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2019.05.29

【第1回:酒の話】

酒の席で勘三郎さんにぶちキレた「ドサ回りの役者だからってなめた真似すんじゃね~!!」って

大好評を博した梅沢富美男さんの連載、いよいよシーズン2の開始です。今回のテーマは「男の生き方、身の処し方」。怒涛の昭和~平成を生き抜いてきた梅沢さんが考える男の人生のあり方とは? 炎上も辞さない清々しいばかりの本音コメントが今回も炸裂です!

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構成/紺野美紀 写真/内田裕介 イラスト/ゴトウイサク 

俺が酒を覚えたのは16くらいだったかな。劇団の先輩に飲みに連れて行かれてね。50年以上前の話なんだから、もう時効だよな。昔だったら元服の歳だし(笑)。何度か言ってるけど、酒も親公認だよ。お袋が「実際に酔っ払ってみないと、酔った芝居は出来ない」っていう考え方だったからね。

それから、ず~っと酒は飲んでるし、たぶん強いほうなんだろうな。好きなのはスコッチ。ずっと銀座でロックを飲んでますよ。家でも飲みますね。女房と長女は飲めないけど、たまに次女とふたり人でレモンサワーを。今レモンサワーの妖精もやってるからね(笑)。

自分が二十歳になった時のことは今でもはっきり覚えてる。何でもすぐ忘れちゃう方なんだけど、あの日のことははっきりと覚えてるね。成人式の日に、ひとりで銀座に行ったんです。それで「ニュートーキョー」って、当時も今も有名な大きなビヤガーデンがあってさ、そこでビールとソーセージを頼んで、乾杯しましたよ、ひとりでね。

「よし。俺は東京で今日から大人になったぞ」って。で、帰ってお袋に「俺、今日、成人式だったんだ」ってちょっと思いを込めて報告したら、「あ、そう」って、そっけないの(笑)。まぁ、俺はずっと前から舞台に立ってたし、親としてはすでに大人として認めていたんだろうね。
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酔っ払って記憶がないんで……なんて卑怯なんだよ

今は若いころみたいには飲めなくなったな。それでも、公演の時は終演後に劇団員と必ず食事に行くから、その時には飲みますよ。どういう酒かって? 仕事の話はあんまりしないね。特にダメ出しなんかはしない。酒を飲みながらの説教なんて一番やっちゃいけないと、俺は思ってるからね。

俺はやられましたよ。メシ食う席で、1時間くらい立たされてグチュグチュグチュグチュ……と(笑)。先輩が同じ話を何度も繰り返すのよ。だって、言う方は酔っ払ってるからね。最後には何で怒られてるか分かんなくなってたもん(笑)。だから、「俺はえらくなってもこういうことはやめよう」と誓ったんです。

自分は酒飲んで前後不覚になるようなことは、まず、ないね。そりゃあ、若い頃はありましたよ。でも、だんだんと我慢することを覚えた。いわゆる“酒に飲まれる”ってことはありません。これ以上飲んだらダメだなってところでやめる。やめられないで失敗するヤツをいっぱい見てきたからね。

酔っ払ってガラが悪くなるヤツいるでしょ? 次の日、それ言うと「いや~、酔っ払っちゃって」なんてヘラヘラしてるの見ると腹立つね。飲まないと大人しいのに、酒の力で気持ちが大きくなるんでしょうね。それで、全部酒のせいにする。責任とれないことはするなって言いたいね。「酔っ払って記憶がないんで……」なんて卑怯じゃないですか。だから、俺は誰と酒を飲んでも変わらない。みの(もんた)さんと飲むことが多くて、相当な量を飲みますけど酔っ払ったことないですね。量? ウイスキー2、3本は空くかな(笑)。
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ツケでご馳走するなんて失礼なヤツだ!

そんな俺が唯一、酒の席で喧嘩した相手が、中村勘三郎さん(18代目)。

大昔、30代のころかな。まだ、彼が勘九郎さんだったころですよ。(10代目坂東)三津五郎さんが、まだ八十助さんだったころ、ふたりで一緒に俺の舞台を観にきてくれたんです。だから、芝居が終わってから「飲みに行きましょう」ってお誘いして。

たかだか大衆演劇の役者が歌舞伎役者を誘うなんてと思われるかもしれないけど、檜舞台もかまぼこ板も板は板だからね。せっかく見に来てくださったんだからお話してみたかったんだ。勘三郎さんの演劇論は熱かったね。「今の歌舞伎界はダメだ」なんて言って。古い人たちと若い人たちの狭間で彼も思うところがいっぱいあったんだろうね。

俺がご馳走した一軒目の後に、「今度は僕がご馳走しますから二件目いきましょう」って言うから、行ったのよ。正直、もう帰りたかったんだけどさ(笑)。彼の知っている店に着いて、しばらく飲んでたら、勘三郎さんが「僕はいつも500円しか持ってないんですよ」って言うんだな。

それ聞いて、俺はキレちゃった。「いいかげんにしろよ! ご馳走するって、もう一軒誘ったんだろう。何で500円しか持ってないような貧乏役者にご馳走してもらわなきゃなんね~んだよ! なめたこと言ってんじゃね~よ」って。そうしたら、三津五郎さんが「兄さんに失礼じゃないか!」って言うから「失礼なのはおめ~らだろうが、バカやろう! ドサ回りの役者だからってなめた真似すんじゃね~!!」ってね。日頃から思ってたことが出ちゃったんだな(笑)。

彼はどこに行っても“中村勘九郎”って顔でツケで飲んでたんだろうね。それが許されてたんだろうけど、そこに俺はカチンと来ちゃった。かりにも役者同士で初めて飲みに行くのに、ツケでご馳走するなんて失礼なヤツだと思ったんだよね。この話はテレビでも言いましたし、息子の勘九郎(6代目)くんにも言いましたよ。「お前のおとっちゃんと喧嘩したんだよ」って(笑)。酒の席での喧嘩はあれっきりです。

勘三郎さんと会って話したのはそれっきり。でも僕は彼のことが好きだった。後にお姉さんの波乃久里子さんに会った時、「あなたと飲んだのが楽しかったって言ってたわ」と言われてうれしかった。亡くなる前にもう一度ゆっくり飲んでみたかったね。

● 梅沢富美男(うめざわ・とみお)

1950年11月9日、福島県福島市生まれ。血液型B型。俳優・歌手・タレント。剣劇一座「梅沢劇団」の創設者で大衆演劇のスターだった梅沢清と娘歌舞伎出身の竹沢龍千代の5男として生まれ、1歳5か月で初舞台。15歳で本格的に役者の道へ。1976年、女形に転向し「下町の玉三郎」として大ブレイク。1982年には『夢芝居』で歌手デビューし50万枚を超えるヒットに。現在は「梅沢劇団」三代目座長として年間180日舞台に立つ傍ら、テレビにも数多く出演。バラエティや情報番組での歯に衣着せぬ直言コメントで人気を得ている。

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