終えて】

お話をしてわかった。玉城ティナは一個の強靭な意志だ。そしてその強烈な意志を美しさに昇華させた人だった。これまで美女に何人かお会いしてきた。あまりに綺麗だと、山とか海とか風景と変わらないなと思っていた。だがしかし、玉城さんは暴力的な女王のようだった。それぐらいでないとスクリーンの向こうにいる観客を圧倒できない。玉城さんと至近距離でお話をするのは、カミナリに打たれに行くようなもの。対談後も生きている自分を褒めてやりたくなりました。玉城さん、どうかこれからも僕のようなおじさん映画マニアを、ビリビリと感電させ続けてください!(樋口毅宏)

● 玉城ティナ (たましろ・てぃな)

1997年10月08日、沖縄県生まれ。講談社主催の「ミスiD2013」で初代グランプリに輝き、14歳で雑誌『ViVi』の最年少専属モデルとなる。2014年、ドラマ『ダークシステム恋の王座決定戦』(TBS)のヒロインで女優デビュー。2015年、『天の茶助』でスクリーンデビューを飾る。以降、映画やドラマなど数多くの作品に出演。代表作に『貞子VS伽椰子』『PとJK』『暗黒女子』『私にXXしなさい!』『Diner ダイナー』『惡の華』など。11月15日に最新作『地獄少女』(白石晃士監督)が全国公開予定。
玉城ティナ オフィシャルウエブサイト http://tina-official.com/
映画『地獄少女』公式サイト https://gaga.ne.jp/jigokushoujo-movie/

● 樋口毅宏 (ひぐち・たけひろ)

1971年、東京都豊島区雑司が谷生まれ。出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ケ谷』で作家デビュー。11年『民宿雪国』で第24回山本周五郎賞候補および第2回山田風太郎賞候補、12年『テロルのすべて』で第14回大藪春彦賞候補に。著書に『日本のセックス』『二十五の瞳』『愛される資格』『アクシデント・レポート』など。妻は弁護士でタレントの三輪記子さん。最新作は育児を通して知り合ったパパ友同士の禁断の恋を描いた『東京パパ友ラブストーリー』。
公式twitter https://mobile.twitter.com/byezoushigaya/

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